創作文(紅葉と孤独)
目の前に大きな紅葉の木がある
炎の盛りを過ぎ、あとは散るばかり
風に押されるたびに大きくたわんで、
乾燥した、やや茶色がかった赤を散らす
ざざざざざ ざ
私は大きく口をあけて、
その一枚でも入らないかと試してみる
風に遊ばれて ひとひら
かさり
くしゃり
ごくん
咀嚼を経て胃に落ちた頃
冷たい孤独が内から湧き上がるのを感じた
どうして体に入れてしまったんだろう
後悔してももう遅く
孤独は血液のように体をかけめぐり、
全身をその色に染め上げてしまう
パラパラパラパラ
バラバラバラバラ
いつのまにか、わたしのからだは
指の先、足のつま先から
おびただしい紅葉に分解されていた
とうとう最後まで分解された私は
大きく吹いた風に巻き上げられ
秋晴れの空へと舞いあがった
もしかしたら、私の一部が どこかの誰かに触れるのかもしれない
もしかしたら、私の一部にどこかの誰かが気づいてくれるかもしれない
泣きたいような孤独は、祈りとともに風に溶け
茜空に現れた銀の月に届いた
