星くずが降る駅のホーム #3つのお題に空想のひらめきを
約600字・ショートショート
「パン買いに行くから、ちょっとつきあえ」
幼馴染の健太にそう言われて、銀河鉄道のホームまでやってきた。
宇宙の果てにあるそのホームは、いつも不思議なくらい静かで、呼吸の音さえどこか遠くへ消えていく。
見上げると、星くずが今にも零れ落ちそうにきらめいていた。
「すごい……」
私が感動して息を呑んでいると、
「そんなの無視してパン買いに行くぞ」
健太は乱暴に傘を広げて、降り注ぐ星の欠片をパチパチと弾き飛ばした。
普通なら、告白でもしたくなるようなロマンチックな場所だ。
それなのに、こいつときたら焼きそばパンのことばかり。本当に、ロマンチックのかけらもない。
自販機で銀河風味の焼きそばパンを買う健太の背中を目で追う。
ボタンの横に、『食べると恋が叶う』なんて可愛い文字で書かれていた。
「ねえ、それ食べると恋が叶うんだってさ」
からかうように言うと、健太は黙って袋を開け、焼きそばパンを大きくかじった。
ツンとした濃いソースの匂いが、無機質な銀河の空気に混じって鼻をくすぐる。
「……お前、本当に鈍感だよな」
健太がパンを咀嚼しながら、少し顔を赤くしてつぶやいた。
「なんでわざわざ、こんな遠くまで毎日買いに来てると思ってんだよ」
沈黙が落ちた。
銀河の風が、焼きそばパンの匂いと、二人の間の熱をさらっていく。
健太の背中を見つめながら、私は自分の心臓の音がうるさいくらいに高鳴っていることに気づいた。
言葉にするにはあまりに眩しすぎる空間で、私は彼の傘の端を、そっと掴んだ。

