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肉食を禁止し、日本の森林を守った天武天皇 【国史教科書を応援その39】

 中大兄皇子は、都を近江の大津宮に移し、天智天皇になられ、全国の戸籍作成などの改革を行いました。
 天皇が崩御されると皇位継承をめぐり「壬申の乱」が起こり、弟の大海人皇子が天武天皇となられました。

 この天武天皇の時代で取り上げたいのは、日本人の食生活の指針がこの時代に定められたことです。
 日本書紀には、天武天皇の御代に、「牛、馬、犬、さる、鶏の肉を食べてはならない」と定められたと書かれています。
 このことは、牧畜や狩猟を積極的に行うヨーロッパなどの人々とは異なる生き方を日本人に選ばせました。日本人は森を切り開き、広大な牧場をつくる牧畜民の道をとらないで、農業をもっぱらにする民族になっていったのです。これにともなって、山から草や木をむやみにとらないという道徳観念もつくられていきました。

 これは現在の日本人の幸せにつながっています。牧畜が発達した中国やヨーロッパでは、たくさんの牛や羊を養っていくために山や森の木を切り倒し、牧草地を広げました。

 これに対して、日本では、肉食をしないことで、森林を守りました。
 なお、現在、日本の川がきれいなのは、森林が水を浄化するからです。日本は中国と違い森林が多いです。日本の国土の68%が森林なのに対して,中国では、国土の21%くらいしか森林がありません。
 土の上を植物が覆っていて,土が流れるのを防いでいるから、基本的に川がきれいで、イザナギの禊の場となったりします。
 これに対して、中国の黄河は、その名の通り、黄色い河です。なぜ、黄色なのかは、森林が少なく、土砂が流れ込むからです。
 中国みたいに、山や森の木を切り倒すと、このような川ばかりとなります。

 ちなみに、肉食は、カロリー摂取の麺でも、効率悪いです。なぜなら、豚肉200gを生産するのに必要な飼料は、1.3kg〜1.5kgだからです。日本では、現在、家畜の飼料を外国産のトウモロコシや大麦を輸入して賄っています。
 これに対して、天武天皇の時代から、日本人は、タンパク質を魚から摂取するようになりました。
 タンパク質は、獣より、魚から摂取した方が、魚と人間とでは、食べるものが重ならないため、効率的なのです。
 果たして天武天皇がここまで考えて、食生活の指針を定めたかはわかりませんが、今からでも、日本人は、タンパク質を肉より魚から摂取した方がよいのではないでしょうか。
 日本の食料自給率は、カロリーベースで約38%しかありません。
 これは、肉食をするようになった影響と考えます。
 肉食ではなく、米食に戻し、かつ魚を多く摂取するようになれば、日本は再び、食料自給率の高い国に戻ると思います。

 中学校の歴史教科書には、天武天皇が食生活の指針を定めたことまで、掲載されていませんが、政治、経済、権力闘争、戦争ばかりが歴史ではありません。 
 
 自分たちの食生活というのは、もともと、どういうものであったかと知ることも大事かと思います。
 昔の人のほうが、自然と共存する知恵があったような気がします。
 何でもかんでも、現代の方が、進歩していると考えるのは、現代人の傲慢かと思います。