絶縁耐力試験について知る/印加電圧は?交流?それとも直流?違いについて解説

絶縁耐力試験
電路は、大地から絶縁しなければならない
上記に基づき機器の絶縁を確認します。それが、絶縁耐力試験です。
基本的には新設竣工試験や取替工事と同時に試験をすることになりますが、省略することも可能です。
ただし、条件があります。条件については後ほど解説します。
また、耐圧試験を実施しておく方が信頼性は高いです。
関連規程
高圧又は特別高圧の電路は、以下のいずれかに適合する絶縁性能を有すること
1.1-1表に規定する試験電圧を電路と大地との間に連続して10分間加えたとき、これに耐える性能を有すること。
2.電線にケーブルを使用する交流の電路においては、下表に規定する試験電圧の2倍の直流電圧を電路と大地との間に連続して10分間加えたとき、これに耐える性能を有すること。


変圧器(計器用変成器※抜粋)の電路は、次の各号のいずれかに適合する絶縁性能を有すること
1.16-1表に規定する試験電圧を、同表に規定する試験方法で加えたとき、これに耐える性能を有すること
2.民間規格評価機関として日本電気技術規格委員会が承認した規格である「電路の絶縁耐力の確認方法」の「適 用」の欄に規定する方法により絶縁耐力を確認したものであること
開閉器・遮断器・電力用コンデンサ・誘導電圧調整器・計器用変成器その他の器具の電路並びに発電所又は変電所、開閉所若しくはこれらに準ずる場所に施設する機械器具の接続線及び母線は、以下のいずれかに適合する絶縁性能を有すること
・使用電圧が高圧又は特別高圧の電路においては、前条第一号の規定に準ずるものであること
・電線にケーブルを使用する機械器具の交流の接続線又は母線においては、前条第二号の規定に準ずるものであること
・民間規格評価機関として日本電気技術規格委員会が承認した規格である「電路の絶縁耐力の確認方法」の「適用」の欄に規定する方法により絶縁耐力を確認したものであること

交流耐圧
交流にて試験する場合( 例.6,600V 回路)は印加電圧が10,350Vになります。
式)最大使用電圧=6,600V×(1.15/1.1)
試験電圧=最大使用電圧×1.5=10350V

試験器の容量算定
高圧ケーブルの構造上、静電容量が発生します。
この静電容量を通じて電流が流れることになるためケーブルの長さに応じて試験器を選定します。
まず、今回はムサシインテックさまのIP-R型を参考にします。
①IP-R 1500の場合、定格電圧=120V 定格電流=12.5A
①R-1115:昇圧用トランス 1.5KVA 巻数比1:100
②IP-R2000の場合、定格電圧=120V 定格電流=16.6A
②R-1220:昇圧用トランス 2.0KVA 巻数比1:100
例)CVTケーブル40m 0.32μF/km
充電電流Ic=2πfcVt=2×3.14×60×(0.32μF×40/1000)×10350×3
Ic=0.1497A=149mA
この場合の試験器の選定はIP-R2000がベストです。

例)CVT ケーブル60m 0.32μF/km
充電電流=223.5mA
この場合の試験器はIP-R2000では容量不足です。
じゃあ回路にリアクトルを追加すると? 例)DR-1220MH 200H(ヘンリー)
IL:Vt/(2πfL)=10350/(2×3.14×60×200)=0.137A=137mA
回路に存在するケーブルの静電容量分をリアクトルにより打ち消す仕組みです。
I=Ic-IL=223.5-137=86.5mA

ちなみにですが、ケーブルの静電容量に関してですが、ケーブルの構造を想像して下さい。
導体ー絶縁体ー遮蔽層が見かけ上のコンデンサとして働き、静電容量を持ちます。
コンデンサも電極の間に絶縁層がありますよね。
理論上はケーブルが長いほど静電容量が大きくなります。

