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配達員ろること2号 第2話『はじめてのダブル』

第2話『はじめてのダブル』

「あ、やば。え、どっち先に行くんだっけこれ……?」

渋谷駅のガード下、ろるこはチャリの横でアプリ画面をガン見していた。
表示されてるのは、自分史上初めての“配達2件”——いわゆるダブル案件。

「え、これ……A先にドロップで、そのあとB……って書いてあるけど、ピックの順番と逆じゃね? え、ってことは……え? 逆走……?」

テンパりながら、チャリのスタンドをガチャガチャいじる。
さっきまでは「やっと来た!時給上がるかも!」と浮かれてたのに、今はもうパニック寸前。
ルートの組み方も、時間の感覚も、全部ぐちゃぐちゃ。

「ってかこれ、ピック地点坂の上じゃん……チャリじゃ無理あるって……」

ろるこがそんな風に悪態をついていると、後ろから何かがスッと通り過ぎた。
——無言の、ぽっちゃり。あの人だ。

「あっ……2号さん?」

声をかけかけたけど、彼は一度スマホを見て、何も言わずに走り出した。
バイクの低い音だけが、ろるこの脳内に妙に響いた。

「……え、もしかして同じ店行った?」
慌ててアプリを確認する。
数秒後、ピック先にいたのは——やっぱり2号だった。

「うわ、被ってるじゃん……え、てか早くない?私まだチャリ置いたとこなんですけど……」

なんとか坂を登り、息を切らしながらピックアップ。
それでも要領が悪く、どっちのバッグにどの袋入れたかも怪しくなる。

「うわー、やば、さっきのがBだっけ?あれ、Aが下にある……えー、入れ替える?でも……」

後ろで2号がちらっと視線を向けてきた。
無言。だけど、ちょっと呆れてるような目。

「わかってます、ぐだぐだしてるの……!」

苦笑しながらチャリをこぎ出す。
2号はろるこの少し後ろを、静かに追いかけてきた。

「てかこの道、めっちゃ混んでるじゃん……うわ、信号!やばい、時間過ぎる……!」

途中でろるこが道を一本間違える。焦って戻ろうとするそのとき。

「……次、左や」

2号の声が、ろるこの背中に飛んできた。一瞬、返事が遅れる。

「……あ、はい、ありがとうござ……」

気づいたときには、2号はもう前に出ていた。

ようやく2件目を終えたあと、公園のベンチでろるこはスポドリを飲んでいた。
暑い。足もだるい。なのに、なんか……ちょっとだけ、悪くなかった気がする。

そのとき。

「……ドロップ順、迷ってたやろ」

隣にいつのまにか、2号が立っていた。
バイクを押して、自販機の方を見てる。

「え、見てました?」

「最初の店の商品、後回しにしとった」

「あ、バレてた……」

ろるこはちょっと照れくさそうに、ペットボトルのラベルを見つめた。

「……今日のは何点ですか?」

「ん」

「私の動き。評価ください、センパイ」

「……鳴りは良かった。けど、ピックの置き方は0点やな」

「……うわ、それ一番ダメなやつ」

2人の間に、ふっと笑いが漏れた。

「……でも、ちょっとだけ、楽しかったかも。初めてにしては」

「……そうか」

ろるこは、ふと思った。
この人、全然しゃべらないくせに——何か伝えてくるのが、うまい気がする。

「次も、ダブル来たら……」

「またテンパるな」

「……否定しないっす」

ベンチの上、ろるこはラベルをくるくる回して笑った。
隣の2号は、自販機に向かって歩き出す。
その背中を見ながら、ろるこは小さくつぶやいた。

「……不器用すぎでしょ、マジで」

でも、その声には、もう偏見も引き気味なトーンもなかった。


あとがき:ダブルの思い出

ダブル案件は今でこそ当たり前になりましたが、
数年前までは少し事情が違っていました。

当時は「同店ダブル(同じお店から2件配達)」が基本で、
フードデリバリーに慣れていないお店も多かったため、
注文番号を記載しないまま商品を渡されることも珍しくありませんでした。

他店舗ダブルなら梱包の違いで見分けもつきますが、
同じお店の商品だとそれもできず、
商品を受け取ったあとで「これ、どっちがどっち?」と悩むこともしばしば。

付箋やマジックを持ち歩いて対応していた配達員もいたくらいです。

今ではほとんどのお店が注文番号を表示してくれるので、
ダブルで困ることはほとんどありませんよね。

そんな状況のなか、今回のAIが描いた「テンパるろるこ」は
現実とはややズレがありますが、
“最初の一歩”という意味では温度感は伝わってくる気がしました。

ストーリーの細部はAI任せなので、
よっぽどおかしなところがない限り、口出ししない方針です。
まぁ、おかしなところがあっても——これは“配達ファンタジー”ですから。


※本作はフィクションです。

登場する人物・団体・地名・出来事などは実在のものとは関係ありません。
また、一部の描写は実在するX(旧Twitter)ユーザーの投稿や活動に着想を得ていますが、特定の個人・団体との関連性はなく、内容は創作に基づいて構成されています。

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