星降る夜に恋は生まれる #3つのお題に空想のひらめきを
約1000字・ラブストーリー
この夜をずっと待っていた。
今日はたくさんの流れ星が降る、特別な夜だ。僕は誰にも言わずに家を抜け出し、町外れにある「星が一番よく見える公園」へとやってきた。
ここの芝生に寝転んで、夜空に全神経を集中させるのが僕のひそかな楽しみだ。
暗い空を流れ星がスーッと切り裂くたび、僕の耳には世界で一番きれいな音が飛び込んでくる。
――チリン、キラキラ。
それは、透き通ったガラスが触れ合うような、不思議で美しいピアノのメロディ。
僕はそのメロディを一音も逃したくなくて、強く目を閉じ、宇宙の音楽だけに耳を澄ませた。
星の音に夢中になっている間、僕はもう、地球のどこにいるのかもわからなくなる。
自分だけの、静かで幸せな世界。
「……やっぱり、ここにいた」
不意に、すぐ近くで声がした。
びっくりして目を開けると、クラスメイトの星野さんが僕を覗きこんでいた。
「星野さん? どうしてここに……」
「君が今日の放課後、うれしそうに空を見てたから。きっとここに来ると思って」
彼女は僕の隣にちょこんと座った。
「ねえ、何をしてるの?」
「星の音を聴いてたんだ。流れ星が光る瞬間にだけ聞こえる、特別なメロディを」
僕はまた空を見上げた。ちょうど、大きな流れ星が銀色の線を引く。
――シャララン。
ハープをかき鳴らしたような、まぶしい旋律が降ってくる。
僕は思わず感嘆の息を漏らした。
「私にも教えて。その音、どうすれば聞こえるの?」
星野さんはそう言うと、芝生に横たわる僕の隣に、自分も体を横にした。
そして、僕の耳に自分の耳をぴたっと寄せた。
ひんやりとした夜の空気の中で、彼女の柔らかな体温が伝わってくる。
次の瞬間、また空を大きな光が横切った。
いつもなら、ここで一番輝くようなメロディが聞こえるはずだった。
けれど、星の音は聞こえなかった。
代わりに聞こえてきたのは、トクントクンという、星野さんの心臓の音。
何万光年も遠くから届く星のメロディよりも、ずっとずっと近くて、温かい音。
「……聞こえなかった」
「えっ、どうして!?」
僕は何も答えずに小さく首を横に振って、そっと彼女の手をにぎった。
顔を真っ赤にして、星野さんが戸惑う。
あんなに必死に追いかけていた星の音よりも、隣にいる彼女の鼓動を聴いていたい。
僕は、そんなふうに思ってしまったんだ。

