習い事をさぼっていた——2ヶ月間そろばんに行かなかった息子と、発達グレーの子の「嘘」の話
発達グレーの子が嘘をつくとき、そこには罪悪感がないことが多い。今回はそんな話をする。
リク(仮名)は小学2年生のとき、習い事をさぼっていた。
そろばん塾は、バスに乗って通う場所にあった。通い放題のスタイルで、何回行っても何回休んでも連絡が来るわけではなかった。それが、2ヶ月間気づけなかった理由のひとつでもある。
おかしいと思い始めたのは、いくつかの違和感からだった。
バスの時間までかなりあるのに、いつも慌てた様子で家を飛び出していく。水筒にお茶をいっぱい詰めて。そして、汗だくで帰ってくる。
何かが引っかかった。
キッズケータイのGPS機能で確認してみると、そろばんに行っているはずの時間帯に、同じマンション内の別の場所にずっと滞在していた。
問い詰めると、目が泳いだ。でも誤魔化しようがないと思ったのか、認めた。
2ヶ月間、そろばんには行っていなかった。コンビニで漫画を読んだり、友達と遊んだりしていたという。
なぜさぼったのか。理由を聞くと、こう答えた。
「先生に少し怒られたのと、友達ともっと遊びたかったから」
やめたかったなら話してほしいと伝えていた。なぜ言わなかったのかと聞くと、こう言った。
「そろばんに行くって言えば、6時まで遊べるから」
普段の遊びは5時帰宅のルールがあった。でも、習い事に行くと言えば遅くなっても自然に見える。2ヶ月間、そのことに気づかれないまま、リクは毎日たっぷり遊びきっていた。
悪いと思っているか確認すると、思っていないと答えた。
怒りと呆れと、どこか笑えない気持ちが入り混じった。
辞めたいなら辞めていい。ただ、嘘をついてほしくなかった。でもリクにとって、これは「嘘」ではなかったのかもしれない。目の前の「たくさん遊べる」という利益に向かって動いた結果に過ぎなかった。
後になって思えば、あの行動にも特性が出ていた。
ADHDの傾向がある子は、目先の報酬に強く引きつけられる。「今日たくさん遊べる」という即時の喜びが、「後でバレる」「親に怒られる」という先の見通しを上回ってしまう。
嘘をつき続けるという計画性があったわけではなく、ただ毎日「今日も遊びに行こう」という選択を繰り返していただけだったのだと思う。
罪悪感が薄く、先を読む力が弱い。この頃のリクには、そういう特性があった。
その事象が判明したことで、そろばんはやめた。
今の私なら、最初に「なぜ続けるのか」「行きたくない日はどうするか」をルールとして一緒に決めておく。やめたいときは話すというルールも、言葉だけでなく紙に書いて目に見える形にしておく。
口で言うだけでは、ワーキングメモリが弱い子にはなかなか残らない。
このとき叱った後に起きた出来事が、私の「違和感」を決定的にした。その話はこちら。
https://note.com/dekoboko_ikuji/n/n176b732c896e
あなたと、あなたの大切な人の明日が、少しだけ軽くなりますように。
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