パンドラボックス□ 1話(シナリオ)
#創作大賞2024 #漫画原作部門
#少年マンガ #青年マンガ
あらすじ
友達に憧れながらも劣悪な過去から兄弟以外を
信用しない少女なな。
兄は妹に友達ができることを願っていた。
12月24日夜、
バケモノにより日本中の子どもが拐われる。
兄は家族を守るため、魔術士の友人に保護を依頼するが断られる。
バケモノに襲われるななたち。
兄は重傷を負い、弟は拐われる。
己の体と引き換えに悪魔と契約を交わし、バケモノを倒すなな。
しかし、憎しみに駆られ、助けを拒んだ兄の友人とその家族を殺そうとする。
兄の命と引き換えにななは感情を抑え込み、暴走が止まる。
天才魔術士エルは、封印もなしに悪魔を抑えこんだななに可能性を感じ、ななに封印術を施す。
クリスマスの朝、ななの友達を自称するエルとななが出会う。
補足説明
タイトルの□の意味
W主人公であるエルエクレールのL
天米ななの7を現す
2人の名前が合わさると□
2人が主人公という意味を
タイトルに込めました。
鏡で見た鉤括弧をくっつけるイメージです
「」
読みにくそうな漢字
天米→あまめ
天米幸→あまめ ゆき
鯉木→こいき
登場人物
あまめ なな
天米 なな
パンドラボックスの主人公
中3 女 亜麻色の髪ショート
室内はスウェット、外ではジャージが基本。
中肉中背 八重歯
契約相手は天狗
可愛い
エル・エクレール
パンドラボックスのもう1人の主人公
7歳 女 黒い髪ロング
髪留めでおでこを出してる。
りんごの形の瞳
年相応の背丈
契約相手はサタン
可愛らしい
やまなか しかいち
山中 鹿一
23歳 男 黒髪ショート
美男子 スーツに日本刀を2本
長刀と短刀を帯刀してる。
武将 山中鹿之介の末裔
個人契約の相手はアルテミス
血の契約の相手は麒麟
イケメン
パンドラボックス
3話の中では描かれなかったが
後ほど敵の組織が求める3つの箱
箱にはそれぞれ蘇生、無限に湧く食べ物、世界を幸にも不幸にもする魔法の宝が納められている。
この箱は「最初の人」が封じたもので
中の宝物も「最初の人」が作った物。
ななは、このパンドラボックスの存在を知り
兄の蘇生に興味を示す。
巫術、魔術士の一家にはお馴染みのお伽話
「救世主と8人の弟子」の物語に出てくる財宝とリンクする。
この物語の初版本には暗号があり、宝のありかを示す。
魔法
巫術、魔術、MAHOWとは区別される。
「8人の弟子」の師匠。
「最初の人」の使う力のみ呼称を許される。
MAHOW(MY HOPE WORLD)
MY HOPE WORLDを詠唱した上
常時、リラックスした状態で全身の霊穴から
巫力、魔力の「呼吸」を行う必要がある。
3rdクラス以上の巫術、魔術士は使える力。
唱えると上位個体の特徴を引き継いだ霊装を纏える。
日本の巫術士とアメリカの魔術士が共同命名。
力は術者の願いの強さ✖️感情の制御
全身の霊穴へ巫力、及び魔力を流し込み
願いを遂行するための姿に変化する。
MY HOPE WORLDの詠唱は、国ごとに唱える言葉が変わることがある。
例えば、山中鹿一は「願わくば、我に七難八苦を与えたまえ」の詠唱で霊装を纏う。
世界観
現代日本
巫術と魔術は秘匿されていたものだが
テロをきっかけに民間人にも周知される。
巫術と魔術
巫術とは
神や天使、精霊などの人の身体を求めない
上位個体と契約を行い力を借りること。
魔術とは
悪魔や妖怪、怨霊などの人の身体を求める
上位個体と契約を行い力を借りること。
上位個体との契約
個人契約
文字通り個別に上位個体と契約すること。
血の契約
先祖が契約していた場合、子孫に力が適応される契約。
これは力だけでなく、代償も適応される。
巫術協会
