Jukiハイポストミシン PLC-1690/1691が2008年頃いきなり出現したように見える理由

ひとつ前の記事も総合送りハイポストミシンの話題でしたが、構造前提を説明するのを忘れてたので冒頭に置きます。かんたんに説明するとどのメーカーの製品も左釜と右釜どちらでも組めるよう下軸を含むベッド部分には2本針の水平釜を流用、釜軸を上に長く延長し、ベッドから400mm以上上に釜を配置したものです。
その観点でジューキPLC-1690のベースミシンなんだろ?急に出てきてこれだけ見た目が違うし、と気になって調べても答えにたどりつかず、Geminiに聞いてみました。こちらでも上部ボディの画像検索等はすでにやっておりGeminiといえどすんなり回答がでてきませんでしたが「2本針」と「水平釜」方面から答えにたどり着きました。PLC-16602本針ポストミシンをベースにハイポスト化、2本針倍釜から小釜の左右どちらか配置の一本針に。なぜなかなか見つからなかったのかというと、Juki公式にあるはずの当該ミシンの情報が不自然に消されているから。

日本では2件、海外でも2件しか検索ヒットしないレアミシン。
JukiパーツリストにはPLC‐1660もある(左)右のPLC-1690との比較で外枠フレームは同一
楕円送りも同一

Juki公式にパーツリストはあるけど取扱説明書がない、その事実は不自然です。1983年から2025年までロングセラー販売された生産終了のPLH-980シリーズとは肩を並べることにはならないにしても存在そのものを消す?

生産終了製品にリストアップされてないから説明書もない。それなのにパーツリストはある

ではPLC-1660という希少ミシンのベースとなる2本針平ミシンは?と次のクエストが生まれてくるわけですが歴史上存在しません。総合送り1本針水平釜なら562とかSinger直系があるんですけどJukiの2本針総合送りの平ミシン登場はずっとあと。【更新】いやありました。

メーカー公式のパーツリスト(部品図)などの記録を確認すると、1983年(昭和58年)10月に大幅な部品の仕様変更(設計変更)が行われた旨が記載されているため、この時期にはすでに日本国内の工場などで広く普及し、主力として稼働していたことが分かります。

タイムラインは、これで合ってるのだろうか?ハイポストがリーマンショック頃ようやく出るのは遅すぎる。20世紀でも可能だったはずなのに

  1. 1990年半ば、「三菱みたいな総合送り2本針ポストミシンはないのかよ!」JUKI松江が開発、世に出たのがPLC-1660。ほとんど市場に出ず。水平釜は1本針のLU562や腕ミシン341だけだったので土台ベッドはゼロから作り出す

  2. 21世紀になり水平釜総合送り腕ミシン341が1341にモデルチェンジする際にそのヘッドを流用したJuki初の総合送り2本針フラットベッドミシンがようやく登場。同じフラットベッドベースを使用したポストミシンPLC-1710-7/PLC-1760-7も登場。下送り軸と楕円送りリンクはPLC-1660とよく似てますが、全体的に新設計。

  3. リーマンショックの頃にハイポストミシンPLC‐1690が登場。新世代の水平釜平ミシンベースのPLC-1710-7/PLC-1760-7シリーズでなく、ほとんど売れずに活用されないままだった20世紀のPLC-1660ヘッドとベッド部品を使った。

部番はJuki松江が吸収されてからJukiの品番に変わっています、オンラインパーツリストでPLC-1690のパーツを調べてもPLC-1660の部番は昔のままで合致せずPLC-1660の存在は一切浮上してきません。
ここからは推測で「新製品といいつつ売れなかった時代遅れ機種の再活用かよ」と言われないため、ベースとなったPLC‐1660情報をきれいさっぱり消去、パーツリストだけは企業責任的に残したのでは。

PLC-1690の元ミシンはなんなのか、画像類似検索してもGeminiに尋ねてもわからなかったので、Jukiの過去モデル隠匿術はすごいな、と。


Juki合併前のYakumoに水平釜の針送り平ミシンがありますね。そっち方面からサーチした情報をざっと。

この風変りなヤクモの古いポストミシン(ロングセラー)をかんたんに説明して終わります。ジャンル外なので知らないけど、右釜1本針仕様しかないかも。

車輪なので靴業界向け。フレーム右側の造形がシャフトでの上下軸伝達ミシンであることを醸している

1. 【上部アーム・メカ】ヤクモDBE-780の上部フレーム

  • PLH-980の内部駆動は、「金属シャフトと傘歯車」です。ベースのアーム鋳型には、箱型腕ミシンDBE-780の上部フレームの形状がもっとも類似しているようです。上下送りもしくは下送り。

これの糸調子器は今言うとこの職業用ミシンぽく、タッチバックレバー以外はそっくり

2. 【下半身ベッド】JUKI LHシリーズのベッド上面を拝借

  • 作りたいのは「2本針・水平釜」のポストミシンですから水平釜ミシンからベッドを拝借しないといけません。

  • そこで、最初から2本の針が落ち、真上から2つのボビン(水平釜)を出し入れするための左右対称ハッチ(長方形のすべり板)が完成していたJUKI LHシリーズのベッドを移植することにしました。これにより、ベッド外観がLHシリーズにそっくりな姿になります。

3. 【内部の駆動骨格】ヤクモDBE-780のシャフト駆動へ変更

  • LHシリーズ下軸駆動はタイミングベルト駆動ですが撤去して当時のヤクモで主流だった「全金属・下軸ギア駆動」へと中身を丸ごと総入れ替え(変更)しました。
    その平ミシン2本針がありました。そっくり?違う?

LH-1152。ジャンル分けではアパレルミシンです(アパレルだがジーンズとか厚手生地)。送り量ダイアル位置が違うけど上部がPLH-980と似てますね。このボディタイプにはルーパー付き縁かがりなど変わった縫い方用の2本針ミシンもあります

それがね、LH-1152のパーツリストを見たらシャフトでなくベルトドライブです。そう、Vベルトプーリー側のボディ幅が大きいですね

LH-1152 はベルトドライブ
PLH-981/982はシャフトドライブ

2本針車輪送り(上もギア駆動)というPLW-1264。

針間2mmとかの靴用

わけがわかりませんがもういいです。ハイポスト以外のポストミシンは興味の対象外ということにします。