セレッソ大阪2026〜百年構想リーグ後半戦〜
秋春制への移行前の特別大会「百年構想リーグ」も全日程が終了。地域リーグラウンドは勝点31で2位。プレーオフラウンドではFC東京を2戦合計5-3で破り、最終順位は3位という結果に終わった。百年構想リーグ後半戦の戦いをスタッツと共に振り返り。

・試行錯誤の末に辿り着いた形
今シーズンのセレッソのテーマの一つは、「昨シーズンチーム得点王のハットンとアシスト王のルーカス フェルナンデスの穴をどのように埋めるか」だった。リーグ前半戦からメンバーを替えたりシステムを変えたりと試行錯誤を繰り返したが、その中で辿り着いたのがアンドラーデの1トップだった。本人も「9番のポジションでプレーするのは初めてでした。今週、ボス(アーサー パパス監督)と話す中で、彼からは、『自分の力を9番で発揮して欲しい』と伝えられました」」とコメントしているが、第10節の大阪ダービーから3戦連続ゴール。地域リーグラウンドではソロモンと並んでチームトップタイの6ゴールを記録した。ダービーの得点はアンドラーデのスピードを活かしたものだったし、第12節広島戦の得点はゴール前での狭いスペースで技術の高さを見せつけたものだった。
アンドラーデを1トップで起用するようになってから、相手の背後を狙う攻撃やハイプレス&ショートカウンター等、昨シーズンのセレッソの特徴が戻ってきたように思える。スタッツではスルーパス数がリーグ1位、ショートカウンターでのゴール率が6位となっている。ちなみに、選手スタッツでは柴山がスルーパス総数リーグ1位となっている。


来シーズンはもっとゴールを!

一方でリーグ1位の走行距離が示すように体力の消耗の激しい戦い方であるため、90分間同じやり方を続けることは難しい。第12節広島戦では、前半は圧倒しながらも徐々に相手にペースを握られて試合終盤の連続失点で逆転負けを喫した。ここに関しても、第17節名古屋戦では改善が見られた。パパス監督も「いかに相手陣地まで効果的に進めるかがカギになると思っていました。」と振り返ったように、この試合は背後のスペースを狙ったロングボールが多かった。ビルドアップの途中でボールを奪われて攻撃を受ける機会が減り、ロングボールが味方に収まらなくても、ハイプレスを仕掛けて高い位置でボールを奪取しチャンスを作ることが出来ていた。結果的に敵陣でのボール奪取から得点を重ねることが出来た。
課題はありながらも昨シーズンの良さを取り戻しつつある攻撃面。そこで去年の課題って何だったかを思い出してみると、守備を固められた時の得点の取り方。セレッソに限らず守備を固められる相手を崩すというのは難しいけど、昨シーズンのセレッソは「敵陣において20秒以上ボールを保持した攻撃」からの得点率が0.4%でリーグ最下位だった。

今シーズンも得点率は0%でリーグ18位となっている。

ただ、このスタッツには反映されていないが、第18節岡山戦の横山の先制点やプレーオフ第1戦の登里の同点弾など、ゴール前に人数をかけて守られた状態でも得点を奪いきるシーンも見られた。
前者は左サイドの横山が右サイドに、後者はSBの登里がPA内にポジションを取っていたことが得点に結びついた。攻撃時に選手が流動的にポジションを変えるのもセレッソの攻撃の特徴の一つ。守備を固められた時でも得点を取れるようになるとさらに上の順位を目指せるはず。来シーズンも守備を固める相手をこじ開けるシーンがたくさん見たい。
・パパス流連戦の戦い方
GWは中3日や中2日の連戦となる。今年は移動距離という面の負担は少なかったものの、気温も上がる季節であり、体力の消耗の激しい戦い方をする上で連戦を乗り切るための工夫が必要となる。5連戦の2戦目となったアウェイ神戸戦でパパス監督は先発メンバーを全員入れ替えて、今シーズン初めてスタートから3バックのシステムを採用するという思い切った采配を見せた。