本部は存在せず世界中に支部を持つ。
巫術や魔術に関係する政、裁判などの
全てを定める機関。
協会に加盟した国々は、定める法を守る必要がある。
日本もこの協会に加盟している。
完全顕現
悪魔が術者を乗っ取ること。
巫術協会がエルに最も恐れていること。
特急隊
特殊救急隊の略称
災害やテロの際に手配される。
役割は警察みたいなイメージ。
本文
穴が空いてる牢屋
口を開けて驚く看守
島の原っぱの上
穴から抜け出す少女エル
慌てる男女の影
水晶玉に映る
亜麻色の髪の少女
赤峰山の文字 大木
「発信機を追うぞ!」
「私たちクビっすか?」
スーツ姿で帯刀する人影
「クビどころか」
笑ってるエルの口元
「国が消し飛ぶ」
草原の上で手を広げて笑顔のエル
老年の先生
「え〜
出願票をまだ出していない人がいますので
早めに出してください
え〜冬休みに入りますが
時間を無駄にしないように
最後の追い込み頑張ってください
え〜以上です」
出願票を鞄に入れる亜麻色の髪を持つ少女なな
クラスメイトの声
「今日うちでクリパする?」
「イブパだなイブパ」
「逆に焼肉とか良くね?」
「明日金入るから」
教室を出るなな
団地
305号室
玄関
靴を脱ぎ始めるなな
「ただいま」
「つっちー つっつっちー」
ななの弟 天米 三太
寝転びながら妖怪の本を読む
「三太 ちょっと早いけどご飯にしよ」
「つっちー」
「またどっかで変なこと覚えてきたな?」
訝しみながら台所で料理を始める
パンの耳ともやし炒めがよそわれたお皿と
お箸1つをテーブルの上に置くなな
「ねぇねのは?」
「あっ 普通に喋るのね
びっくりした
さっき食べたから大丈夫 全部食べて」
三太が食べている横で手書きの帳簿を確認する
『新聞配達とかできたらもっと楽だったんだけどなあ
この辺求人ないし
でもあと4ヶ月で卒業か』
食事をしてる三太を
微笑みながら眺めてるなな
『来年はケーキとチキン
みんなで食べれるのか』
仕事から帰宅したななの兄
天米 幸
腰を振ってふざける幸
「つっちー つっつっちー」
食事中に突然立ち上がり
股間に手を当てて返事をする三太
「ぽうっ!」
幸の尻を蹴るなな
「ふん」
「イタっ!」
三太をこづくなな
「行儀悪い!」
「へへ!」
「この差は何!?」
残念なものを見る目のなな
「残念だけど 当然の結果よ 残念だけど」
「2回も言わないで!
心のデリケートゾーンが荒れる!」
「メンタル薄皮すぎない?」
「あんこぎっしりなの!」
不貞腐れる幸
「んだよもう!せっかく良いこと教えようと思ったのに」
「何にぃちゃん教えて!」
「期待しないの どうせカスみたいなことよ」
「ドゥルドゥルドゥルドゥル
ねえ!三太まで無視しないで!」
口でドラムロールを刻む幸
食事に戻る三太
家計簿の確認に戻るなな
「じゃん!
実はお呼ばれしてんだよ!
鯉木ん家のクリスマスパーティー!」
「まいちゃん家!?やったああ!」
「仏教徒がクリスマス祝うの?」
「聡太がガキの頃は
祝えなかったらしいから
自分の代では楽しみたいってさ
こうも言ってたな」
フリー○のモノマネをする幸
「戦闘力500か ゴミめ」
「それ言ったのフリー○じゃないし
ゴミは兄貴だよ」
顔を赤くする恥ずかしそうな幸
「あっ 本当に間違えたな?」
「樹齢500年の和式ツリーと
ケーキがあるから良かったらって」
「ケーキ!やったああ!」
帳簿に視線を戻すなな
ななを心配そうに見つめる幸
幸がスマホの画面をななに見せる
「三太が寝たら話がある」
面倒くさそうな顔のなな
布団にくるまってる三太
外にある階段の踊り場
長袖のスウェットに上着を着て
景色を見てる2人
「なんで出願票出さないんだ?
先生から聞いたぞ
勉強だってあんなに頑張ってたろ?
