じゃない不倫ーー毎週ショートショートnote
海斗は算数の教科書を開いた。

もんだい
パパは、プリン三個入りを買いました。
さて、プリンは何個必要ですか。
⸻
コンビニ。
「ねえ、私たちも。」
高校生のカップルがパピコを分け合う姿を見て、若い女性が笑った。
親密な空気。
中年の男性はプリン三個入りを手に取った。
少しだけ眺める。
「これ。」
「プリン?」
「そ、プリン。」
若い女性は一瞬だけ男性を見つめた。
「やだ、ダジャレ?」
「不倫じゃない、プリン」
「……ふふ。」
二人は笑いながら会計を済ませた。
「パパ!」
ランドセル姿の海斗が駆け寄る。
男性は一瞬だけ目を見開き、思わず若い女性を見た。
「海斗!」
若い女性は一瞬だけ戸惑った。
「こんにちは。」
海斗はプリンを持ち上げる。
「お姉ちゃんも食べよ!」
「……ありがとう。」
三人はイートインへ向かった。
プリンを並べた、その時。
「海斗。」
入口から女性の声。
「ママ!」
その二文字を聞いた瞬間、若い女性の笑顔が消えた。
「……じゃあ、行くね。」
そう言ってコンビニを出て行った。
「あれ? パパ、なんでここにいるの?」
母親が首をかしげる。
海斗はプリンを一つ持ち上げ、母親へ差し出した。
「はい。」
「三人で食べよ!」
父親は何も言わず、海斗の頭を撫でた。
⸻
こたえ
海斗は鉛筆を止めた。
三個。
そう書こうとして、首をかしげた。
……あれ?
「パパ、お姉ちゃんの分は?」

今回参加させていただいたのは
田原さんのこちらの企画です。
