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kaworukumda11
第3話:たまたま音が出たサックス
初めてサックスを持ったとき、正直に言えば、何をどうすればいいのかまったくわかりませんでした。
楽器の構え方も、息の入れ方も、リードというものが何なのかもわからない。それまで吹いたことがある楽器といえば、授業で使うリコーダーくらいでした。
最初に教えてくれた先輩から、リードを湿らせるために咥えるように言われました。
当時の自分にとっては、それすらかなり新鮮でした。言われるままにリードを咥えて、「これでいいですか?」と聞いたら、「まだ足りない」と言われました。
すると、その先輩が自分の咥えていたリードを、そのまま咥えたんです。
思春期の自分には、かなり衝撃でした。
今思えば、吹奏楽部ではそういう距離感が意外と普通だったのかもしれません。飲み回しや、楽器の吹き回しも、だんだん当たり前になっていきました。
でも当時の自分には、自分の知らない世界に入ってしまったような感覚がありました。
そして、初めてサックスで音が出たとき。
うまく吹けたわけではないと思います。
でも、音が出たことが素直に嬉しかった。
リコーダーとは全然違う感覚でした。息を入れたら、楽器全体が鳴るような感じがして、なんとなく気持ちよかった。
その瞬間に「これだ」と思ったわけではありません。
でも、音が出た嬉しさは、今でも覚えています。
サックスに憧れていたわけでもない。
最初から選びたかったわけでもない。
特別な理由があったわけでもない。
ただ、たまたま手に取ったサックスで、たまたま音が出た。
それが、サックスとの最初の出会いでした。