公立ならー」
「何度も言ったでしょ
働きながらお金貯めて大検取って
参考書買って大学受験した方が効率的
高校なんてお金と時間の無駄よ無駄」
諦めたような顔をするなな
「バカが集まるとこに行く必要は無いわ」
幸の回想
「私ね!学校で友達100人作るよ!」
泣いて帰ってくるななを抱きしめる幸
「でも」
階段を降り始めるなな
「もういい?」
「どこに行くんだこんな時間に」
「コンビニ!父親面しないで!」
哀しい表情の幸
言いすぎたという表情のなな
コンビニの店内に入るなな
『ハァ….漫画でも読も』
雑誌コーナー
漫画雑誌を手に持つなな
表紙に赤くて丸い鼻のコミカルなキャラクター
半透明のシールで中が見られないようになってる
元の場所に戻すなな
『ほんっと最悪っ!』
ため息をつきながら
手に息を当てるなな
手を擦りながら店内を歩き出す
ななは雑貨コーナーの前で
商品を見るために屈む
『懐中電灯なんてあるんだ たっか』
自動ドアが開く
客が出ようとする
コンビニ店員
「ぁりあとう ござぃやぁ〜す」
突然店内が真っ暗になる
戸惑うなな
「何?停電?」
ブチブチッと肉が裂ける音
自動ドアの近くにいた客の声
「んぶぶぶぶ! オエッ」
異質な空気感の中
急いでスマホで明かりをつける店員と数人の客
ヒューと隙間風のような音
コンビニの天井に頭がつくほどの全裸の巨人
レジ横にある中華まんの蒸し器ほどの巨大な頭
目尻が垂れた不快な笑み
歯のない巨大な口から涎
成人男性の腕ほどの大きさの勃起した陰茎
30センチほどの長く鋭い爪で
客の頭と胴体をハサミのように切り刻んでる。
このバケモノがスマホのライトにより
スポットライトのように照らされる。
レジにいた店員
「うわあああああ!!!」
バケモノは店員に抱きつき血が飛び散る。
商品の懐中電灯を持ったまま
バケモノの視界に入らないように
迂回して逃げ出すなな
逃げようとする客のライトで
出口が照らされ
それに向かって走る
『何あれ何あれ何あれ!?』
店の外
暗闇
飛び出すのに臆するなな
後ろから死臭
お店の商品棚を破壊する音
暗闇に向かい走りながら
懐中電灯を開けて足元を照らす
『あとで払います!分割で!』
遠くから聞こえる
子どもの泣き叫ぶ声
男の絶叫 ガラスの割れる音
金属製の板が歪む鈍い音
動物の断末魔
発砲音
『もしかして他にもいるの!?
あんなのが!?』
『家は!?』
「三太!兄貴!」
急いで道を曲がると目の前に幸
双方が驚く
「きゃ」
「うお」
ななの懐中電灯が三太を背負う幸を照らす
三太を背負いながらスマホのライトを持つ幸
「なな!よかった!」
「兄貴!変なのがいて人をー」
「知ってる うちにも来た
すぐに行くぞ!」
ななの手を引いて走ろうとする幸
「行くってどこに!?
交番は向こうだよ!?」
考え事をする幸
「寺だ」
赤峰山の石碑
赤峰山を下から見上げる3人
山登りをする3人
後ろからななが幸の足元を照らす
「ねえ なんで鯉木さん家のお寺なの?
なんでお寺?」
「…..」
「ねえ」
「なな 兄ちゃんが今から言うこと
全部多分 ほんとの話だ
あれを見たんだろう?」
「見た」
回想
人を切り刻むバケモノ
「聡太ならあのバケモノから身を守れる…と思う」
「…どういうこと?」
「あいつは巫術士って言って
魔法使いっているだろ?
あんな感じでなんかこう...
やってくれる…と思う」
「意味わかんない….」
幸の真剣な顔
混乱するなな
「着いたぞ!」
大木の前
木製の看板
僧侶が赤い犬の化け物を
退治している絵と説明
階段を登った後の視界
左に大木
中央奥にお堂
右奥に鯉木さんの住む日本家屋
鯉木家の自宅前
インターホンを鳴らす幸
「聡太!俺だ!幸だ!
