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ダンジョン第84階層【実録】『最強ギルドの監視網を逆ハック!沈黙の裏切り者へ放つ悪魔の偽情報(フェイク)』

前回の物語はこちら👇️👇️👇️

01:ディセプティブ・エンカウンター〈欺瞞の邂逅〉


河野ギルドマスター(社長)との密談から数日後。

俺は早速、彼から紹介された互助陣列(互助会)メンバーの一人に会うことになった。

その男が率いるのは、誓約の構成員(社員)30人ほどの小さな部品を取り扱う交易ギルド(商社)、「津田商会」だ。

待ち合わせの指定場所。

王都の中枢(ビジネス街)の片隅にある薄暗く古びた魔力充填所(純喫茶)へと向かった。

重い木の扉を開けると、そこにはすでにそれらしき人物が座って待っていた。

俺は静かに近づき、声をかける。

「津田ギルドマスター(社長)ですか」

男はゆっくりと顔を上げた。

「あー、そうだが」

「私は河野ギルドマスター(社長)からご紹介いただきました」

「魔導指導学校(資格学校)で魔導師(講師)をしております」

「異次元おじさんと申します」

ご挨拶を交わし、俺は向かいの席に座った。

ディセプティブ・エンカウンター〈欺瞞の邂逅〉の幕開けである。

俺は漆黒の覚醒水(コーヒー)を一口すすり、単刀直入に本題を切り出した。

「早速なんですが、今日お呼び立てしたのは、互助陣列(互助会)メンバーの方々にお伺いしたいことがありまして」

「一体、それは何だい」

津田ギルドマスター(社長)は、少し面倒そうな表情を浮かべて答えた。

「最近、最強ギルド(大企業)の青木工業から一閃価(単価)交渉などありましたか」

「いや、ないね」

津田はあっけらかんとして言い切った。

「少なくとも半年はね」

「そうなんですね」

俺はさらに深く探りを入れる。

「青木工業の互助陣列(互助会)メンバーになられて、もう長いんですか」

「そうだね。少なくとも10年ぐらいはすでにメンバーだったかな」

「であれば、一閃価(単価)交渉なども、ここ数年は結構厳しいものがあったんじゃないですか」

「特に、伊藤統括導師(部長)からは?」

俺の問いかけに、彼は少しだけ視線を逸らしながら答えた。

「そうだね。確かにここ近年はそんなこともあったね」

「でもそれは最前線の因果防波堤(下請け企業)だから、ある意味しょうがないんだよ」

俺の背筋にピリッとした悪寒が走った。


02:インティミデーション・ブラフ〈威圧の虚勢〉


「急にこの半年、条件闘争(交渉)がなくなっているんですね」

「他の互助陣列(互助会)メンバーは、直近3ヶ月前も厳しい一閃価(単価)の叩き切りがなされているんですよね」

俺は鋭い視線を津田に向けた。

同じ互助陣列(互助会)のメンバーにもかかわらず。

この焦りのない、異常なまでの余裕。

圧倒的…!!

本来ならば河野ギルドマスター(社長)からの紹介だ。

ましてや、苦しい状況の愚痴や不満の一つや二つ、あってもおかしくはない。

今まで会ってきた老舗ギルドマスター(社長)たちは皆、厳しい環境下の中でやっとなんとか生き抜いているという悲痛な話が大半であった。

しかし、この男からは全くもってそれを窺うことができない。

俺はインティミデーション・ブラフ〈威圧の虚勢〉を放つため、相手を鋭く見据えようと身を乗り出した。

だが、極度の緊張をごまかそうとした瞬間。

手元にあった角砂糖の小壺に袖を引っかけ、見事にテーブルの上にひっくり返してしまう。

「あっ……!」

バラバラと散乱する白いキューブを、俺は涙目で必死に両手でかき集めながら、無理やり凄んだ表情を作ろうと悶絶した。

『おい、おっさん!』

『探り合いの最中に角砂糖をばら撒いて必死に拾うとか、完全に小物感が露呈してる ワン!』

『凄みを効かせるどころか、ただの粗忽者として相手の同情を買ってるだけだ ワン!』

魔犬ツンの容赦なきジャッジメント・サタン〈魔犬の正論〉が俺の心臓を鋭く抉る!

痛恨的…!!

俺は羞恥心を腹の底に抑え込み、一つ目の物理刃(自分軸)を心の中で高らかに詠唱した!

「いでよ……!」

本人の妄想イメージです

インティミデーション・ブラフ〈威圧の虚勢〉ッ!!

「ギルドマスター(社長)のところは無事なんですね」

俺がそうカマをかけると津田は何かを探るように質問してくる。

「一体、何が無事なんだい」

「実は私の知る限り、かなりの数の互助陣列(互助会)メンバーのギルド(企業)が、命脈の等価指数(価格)交渉の激しさに苦しんでおられるのが大半なんです」

「逆に、ギルドマスター(社長)のような会社は珍しいんですよ」

俺の指摘に、津田は少し慌てた様子で言い訳を並べ始めた。

「あ、あれじゃないか」

「うちは特殊な部品を扱っているからそもそもが取り扱いのギルド(会社)が少ないんだよ」

「だから他社の比較によって、一閃価(単価)を下げるということは難しいと補給戦域(購買部)は考えてるんじゃないですかね」

「そうなんですか。それは素晴らしいですね」

俺はこの言葉の裏にある不自然さを完全に確信した。


03:シャドウ・スパイ・アナライズ〈暗躍する間者の解析〉


俺はこの違和感に対して一つの確固たる仮説を持った。

この男、裏で青木工業と繋がっている。

ならば、劇薬を打ち込むしかない。

俺は二つ目の物理刃(自分軸)を心の中で強く詠唱した!

