透明な朝の音 #3つのお題に空想のひらめきを
約900字・童話
森に住むキツネのココは、イタズラが大好き。
森の仲間たちが大好きなものが大嫌いでした。
特に、皆が大好きな透明な朝の音を聞くと、ムズムズと鼻が痒くなって、イタズラ心がウズウズしました。
「シッシッシ! あのキラキラした音がなくなったら、みんな悲しんで泣いちゃうぞ」
ココはニヤニヤ笑いながら、真夜中にとっておきの真っ黒い袋を持って、森に忍び込みました。

そして太陽が昇る時の透明な朝の音が「キラキラーン」と鳴り出した瞬間を狙って、ココはふくろを大きく広げ、音をザザーッと勢いよく袋に閉じこめました。
「シッシッシ! うまくいったぞ!」
ココはしっぽをフリフリさせながら、音が入った袋を背負って、自分の隠れ家へと急ぎました。
ところが、ココが盗んだ透明な朝の音はキラキラの力を持っています。黒い袋の中に閉じ込められても、そのキラキラパワーは消えません。
ココが隠れ家にたどり着いたその瞬間、袋が大爆発しました。
ドッカーン!
「うわあああ!」
虹色のキラキラの光と楽しい笑い声が、シャボン玉のようにココの全身にフワフワと降りかかりました。
このキラキラパワーで、ココは大変身。
いつも「シッシッシ」と意地悪く笑っていたココの口から、「ウッフッフ」という陽気な笑い声がこぼれてしまいました。
暗かった毛皮は透明な光を浴びて、ピカピカの金色に輝き、しっぽの先には朝露のしずくがついた、フワフワの飾りがついてしまいました。
黒くてゴワゴワの服は、パステルカラーのモコモコしたパジャマに変わりました。
「わわわわ! なんだ、これはー!」

ココはびっくりして、自分の周りを飛び回る、キラキラで美しい朝の音を、生まれて初めてじっと見つめました。
その音は、まるで空から降ってくる小さな鈴のようでした。
「うわぁ、なんてきれいな音なんだろう。今まで、こんな素敵な音が世界にあったなんて知らなかった」
ココの心はキラキラに照らされ、すっかり温かくなりました。
「イタズラなんてもうやめて、このキラキラした音が一番キレイに聴こえる場所を探そう!」
こうしてココは、キレイな音が大好きな、優しいキツネになりましたとさ。
おしまい。