開けてくれないか!?」
返事がなくドアの鍵が空いてる
ギョッとするなな
不安な表情の幸
「なな 三太 絶対に離れるなよ」
うなづくななと三太
扉を開ける兄
懐中電灯で足元を照らしながら
息を殺して中に入る3人
リビングのある部屋から白い光
廊下を歩いてリビングに向かう3人
リビングに着いた3人
懐中電灯でリビングを照らす
短いクチバシに加え
背に亀の甲羅を背負おう
幸の友人 鯉木 聡太が安座
両の手で印を結び
球体状の水の結界を展開
中には身を寄せ合う聡太
聡太の奥さん由美子
娘の舞
ライトに反射して光り輝く水の中に
舞が母の膝の上で寝ている幻想的な空間
驚くなな
目を輝かせる三太
「河童だあ!」
「聡太!俺たちもその中に入れてくれないか?」
目を合わせようとしない聡太
察してショックを受ける幸
「聡太?」
「僕の巫力ではこの大きさを
保つのに2時間が限界なんだ
巫術協会がいつ来るかも分からない今
助ける余力がない ごめん 幸!」
「たっ」
「頼れるのが聡太しかいないんだ!
この子達だけでも!」
怒るなな
「何それ!」
混乱する三太
「ごめん 許してくれ 家族を守りたいんだ…」
思案して次の行動を考える幸
「…..寺の中 隠れるのに使ってもいいか?」
「いくらでも使ってくれ」
「サンキュー聡太!」
「なな!三太!行くー」
ガッシャァァンと幸の言葉を遮る
ガラスが割れる音
驚いて起きる舞
1体のバケモノがなな達の方へ歩いてくる
もう1体のバケモノが聡太の展開する
結界に抱きつこうとしてくるが
水飛沫が上がる程度で弾かれる
「すまない…すまない...!」
ヒュッヒュッヒュッと音を鳴らしながら
ななたちに向かって走ってくるバケモノ
由美子が娘の目を塞ぐ
廊下に出て玄関へ走る3人
ななと三太を玄関の方へ突き飛ばす幸
バケモノが後ろから幸の右脇腹を
5本の爪で貫く
床に飛び散る赤い血
バケモノが爪を右横にスライド
右脇腹を切られうつ伏せの状態で倒れる幸
痛みに耐えながらななと三太の方へ顔を向ける
「に…げろ……」
混乱と涙目の表情を浮かべるなな
泣き叫ぶ三太を連れて
外へと走り出す
下山するために石畳の階段を降りようとすると
階段から登ってくる新たなバケモノ
絶望するななと三太
戻ろうとするが幸を襲ったバケモノも追いかけてくる
大木の近くまで追い込まれる2人
後ろに三太を庇うなな
「三太! あっちに逃げて!!!」
後ろを振り向いて
お堂に逃げるよう促すなな
視線を戻そうとすると
目の前には爪を振り翳すバケモノ
咄嗟に顔を動かすと鼻が切られ吹っ飛ぶ
ななは声にならない叫び声をあげる
大木の下にうずくまる
前に出て泣きながらななを庇おうとする三太
手を伸ばすなな
バケモノが三太を頭から飲み込む
ボロボロの靴
左だけ脱げて落ちる
鼻が欠損した部位から大量の出血
気絶するなな
大木に付着した血から白い煙
回想
中学生の幸が登校すると学校の机に帰れと落書き
校舎裏で殴られ蹴られる幸
「ナマポ受けてる奴が高校に来るんじゃねえよ!」
「俺たちの税金返せクズ!」
『なんでにぃにを虐めるの?』
三太を殴りつける母
「テメェ!ピーピーうっせんだよ!」
泣いてる三太
「うああぁぁああぁあ!」
泣きながら三太を抱きしめるなな
「あっちいけ! あっちいけ!」
殴られるなな
「なんで三太を虐めるの?」
目を覚ますとななの家
欠損していたはずの鼻は元に戻り
煌びやかなドレスを着ているなな
テーブルの上にケーキやフライドチキン
テーブルの前に座ってる黒い人影
目と口だけが見える
手を前に出し挨拶をする人影
男の声色
「よお やっと繋がったか」
「いきなりで悪いが時間は限られてる取引だ」
ななをテーブルの前へ
手を引きエスコートする人影
「騒いでるゴミを 一撫でにして殺す力をやる」
後ろから両手をななの肩に置いて
テーブルの前に座らせる。
「かわりに」
