第23話:義務で見ていたあいのりの話
※ 実話です。
月曜の夜23時が苦痛だった時期がある。
当時付き合っていた彼女があいのりが好きだった。一緒に見るのが半ば義務になっていた。他人の恋愛に興味がない人間にとって、あいのりは苦行に近かった。
輪をかけて苦手だったのが、久本雅美だった。宗教上の理由、というのもあるが、それ以前にうるさかった。スタジオでわいわいと反応する声が、どうしても合わなかった。月曜23時、彼女の隣でひたすら耐えていた。
あいのりは恋愛バラエティだ。ラブワゴンと呼ばれるバスに男女が乗り込んで、旅をしながら恋愛をする番組だ。告白して成功すれば一緒にワゴンを降りて帰国できる。失敗すれば一人で帰る。それだけの番組だが、当時はかなり人気があった。

彼女は毎週真剣に見ていた。自分は毎週なんとか起きていた。
最近知ったのだが、あいのりに出演していた金ちゃんという人物が、今は脚本家として活躍しているらしい。半沢直樹、サンクチュアリ、どちらも金ちゃんが脚本を書いていた。
義務で耐えていた番組に、そういう人がいたとは思っていなかった。
あいのりを一緒に見ていた彼女とは、その後別れた。月曜23時が苦痛でなくなった。久本雅美の声も聞かなくなった。

金ちゃんの脚本で作られたドラマは、今でも見ている。あいのりは見ていない。