「発動せよ……!」

シャドウ・スパイ・アナライズ〈暗躍する間者の解析〉ッ!!

「ギルドマスター(社長)」

「ここだけの話なんですけど……」

俺は声を極限まで潜め、テーブル越しに決定的な一撃を放つ。

「近々、国家法理の強制物理査閲(国税の査察)が、互助陣列(互助会)メンバーに入るという情報が私の耳に入ってきているんですよ」

戦慄的…!!

「それでたまたま、取引があった互助陣列(互助会)メンバーのギルド(企業)さんから相談を受けまして」

「その防御策をお手伝いしてるところなんですよ」

俺の瞳が、相手のわずかな動揺を逃さない。

「特に、使途不明な高額な盟約の対価記録(領収書)は気をつけてください」

「追徴の法理罰金(追徴課税)だけでは済まされないぐらいの被害が、想定されていますから」

急に。

津田の顔色が悪くなった。

氷結的…!!

「ギルドマスター(社長)、急にどうされたんですか」

「顔色が悪いですよ」

「い、いや。何でもないんだ」

図星だ。

こいつも確実に、伊藤統括導師(部長)へ因果を歪める汚濁供物(賄賂)を渡している。

俺はさらに畳み掛ける。

「それに何やら、青木工業には黒い噂があるらしいんです」

「その情報を情報の巻物(週刊誌)が掴んだらしいと裏情報の蒐集家(記者)から聞いたんですよね」

「ギルドマスター(社長)も、お気をつけください」

津田は慌てて、身を乗り出し俺に問いただす。

「い、一体何を気をつければいいんだい」

俺は急に険しい顔をして、冷たく突き放すように答える。

「ご協力したいところなんですが、ギルドマスター(社長)とは会ったばかりじゃないですか」

「信頼できる関係とは言えないので、ここまでにさせていただきます」

「ギルドマスター(社長)は、青木工業の上層部の方と有効な関係を構築してるようですから問題ないでしょう」

絶望的…!!

俺の頭の中では、シャドウ・スパイ・アナライズ〈暗躍する間者の解析〉が完全に像を結んでいた。

この津田という男。

今回の俺たちの青木工業への不穏な行動を知っていながら、自分だけ一閃価(単価)交渉がなかった。

つまり、青木工業の上層部から「優遇」を受けているのだ。

それは優遇を受けるだけの対価(情報)を払っていることに違いない。

悪魔的…!!

今回のこの時間も、俺たちは青木工業の監視網から監視を受けているのだ。


04:トロイ・フェイク・インジェクション〈木馬の偽情報注入〉


ここで俺が津田にポロッと情報を流せば。

それはそのまま、あの篠田先任導師(係長)と鮫島長老(役員)の元へ直通で繋がっている。

逆を言えば。

こいつをうまく利用して、嘘の情報をニ人に掴ませることも可能だということだ。

俺は三つ目の物理刃(自分軸)を心の中で高らかに詠唱した!

「いでよ……!」

トロイ・フェイク・インジェクション〈木馬の偽情報注入〉ッ!!

俺は小声で、津田ギルドマスター(社長)に耳打ちする。

「気をつけなければならないことを、知りたくありませんか」

必死で食いついてくる。

「そ、それは何だね」

「ギルドマスター(社長)、ひとつだけ約束してほしいんです」

「青木工業の補給戦域(購買部)の篠田先任導師(係長)と、鮫島長老(担当役員)さんには絶対に言わないで欲しいです」

「約束できますか」

津田が焦った顔をしながらも、何度も激しく頷いた。

「実は、あることをネタに……」

「篠田先任導師(係長)と鮫島長老(役員)さんに、一閃価(単価)交渉を仕掛けているんです」

「そ、それは何だね」

俺は相手の目を見据え、極上の偽情報(フェイク)を囁いた。

「あくまでも噂ですよ」

「ある理の構想(設計)ミスによって、魔導具の欠陥回収(リコール)になりかねない苦情があり、その内容をある情報の巻物(週刊誌)が嗅ぎつけたらしいんですよ」

衝撃的…!!

「近年の一閃価(単価)交渉によって、理の純度(品質)が下がったことが影響していると私は睨んでいるんです」

「だからギルドマスター(社長)も、くれぐれも身の回りにはお気を付けください」

俺はトロイ・フェイク・インジェクション〈木馬の偽情報注入〉を完了させると、「本日はありがとうございました」と深々と挨拶をし、その場を去った。

間違いない。

津田は明らかに、最強ギルド(大企業)に飼われたネズミ(スパイ)だ。

拾った餌を巣穴までしっかり持って帰る習性がある。

この強烈な劇薬(偽情報)も、しっかり巣穴の主たちに届けてくれることを願うばかりだ。

これで相手の陣形に、必ずほころびが生じる。

見えない悪意が交錯する情報戦(デスゲーム)。

俺の泥臭いアナログの罠が、巨大な伏魔殿を静かに侵食し始めていた。

いざ、次なる階層へ。


【次回予告:ダンジョン第85階層】


二重スパイを利用して偽情報を流し込んだ異次元おじさん!

ついに青木工業の深部で、篠田係長と鮫島長老の間に激しい疑心暗鬼の嵐が吹き荒れる!

俺たちが放った「リコール隠蔽」のブラフは、最強ギルドの鉄壁の連携を崩すことができるのか!?

しかし、相手も歴戦の強者! 嘘を見破ろうとする鮫島の冷酷なカウンターが迫り来る!

情報戦の最前線で、おじさんのMPは再び限界突破の危機に!

次なる死闘が今、幕を開ける!

最後までお付き合いありがとうございます。


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