崩れた笑顔で横から身体を舐め回すように
覗き込む人影
「お前の身体をよこせ」
「俺は俺の恨みを晴らしたい
お前はお前の恨みを晴らせる」
「どうする?このままー」
何かに気づく人影
聞き取れない声で呟くなな
回想
声を殺して泣いてる
幸は風呂の中で
三太は布団の中で
泣くのを我慢してるなな
風呂の外で
布団にくるまって
おどける幸
「なな!」
甘える三太
「ねぇね!」
「もうにぃにと…
三太がいないなら...」
涙が溢れ出すなな
「生きてる意味なんてないよ…!」
「一緒に死ぬぅ」
悪魔の囁き
「思い出せよ お前の家族をいじめたのは?」
泣くのを止めるなな
「お前の普通を奪ったのは?」
怒りが込み上げてくるなな
「お前の人生 これでいいのか?」
ななの鼻の形が崩れていく
「壊そうぜ」
怒りの対象を思い出すなな
幸をいじめた幸の同級生
いじめを無視する教師
暴力を振るう母の彼氏
子を嘲笑う母
助けてくれなかった鯉木家
三太を飲み込むバケモノ
「「こんな世界」」言葉が重なるななと人影
暗闇
部屋の明かりがつく
服装がスウェットに戻る
テーブルの上
真っ黒な箱
開けるなな
怒りの対象の生肉や臓物で作られたケーキ
赤い骸骨がショートケーキのイチゴのように
指が蝋燭のように挿さってる
ななが挿さってる誰かの親指を摘むと
指先に火がつく
火のついた親指を逆さまにして突き刺す
火がケーキに燃え移る
部屋の明かりが消え
涙を蒸発させながら笑う鬼の形相のなな
赤い火で照らされる
「ぶっ壊してやる」
鼻が崩れ去るなな
ななと同じ様に笑う黒い人影
暗闇
白い煙が漂う
「初めてのタバコに咽せるなよ 小娘」
鯉木家
リビング
バケモノが水の中を覗き込む
恐怖から泣く舞
「うわああぁあああん」
娘の目を手で覆う由美子
「大丈夫!大丈夫だからね!舞!」
結界に集中する聡太
「ジリ貧だ 早く誰か!」
廊下から物音
廊下の方を気にかける聡太
聡太と契約してる河童
脳内に話しかける
『聡太!なんか暑いぞ!』
聡太
『!』
部屋の気温が急上昇して
汗が噴き出す鯉木一家
河童
「おいなんかまずい!」
鯉木さん
「水を増やせ!!!」
爆音が轟く
窓が吹き飛び
食器棚が歪み崩れ
割れる鯉木家の写った写真たて
球状の水の層を何重にも展開
爆発を防ぐ結界
結界の周りを白い煙と黒い煙が渦巻く
真っ白な水蒸気で部屋が満たされる
倒れているバケモノ
「ママ 暑い」
意識が朦朧とする舞
「......」
暑さで何も返せない由美子
意識が朦朧とする聡太
「魔力を使いすぎた
これ以上はもう...」
日本刀を帯刀したスーツ姿の人影がリビングに現れる
大木の前
落ちてる看板
燃えている僧侶の絵
燃えていない赤い犬の絵
大木のあった地点の中央
木の蔦に絡まった木刀
大量の灰を被り倒れているなな
燃える蔦
支えの失った転がる木刀
燻る木刀の上身
木刀から出た白い煙
鼻から吸い込むなな
黒く染まる髪
背中からスウェットと上着を突き破る黒い羽根
にやけた口元から黒い牙
口からほとばしる炎
燃え盛る木刀
立ち上がるなな
欠損した鼻の部分に燃え盛る炎
真っ赤な異形の目
ななの手元に飛んでくる燃え盛る木刀
握った木刀を地面に向けて
左手で上から下に軽く叩く
カーンと鳴り響く音
地面から湧き上がる火柱
燃えるバケモノとお堂
「ヂャハハハハハハハハ!!!」
甲高い不気味な笑い声
燃えるお堂を背景に
燃え盛る木刀を飲み込もうとするなな
木刀を蛇のように飲み込む
暗闇の市街地
屋根伝いに追いかけっこしてる人影
エルとエルの監視部隊
頭にヘッドライトをつける監視部隊
先頭にエル監視部隊 隊長山中
スーツに日本刀を帯刀してる
後に続く山中の5人の部下
目でやっと見える先に脱走した少女エル
山中に向けて後ろから話しかける
黒シスター ミア
「私たち!民間人の救助に行かなくていいんですか!?」
返事をする山中
「もうすでに連絡してる!
