星の手紙 #3つのお題に空想のひらめきを
約800字・ショートショート
私は毎週、「地球人へ」で始まる星の手紙を受け取っている。
差出人はトラペジウム星人。
深夜、紙飛行機の手紙はいつも音もなく窓の隙間から私の机に滑り込む。
その紙飛行機を開くと見たことのない文字が書かれている。
試しにグーグル翻訳アプリのカメラを向けると、日本語に翻訳された。
凄いな、グーグル先生!
その文字がトラペジウム星人のものだとグーグル先生が教えてくれた。
遠い宇宙からどうして毎度ピンポイントに私の机に手紙が届くのかわからないが、宇宙にはまだまだ人類には解明できない謎がたくさんあるということなのだろう。
で、翻訳された文字に何が書いてあるかというと、これがまたくだらない。
地球の流行への辛辣な批評が記されているのだ。
「なぜ、君たちはガチャという名の、何の機能もない小さなフィギュアや、食べられないプラスチックを得るために、硬貨を投じ続けるのだ?」
「猫動画の何がそれほど面白い? ただ寝ている、あるいは走っているだけの、極めて単純な生物の映像になぜそれほど夢中になるのだ? 」
その一方的な通信は、数ヶ月で私の日常に溶け込んでしまった。
手紙を読むたび、職場の人間関係で溜まった苛立ちとは別の、形容しがたい理不尽なストレスが私の中に蓄積されていく。
いい加減にしてほしい。
ある日の夜、私は苛立ちで震える手で返事を書いてやった。
届いた紙飛行機の文字の書かれていないスペースに大きく一言。
「うるさい! そんなに言うならお前の星の流行を教えろ!」
広げた紙を紙飛行機に折り直して夜空に向かってそれを放す。
すると紙飛行機は一直線に上昇し、瞬く間に夜空の星々に吸い込まれて消えてしまった。
数日後、また紙飛行機の手紙が届いた。
私の指先は、期待と怒りで微かに震えていた。
紙飛行機を開くと、そこに記されていたのは、たった一言。
「我が星では、今、紙飛行機を地球に飛ばすのが大ブームだ」

