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三十人の部下ができた日


突然の辞令


ある日、私は取締役会で、
管理部門の部長に任命されました。

それまでいたのは、
上下関係の薄いゼネラルスタッフ部門です。
役職も主任クラスでした。

ところが、その日から
三十人の部下を持つことになりました。
しかも、年上が五人もいるのです。

そう、辞令は突然でした。
しかし、頭に残っていたものがありました。

三つの支持


ゼネラルスタッフ時代、
私は中小企業診断士の資格取得を目指していました。

人的資源管理の中で学んだのが、
リーダーシップ論です。
いくつかの理論の中でも、
ドラッカーの考え方が印象に残りました。

会社は管理職を任命できます。
しかし、リーダーとして認めるかどうかは部下が決める。

私は学んだ内容を、
三つの支持として整理して覚えていました。

判断への支持。
人格への支持。
役割への支持。

判断に一貫性があること。
公平で、失敗の責任を部下に押しつけないこと。
この人が先頭に立つことで、
仕事が前へ進むと思ってもらうことです。

実践してみる


部長になった私は、
この三つを実践してみることにしました。

すべての判断に賛成してもらう必要はありません。
けれど、理由は説明する。
部下を道具として扱わない。
失敗したときは、自分が責任を引き受ける。

人気を取ることでも、
「俺についてこい」と強がることでもありません。

好かれることと、信頼されることは違います。
声の大きさで従わせても、
部下が判断を託してくれるとは限りません。

異論があっても、
最後には「この人の判断なら任せられる」
そう思ってもらえるかどうかです。

管理職教育に足りないもの


会社には管理職教育がありました。

しかし、進捗管理や業務管理は教えても、
部下からどう支持を得るかは、
ほとんど扱われていませんでした。

管理職には権限があります。
けれど、権限だけで組織が前へ進むわけではありません。
人は、命令では動いても、
納得がなければ力を出し切れないからです。

職場環境の改善を目的に
管理職教育の強化にも、注目が集まっています。

人を動かす技術だけでなく、
部下に判断を託してもらうための教育。
その必要性が高まるでしょう。

未来の職場を変えるのは、
肩書ではなく、
信頼される管理職を育てること。
そう思っています。



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