ショートショート『うんけーくみをぅどぅい』

ショートショート『うんけーくみをぅどぅい』
「やぎー、うんけーすんどー」
ばあちゃんの声に、やぎは縁側から飛び降りた。
「はーい!」
夕暮れの庭先。じゅーしぃの匂いがして、仏壇には果物と菓子が並んでいる。
「うーとーとー。ぐそーぬ、うやふぁーふじ。めんそーれー」
ばあちゃんが手を合わせる。
やぎも隣で、うーとーとーした。
「ばあちゃん。ほんとぅに、ちゅーん?」
「ちゅーさ。うんけーやさ。道ぬ分からんくなったら、火ぃ見て帰ってちゅーさ」
「じゃあ、わんが呼ぶ!」
「火ぃあるから、呼ばんてぃん分かいさ」
「でも、わんが呼んだほうが、にぎやかさー!」
やぎは庭へ飛び出した。
迎え火の向こう、夜の島へ向かって息を吸う。
「めんそーれー! めんそーれー! わったーやーや、くまどー! まーさんむん、まっちょーんどー!」
節をつければ、いつの間にか唄になった。
ばあちゃんが笑う。
「やぎー。くみをぅどぅいやあらんどー」
「いいさー! ご先祖さまが帰ってくれば!」
三線の音もない庭で、やぎはひとり唄いつづけた。
迎え火が、嬉しそうに揺れていた。
あとがき
毎週ショートショートnoteのお題『迎え火オペラ』に参加させていただきました。
実を言うと、色々溜まっているので、しばらくはお題を休もうと思っていました(笑)
昨日、少し時間が空いたので喫茶店でコーヒーを飲んでいたんですね。
その時にふと「今週のお題なんだろう?」と見てみたら――
『迎え火オペラ』
なんかかっこいい!
書くしかねえ!
となったのです(笑)
迎え火、オペラ……。
そこから、なにか神々しく唄う少女の姿が思い浮かびました。
そう、少女と言えばやぎちゃんですよ(笑)
モデルになったやぎちゃんの出身地は沖縄。なので当然、物語のやぎちゃんの出身地も沖縄です。
そこで「沖縄の方言で迎え火ってなんて言うんだろう?」と調べてみると、『うんけー』。
じゃあオペラは?
調べてみると、沖縄には『組踊(くみをぅどぅい)』という伝統芸能があるらしい。
オペラではないけど……まあセーフ?(笑)
そうしてできたのが本作『うんけーくみをぅどぅい』です。
短いショートショートですが、作品を作るにあたって、少女時代のやぎちゃんのキャラクターデザインを作ったり、Sunoでテーマ曲『迎え火オペラ』を作ったりと、なんだかんだ色々作りました(笑)
制作の裏側については、制作noteでもう少し詳しく書いています。
本作を気に入っていただけたら、そちらも覗いていただけると嬉しいです。
※本作はフィクションです。
登場する人物・団体・地名・出来事などは実在のものとは関係ありません。また、一部の描写は実在するX(旧Twitter)ユーザーの投稿や活動に着想を得ていますが、特定の個人・団体との関連性はなく、内容は創作に基づいて構成されています。
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