患者さんとの距離感
患者さんとの距離感は?
患者さんとの距離感は、対人援助職(看護師、医師、リハビリ職など)にとって永遠のテーマとも言える難しい問題です。近すぎると公私の区別がつかなくなり、遠すぎると信頼関係(ラポール)が築けません。
適切な距離感を保つためのポイントを、**「物理的距離」「心理的距離」「社会的距離」**の3つの視点で整理して解説します。
1. 物理的距離(パーソナルスペース)
医療・介護の現場では、処置や介助のために患者さんの「密接距離(0〜45cm)」に入る必要があります。これは本来、家族や恋人など親しい人しか許されない距離です。
配慮のポイント:
いきなり体に触れない。
「失礼します」「お腹を触りますね」といった声掛けを必ず行う。
真正面に立つと圧迫感を与えるため、斜め前に立つ(45度の角度)などの工夫をする。
2. 心理的距離(共感と客観性のバランス)
患者さんの苦しみに寄り添うことは大切ですが、感情移入しすぎると自分自身が燃え尽きてしまったり(バーンアウト)、冷静な判断ができなくなったりします。
「同情」ではなく「共感」:
同情: 患者さんと同じ穴に落ちて一緒に泣くこと(客観性を失う)。
共感: 患者さんが「穴に落ちて辛いんだな」ということを、自分の足は地上に置いたまま理解しようとすること。
プロとしての境界線:
患者さんの依存を受け入れすぎない。
自分のプライベートな悩みや情報を話しすぎない。
3. 社会的距離(言葉遣いとマナー)
親しみやすさを「タメ口(友達言葉)」と勘違いしてしまうと、トラブルの元になります。
言葉遣い:
基本は**丁寧語(敬語)**です。
高齢者に対して「おじいちゃん」「おばあちゃん」と呼ぶのは、相手の尊厳を傷つける場合があるため、名字で「〇〇さん」と呼ぶのが鉄則です。
節度ある態度:
連絡先の交換や、個人的な贈り物の受け取りは原則禁止(施設のルールに従う)。
SNSでの繋がりも避けるべきです。
適切な距離感を保つための「セルフチェック」
もし、「距離感がわからなくなってきた」と感じたら、以下の質問を自分に投げかけてみてください。
その行動は「患者さんのため」か、それとも「自分が好かれたいため」か?
他のスタッフが見ている前でも、同じ態度で接することができるか?
勤務時間を過ぎても、その患者さんのことばかり考えて私生活に支障が出ていないか?
まとめ
理想的な距離感は、**「温かみのあるプロフェッショナル」**です。
「あなたのことを大切に思っています(関心があります)」というサインを出しつつも、「私はあなたの治療・ケアを担当する専門職です」という一線を引くこと。この境界線があるからこそ、患者さんは安心して本音を話し、治療に専念できるのです。
現場の状況や患者さんのキャラクターによっても微調整が必要ですので、迷ったときは信頼できる先輩や同僚に「私の接し方、どう見える?」と客観的な意見をもらうのも非常に有効です。
失語がある方には、敬語を使うと余計話が繋がりにくい状態になるので少し砕けてしまう。
患者さんが手術をした経過を話すと、自分も共感したいと思ってその時の苦労話をしてしまう。
それでラポールが築ければよいのだが…
自分の家族のことなどもあまり話し過ぎない方がよいと思う。尋ねてくる患者さんもいるけど。
近すぎず遠すぎずあなたを見守ってますよ。
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