『削ぎすぎた恋』—文学戦隊アイマスク—毎週ショートショート
(教室)

担任(橘レナ)
「あーあ、彼氏がまた浮気してさ」
つむぎ
「ここは会社の給湯室か。
先生がOLトークを教室に持ち込むな」
(どこからともなく)

アイマスク
「その悩み――文学で説明できます」
つむぎ
「誰の許可で授業参加してんねん」
レナ
「ええやん、聞かせてぇな」
⸻
アイマスク
「吉田兼好――徒然草」
つむぎ
「急に渋いねん!」
レナ
「待ってました!」
つむぎ
「うるさい、OL!」
⸻
アイマスク
「どうにもならなさを――
受け入れて終わります」
つむぎ
「またオチ言った!」
(間)
レナ
「で、それうちの彼氏にどう関係あんの?」
⸻
アイマスク
「“浮気清浄機”で、欲を削ぎ落とします――」
⸻
(回想・無機質な部屋)
ナレーション
「浮気成分を検知。除去します」
(光)
彼氏
「……」

(教室に戻る)

レナ
「もう浮気せえへんねん」
つむぎ
「よかったやん」
レナ
「でもさぁ……」
(ほんの少し前のめり)
「なんか分かるねん、それ」
(空中をなぞる)
「余計なもん無くなって、
逆に“本物だけ残る感じ”ちゃう?」
つむぎ
「恋愛で濾過装置みたいな話すな!」
レナ
「で、その状態の彼氏がさ……」
(少し笑う)
「なんか、ええ男っぽいねん」
つむぎ
「怖いわその価値観!!」
(少し静かになる)
⸻
レナ
「やけど……」
(間)
「“好き”って、なんやったっけ?って顔してんねん」

つむぎ
「清浄機効きすぎ!」
⸻
レナ
「削ぎ落とした後に残る色気も、
素敵なんかなって思うんやけど……」
アイマスク
「それも徒然草の世界」
つむぎ
「いいようにまとめるな!」
「それと、高校に色気を持ち込むな、OL!」
(間)
「ただの枯れススキやそれ!」
⸻
(一瞬、風が吹いたような間)
⸻
アイマスク
「……そういうものとして、置いてあるだけ」
(ほんの一拍)
「それもまた、文学……」
⸻
(どこからともなく風)
⸻
アイマスク
「文学戦隊アイマスク!」
⸻
つむぎ
「文学で誤魔化すな!!」
レナ
「最高やん、100点」
つむぎ
「なんで評価されとんねんこれ!!」

(796文字)
今回参加させていただいたのは
田原さんのこちらの企画です。
