なぜ、ピアノの前に『ベル』? ー感覚特性と身体発達から考えるスモールステップ
こんにちは☀️
「はれる …わたしの音… 」主宰のたなかももこです。
今日は、レッスンでよく使用する「デスクベル」のお話をしたいと思います。

可愛らしい見た目と綺麗な色で、大人気です🐻
「音楽教室といえばピアノ」というイメージを持たれることが多いと思いますが、実はピアノを弾くには非常に高度な「感覚の統合」が必要なんです。
はれるのレッスンでは、お子さんの発達段階や特性に合わせ、まずは「デスクベル」から始めることが多いです。
そこには、ただ「簡単だから」というだけでなく、しっかりとした理由があります。
▪️視覚的ノイズを減らし、注意、動作をコントロールする
特に視覚優位なお子さんにとって、ピアノの鍵盤は情報量が非常に多いです。
88個の鍵盤が常に視界に入り、「弾いてみたい」「全部鳴らしたい」という衝動が生まれやすい一方で、一音に集中することは意外と難しい。
その点、デスクベルは必要な音(例えば「ド」と「レ」「ミ」の3音だけ、など)を、物理的に切り離して目の前に提示できます。
これにより、情報の整理がしやすくなり、注意力の散漫を防いで自分の動きをコントロールしやすくなります。

▪️身体の発達とデスクベルの操作性
アコースティックピアノの打鍵には、指を一本ずつ動かす独立性(指の分化)だけでなく、適切な力で押し込み、フッと抜くといった「固有感覚(力加減のコントロール)」が必要です。
一般的に、指をしっかり分離して動かせるようになるのは4〜5歳頃と言われていますが、発達がゆっくりなお子さんや、感覚に特性があるお子さんの場合は、さらに時間がかかることも少なくありません。
指先を細かく使う作業は、身体の土台が作られている途中のお子さんにとって、実は非常に難易度が高いものなのです。
対して、デスクベルは手のひら全体を使って上から叩く(プッシュする)という、非常にシンプルな動作で音が鳴ります。
この「操作の簡単さ」が、実はとても重要です。
「身体をどう動かせばいいか」という運動企画が立てやすいため、低年齢のお子さんや身体の発達がゆっくりなお子さんでも、自分の力でしっかりと音を鳴らすことができます。
また、「叩く → すぐに綺麗な音が鳴る」という報酬が直結しているため、因果関係の理解を助けるだけでなく、「自分の力でできた!」という確かな成功体験を積み重ね、自己効力感を大きく高めてくれます。
▪️「色」をヒントに、楽譜を読む力を育てる
楽譜という抽象的な「記号」を読み解くのも、お子さんにとってかなりハードルが高め。
そこで、ベル自体の色と音符の色を同期させ、音を具体的で分かりやすい視覚情報に置き換えます。「同じ色を探す」という視覚的なマッチング能力を活用することで、認知機能への負荷を抑えながら、「順番(秩序)を意識して演奏する」といった基礎を無理なく育てていきます。
また、これは「目で見た情報に合わせて体を動かす」という手と目の協応の訓練でもあります。「楽譜通りに動くと音楽になる」という成功体験を繰り返すことで、演奏を自然に学習していきます。
▪️アセスメントに基づく個別のレッスン設計
はれるでは、常に「今、この子にとっての最適な負荷は何か?」をアセスメントしながらレッスンを組み立てています。
単にベルを鳴らすだけでなく、配置する場所や距離を変えて姿勢保持を促したり、左右交互に鳴らして身体の交差運動を促したりと、音楽療法的なアプローチも取り入れています。
「できた!」「楽しい!」という経験の積み重ねが、次へのステップの確かな土台になります。
ピアノへスムーズに移行できる時期はお子さんによって異なりますが、こうしてスモールステップを踏みながら、音楽の力を育てています♪
はれる …わたしの音…
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