俺たちはあいつが最優先事項だ!」
『だが』
『報告してから20分以上
特急隊がこねぇ
人が足りないのか…』
「隊長!」
「分かった
人命優先に切り替えろ!
対象は俺が追跡を続ける!
特急隊に引き継いだらすぐに戻れ!」
「「「了解!」」」
山中の後ろにいた5人が散開
赤峰山から爆発音
音の鳴った方角を見るエルと山中
目を輝かせるエル
黒い電光が場に残り姿が消えるエル
「あっ待て!」
「くそっ!次から次へと…!」
追いかける山中
寺の入り口付近
石畳階段の手すり
バランス良く乗るエル
「お姉ちゃん何してるの?」
小首をかしげる天真爛漫な笑顔のエル
「あはhaはぁhhhあははは!」
不気味に笑っているなな
エルに突っ込んでくるなな
手すりの上にいるエルを乱雑に殴りつけるなな
青いオーラを纏った手でいなしながら
手すりの上で話しかけるエル
「お姉ちゃんが占いの人?」
ななが腕で薙ぎ払うと
衝撃波が空を切る
それと同時にななの後ろに飛び
逆さまに落下するエル
くるくると回転をしながら身体を捻り着地
「私ね!エルっていうの!
エル・エクレール!
あなたも魔術師ー」
「ぐるrrらああァァァァァ!」
後ろを振り向き
口から炎を吐き出そうとするなな
ジト目のエル
「じゃないね」
間合いを詰めて腹に3発拳を打ち込む
ななの顎をアッパー
炎が口の中で行き場を失い暴発
再生する爛れた口元のなな
ななの前で仁王立ちするエル
ため息をつきながらジト目でななを睨むエル
睨み返すなな
「全然コントロールできてない」
殴りにくるなな
余裕で避けていくエル
「あの占いインチキだったんだ」
後ろに回ってななを蹴り飛ばすエル
燃えているお堂に吹き飛ばされるなな
すぐに体勢を立て直して
空中に浮遊するなな
興味を失い背を向けて帰ろうとするエル
「つまんないの」
鯉木家の前から少し離れた安全なスペース
幸が倒れている
ふらふらとスペースに向かい
歩いている鯉木一家
鯉木一家の後ろ
無線機を使う山中
「こちら山中 特急隊へ報告
赤峰山 光田寺 緑2黄1赤1 至急ー」
空中から鯉木一家を見下ろすなな
黒い人影が囁く
『思い出せよ 家族以外はみんな裏切る
みんな虐める 殺られる前に殺せ』
鯉木一家を殺そうと飛びかかるなな
茂みからヒューヒューとバケモノの鳴き声
十数体のバケモノ
山中と鯉木家、エルに襲いかかるバケモノたち
捌いていくエル
「変態が束できた!?」
焦りながら山中が指示
「旦那!結界!」
絶望する聡太
「魔力がもうない!」
襲いかかるバケモノ
腰の日本刀に手をかける山中
『くそっ!間に合わねえ!』
前に出て家族を守ろうとする聡太
後ろでうなだれた舞を抱えて泣いてる由美子
聡太の首元に爪を突き立てるなな
聡太を幸
由美子を黒いもや
舞と三太を重ねる。
バケモノや虐めてきた人
虐待した母やその彼氏が
混ざり合った姿のなな
左目のみ元に戻りかけるなな
聡太の首元から血が垂れていく
左手で右手を抑え込もうとするなな
首を離して拳を作り
手のひらから血が流れる
聡太の後ろに来ていた
バケモノを殴り飛ばすなな
驚くエル
『コントロールした!?』
「あはは!」
ななへの興味が戻るエル
由美子と自分を重ねるなな
左目が再び赤くなり
由美子を殴り殺そうとする
由美子を助けようとするが
バケモノに囲まれるエル
「ああもう!数が多い!」
残りのバケモノを日本刀で切り捨て
すぐに聡太を助けようとする山中
力を振り絞り悪魔から由美子を助けようと
山中の腰の短刀を奪い
ななを殺そうとする幸
山中
「!?」
悪魔がななと気づいた幸
短刀を使わず、ななの拳で腹を貫かれる幸
血反吐を吐きながらななを抱きしめる
『『『!?』』』
理解が追いつかないなな
両目のみ元に戻る