「コンディションなど諸々の関係があり、今日行ける選手を考慮したとき、この11人であれば今日のフォーメーションの方が良いと考えました。」とパパス監督がコメントしているように、神戸相手に最も勝てる確率の高い方法を選んだ結果、PK戦勝利で勝点2を獲得することができた。
昨シーズンもGWの連戦で3バックを採用したパパス監督。攻撃的なサッカーを志向しながらも、手堅く勝点を積み上げるための引き出しも持っている。ただ個人的には、格上相手の戦術を選択しないといけないほどに神戸とチーム力の差が出来てしまったという事実に悔しさを覚えた。神戸はACLEで準決勝進出したし、最大のライバルのガンバ大阪はACL2を制した。このままライバルクラブに差をつけられてはいけない。
・WESTグループ最少失点の守備
地域リーグラウンドでの失点数はWESTグループ最少の19、無失点の試合数6試合もWESTグループで最多。昨シーズンが38試合で無失点の試合が5試合だったことを考えると守備は大きく改善されたと言える。一方で「1試合平均被ゴール期待値」は1.6でリーグ2番目の多さであることを考えると、ギリギリのところで何とか守り切ったとも言える。

ハイプレスがハマらなかった時は、DFラインの裏を突かれてピンチを招くシーンはよく見られた。ただDF陣が懸命に戻って身体を張ったり、GKの好セーブでゴールを許さなかった。新加入の中村航輔は1年間の無所属期間もあったことから試合勘が心配されていたが、守護神として4月度のベストセーブ賞を受賞するなどの大活躍を見せた。
・個人的ベストゴール
後半戦の個人的ベストゴールは第18節岡山戦の上門のゴール。
昨年6月に大怪我を負ってから長いリハビリを経て、4月の第10節大阪ダービーで復帰した上門。そして383日ぶりのゴールを古巣岡山相手に決めた。「ゴールセレブレーションは今回はしないと決めていました。それぐらいリスペクトしているクラブですし、感謝しています」と本人がコメントしているように、待ちに待った歓喜の瞬間でも冷静さを失わなかった。プレーヤーとしての復活を感じさせるだけでなく、上門の人柄の良さが現れたこのゴールが後半戦の個人的ベストゴール。
・個人的ベストゲーム
後半戦の個人的ベストゲームは第17節名古屋戦。第16節終了時点で優勝の可能性が残っていたのは名古屋、神戸、セレッソの3チーム。セレッソは2連勝した上で、名古屋と神戸が2連敗することが優勝の条件。その上で名古屋との得失点差9をひっくり返す必要があった。優勝の可能性を残すためには、第17節の名古屋との直接対決での大差の勝利が必須だった。
結果から言えば、同じ日に2時間早くキックオフした神戸がアウェイ長崎戦で勝点1を獲得したため、セレッソの優勝の可能性は無くなっていた。神戸の試合結果をセレッソの選手たちがどのタイミングで知ったかは分からないけど、もし結果を知らずに戦っていたのであれば、セレッソは大勝が求められる名古屋との直接対決(いわゆる6ポインター)で大勝したことになる。「この一戦に勝てば…」という、セレッソがこれまでの歴史でなかなか勝ち切れなかった大一番の試合。プレッシャーに打ち克ち、大一番で求められる結果を手にしたという点でとても意味のある試合だったと思う。
通常のシーズンの半分の期間での特別大会。目先の結果を求めるというより、8月に開幕する新シーズンを見据えて試行錯誤を繰り返しているように見えた。そんな中でも第16節終了時点までWESTグループ首位通過の可能性を残していたことを思うと、前半戦の戦い方に後悔が残るような気もする。ただ、中村航輔や石渡ネルソン、横山夢樹などの新加入選手がスタメンに定着し、0トップやアンドラーデの1トップ、サブ組中心の5バック等いろいろな戦い方の引き出しが出来たのは収穫。この半年間で築き上げたベースに即戦力を加えて、秋春制最初のシーズンでの躍進に期待したい。