注意点
もちろん試験においては注意点があります。
以下にいくつか紹介しますので覚えておきましょう。
高電圧
試験においては10350Vを電路に印加することになります。
高圧の電路に接触若しくは接近する場合、絶縁用保護具の着用義務があります。
電路に電圧が印加されているか確認するために検電を行うと思いますが、
もちろんその際も高圧ゴム手袋の装着が必要です。
試験回路は形成できてる?
これは聞いた話ですが、結線ミスにより試験器側に高電圧が励起されたという事例がありました。
やはり試験器側も高圧ゴム手袋の装着は必須ですね!
そもそも結線ミスをしなければ良いんですけど。
また、試験回路側ですが印加したい機器全てに電圧が印加されていないと、改めて試験する必要があります。
例えば、VCB開放していたらそれ以降は印加されていませんよね。
連続10分ですから、かなり時間の無駄になります。
電圧印加前には必ず結線及び試験回路の確認を行いましょう。
周知はできてる?電柱側は?
めっちゃシンプルに!周知しましょう。安全監視しましょう。
新設竣工試験や取替工事だと工事会社が電気設備の工事をしている事もあろうかと思います。
絶対に周知して下さい!でないと誰か感電させてしまうことになりますよ!
電柱側の安全確認が抜けている事もあります。電柱で誰か作業していなくても塗装屋さん含め様々な業者の方が作業をしています。
工事業者の休憩のタイミングで試験を実施するのが好ましいです。
Tr2次巻線のアースとブレーカの開放
まず大前提ですけども機器の接地工事が必須ですよね、接地工事が施されている事を確認した上で耐圧試験を実施しましょう。
なかでも、変圧器の2次巻線のB種接地工事を確認して下さい。
まず、変圧器は一次巻線にかかる相間電圧が2次巻線に誘起されますよね。
ですが、耐圧試験での印加回路は機器と大地間です。つまり通常は2次巻線に電圧は発生しません。
なんですが!変圧器2次巻線のB種接地工事が施工されていない場合、2次巻線に高電圧が誘起され、低圧回路を破損させる恐れがあります。
低圧ブレーカを投入していると低圧機器の破損につながります。
接地工事を確認してから耐圧試験を行うことを徹底して下さい。
直流耐圧
交流にて試験する場合( 例.6600V )は印加電圧が20700Vになります。
式)最大使用電圧=6600V×(1.15/1.1)
試験電圧=最大使用電圧×1.5×2=20700V
関連規程でも解説した通り、直流の場合は交流の試験電圧の2倍です。

注意点
需要場所においては、基本的には交流電路がメインになるかと思います。
なので直流での試験の場合は20700Vでの試験になるかと思います。
また、あくまで直流での試験はケーブルにのみ適用することが可能です。
高圧機器に印加した場合は定格電圧を超えて10分間も印加する訳なのでほぼ確実に破損します。
また、印加確認する場合は直流用の検電器を使用して下さい。
交流用を使用しても検電器は反応しませんのでご注意ください。
絶縁耐力試験の省略条件
電気設備技術基準 解釈第16条 において変圧器やその他の高圧機器の絶縁性能に関して規定されています。
また、その中に下記のような一文が記載されています。
民間規格評価機関として日本電気技術規格委員会が承認した規格である「電路の絶縁耐力の確認方法」の「適用」の欄に規定する方法により絶縁耐力を確認したものであること
ここで言う規格と言うのは、JESC E 7001「電路の絶縁耐力の確認方法」です。
JESC E 7001「電路の絶縁耐力の確認方法」に基づき絶縁耐力試験を実施したことを確認できたものについては、常規対地電圧を電路と大地間に連続して印加する事ができる
「判定基準」 JESC E 7001「電路の絶縁耐力の確認方法」によって試験を実施した場合には、常規対地電圧を連続して10分間加え絶縁に異常がないこと。
以上により、JESC E 7001「電路の絶縁耐力の確認方法」に基づいて試験する場合は常規対地電圧を連続して10分間耐えることで絶縁性能を確認する事ができます。
JESC E 7001「電路の絶縁耐力の確認方法」に記載されているのは各機器の規格での耐電圧試験に関する内容です。
例)「交流遮断器」電気学会 電気規格調査会標準規格 JECー2300
つまりは、JECー2300の規格に耐電圧試験に関する記載があります。
その耐圧試験に合格している事が確認できたら常規対地電圧を印加しても良いよと言う事です。
もっと簡単に言うと、商品として出す以上はメーカが規格に適合した商品を出品するんです。
そのメーカ出荷時の試験成績書を貰えば絶縁性能は確認出来た事になります。

以上、お疲れ様でした!