「にぃ…に?」
ななが拳を引き抜く
抱きしめ返そうとするなな
崩れるように倒れる幸
空を切るななの両腕
「にぃにを こ…ころし」
仰向けになってる幸
手に取った短刀を自分に向ける幸
『なな...で1番』
「お前を...愛してる」
山中から奪った短刀で自らの心臓を刺す幸
両目が真っ赤になり
自分の首に爪を突き立て締め上げるなな
首から血が溢れる
髪が黒色と亜麻色に点滅
「ヴァああああああああ!!!」
ななの深層意識の中
自分の首を絞めて泣き叫ぶなな
「にぃに ごめんなさい なんで私」
「余計なことしやがって
次だ!まだお前の願いは終わってねえぞ」
「こんなこと望んでない!
もう何も壊したくない!
誰か 誰か助けて!!!」
椅子の後ろ
キレてる幸
「妹に変なこと吹き込んだのはテメェか?」
「!?」
「にぃに!?」
「なんで霊魂が入ってきてる!?」
「なんでだって?分かんねぇけど
俺がななの」
拳を握る幸
「お兄ちゃんだからだ!!!」
黒い人影を殴る幸
吹っ飛ぶ人影
すぐに起き上がる人影
幸に迫る
「邪魔すんな」
後ろからドレス姿のななが
ケーキカット用のナイフで黒い人影を刺す
「にぃにをいじめるな!!!」
「くそがっ!」
黒い人影が弾け飛ぶ
黒い液体が飛び散る
ナイフを捨てて幸に駆け寄るなな
消えかかってる幸
「なな 三太は?」
「守れなかった…」
「そうか じゃあ寂しくねえな」
「ふぅ...ふぐぅぅ」
泣き出すなな
「聡太のこと 責めないでくれ
俺がよえぇからいけないんだ
あいつ苦しんでると思うから
できれば謝って 仲直りしてくれ」
「にぃには弱くないよ!私が!」
「なな 優しいなな
どこでもいい 人じゃなくてもいい」
「今度会う時 見せてくれよ お前の友達」
「友達なんか要らない!
にぃにがいい!三太がいい!」
涙を堪える幸
「なな ひとりぼっちにさせて ごめんなあ」
涙を拭うなな
濁声で泣きながらふざけるなな
「わたし 友だち探してみるね」
笑顔の幸
「お前の兄ちゃんで幸せだ」
脈打っていた髪が亜麻色になり
生えていた羽根や牙が消えて
気絶するなな
「自力で抑え込んだ!?
封印も無しに初めて見た」
鼻に消えかかってる火を確認するエル
「分かりやすくて助かる」
笑うエル
左手の5本の指に紅いオーラを纏わせるエル
「ねえ 山中
縫合処置ができる術者を呼んで
最低でも2ndクラス 今すぐに」
『! これが例の?』
鞘に収めた日本刀に
手をかけようとする山中
「ねぇ」
キョロキョロとななの鼻を探してるエル
「早くして」
睨みつけるエル
両の手のひらを見せて
敵意が無いことを伝える山中
「分かった その代わり 大人しく戻ってくれ」
うなずくエル
苦しむななを一瞥する山中
耳に手を当てる山中
「ミア 大至急来てくれ
その他は引き続き 特急隊のフォローを頼む」
「あったあった」
息を切らした黒シスターのミア
「ハァハァ すいません 遅れました」
「早速で悪いが エルの指示に従ってくれ」
右の人差し指から血を出すエル
血文字で左の手のひらに紋様を描き込む
「さあ 始めようか」
10年前 寒い冬
ななの母が彼氏に髪の毛を掴まれ、腹を殴られてる。
「俺のケーキ食ったのお前だろ!?」
「私じゃないってば!信じてよぉおおお!」
泣きながら震えるなな
『取っちゃった...お星様のケーキ......』
回想
四角い箱からケーキを取り出す数刻前のなな
恐怖で震えるなな
『言わないと...』
帰ってきた幸
「テメェあのケーキがどんだけたけぇか
分かってんのか!この泥棒が!」
「違うって」
震えながら告白しようとするなな
「あ あのね ケー」
ななを見て察する幸
母と母の彼氏の前で手を広げる幸
笑う幸
「ケーキのことだろ?
甘くて美味かった!
ごちそうさまでした!!!」
驚くなな ほっとする母 激昂する母の彼氏
ゴミ箱のある路地裏でコンビニの廃棄弁当を
食べてる幸となな
幸の顔には青あざ
青あざを心配そうに見つめるなな
「ごめんなさい にぃに」
「痛くねえよこんなの 痛いなら泣くだろ?」
「見ろ」
にっこり笑う歯が抜けてる幸
幸を見てからうつむくなな
「ああなるって わたし分かってたの」
弁当を掻き込む幸
「飯をくれない大人が悪い」
首を横に振るなな
「私が取ったの...」
涙がポロポロ溢れるなな
「悪い子だ…私…」
「あれを取ったのはななだけど
食べたのは三太だろ?」
驚くなな
「じゃないとお前今こんな食えないだろ」
「でも…でもにぃにが痛いのいやだ」
「だから痛く無いんだって!
そんなことより!」
「ななは怖かったのに
三太のために頑張った!
兄ちゃん嬉しいぞ!」
泣き始めるなな
「うわぁああああん」
幸が捨てられていた漫画の表紙を見る
赤くて丸い鼻のコミカルなキャラクターの絵
「俺がたくさん働けるようになったらさ!」
弁当にあった小梅を割り箸で拾い
鼻に当てて濁声でふざける幸
「兄ちゃんがケーキとか
お肉とか腹一杯食わせてやる!」
泣き止みケタケタと笑うなな
「他に何か欲しいのあるか?
ドレスとか ビーズとか」
「えっとね ものじゃなくてね」
幸に耳打ちするなな
「あのね おともだち」
苦笑いする幸
「それは買えないなあ」
「でも生きてりゃ 神様がある日
ばったり会わせてくれるかもな」
「会えるかな?会っても仲良くなれるかな...」
「なれるさ!
ななにぴったりの最高の友達が!」
「...それってどんなおともだち?
一緒にあそんでくれる人?」
「それもそうだけど そうだな〜
寂しい時 そばにいてくれる人かな」
「にぃにみたいだね」
「だな」
笑い合う2人
降り出す雪
立ち上がる幸
「もう行かないと」
また泣きそうになってるなな
「にぃに待って!私も!」
少し遠くまで歩いた幸が振り向く
寂しそうに笑いかける幸
「なな」
鼻を赤くして鼻水を出しながら
涙が溢れ出すお兄ちゃん
「めりぃ クリスマス!」
手を伸ばして泣いているなな
鼻には赤い5本線アスタリスクの印と縫い傷
朧げに消えかかってるアスタリスクの印
伸ばした手を左手で繋ぐエル
「初めまして!エル・エクレールです!
私の喧嘩友達になって!」
右の指でLを作り
人差し指でほっぺをぷにっと決めポーズするエル
「何?誰?」
混乱してるなな
鼻の印が消える
鼻血が出る
「お姉ちゃんのお名前は?」
ななの鼻血を着ている服の袖で拭うエル
「あ…まめ…なな」
「今日は何日か分かる?」
「…25日…12……月…クリ…スマス?」
笑うエル
「一緒にケーキでも食べる?」
「ケーキ…」
朝日が照らすななの横顔
唇を食いしばるなな
震える唇
朝日に輝く涙
「帰りたい…」
副題 赤い鼻のお兄ちゃん
2話
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3話
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