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映画「ウィキッド」を観た(ネタバレ注意)(隙自語注意)

映画「ウィキッド ふたりの魔女」の字幕版を観た。
この映画の紹介や物語のあらすじは記さない。以下では感想と呼ぶには拙い私の内観の記録と、それにより引っ張り出されたあれこれを隙あらば自分語りする。

【注意】以下ネタバレ有ります。ネタバレしたくない方は読まないようにお願いします。

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産まれた瞬間から疎まれて生きてきたエルファバの、周りから受けた「お前は醜い」という言葉の呪いが、いつの間にか自分からの呪いにもなってしまう様子がとてもつらかった。自分自身からの呪いは、他者からの呪いよりも強く自分を縛る。彼女を取り巻く人々や環境から、自分を守るためにその呪いが必要だったことがとても悲しい。

エルファバがグリンダと同じ鏡に映って、グリンダに「綺麗よ」と言われ鏡を見つめた後、エルファバは鏡の前から逃げ出す。
自分が醜いと自分で決め込んでしまっているから、「そんなことない、あなたは綺麗よ」と言われたって信じられない。たとえそれが、信じたいと思った初めての友だちからの言葉でも。だってそんな言葉を信じてしまったら、もしまた誰かに醜いと言われた時にもっと傷付くから。もちろん自分が綺麗だって信じたい。私だって誰かに愛されたい。だけどそれ以上に、もう傷付きたくない。

強すぎる正義感がエルファバをより孤立させる。多くの人が見て見ぬフリをしていることを、彼女は見過ごすことができない。縋るように夢見ていた場所で、目の当たりにした不誠実を糾さずにはいられなかった。
正しいことを正しいと、意見を貫くことの難しさを感じたことがある人には分かる。それだけでなく、彼女は行動する。言葉だけではなく、彼女自身の体で立ち向かうのだ。

自分を今の場所に縛り付ける重力やあらゆる重圧にエルファバは屈することではなく、自分の強さに気付いて彼女自身の信念を貫くことを選ぶ。
その選択をした彼女の正しさと強さがあまりにも眩しくて、胸が痛くて、涙が出た。
エルファバ、飛び立った貴女はなんて眩しいの。

この映画の物語の中で最後にエルファバとグリンダにより歌われる「Defying Gravity」が強烈な印象を残す。
下記は私が感銘を受けた歌詞とその和訳である。

I'm through accepting limits
'Cause someone says they’re so
-限界を受け入れることはもう終わり
-それは誰かがそうだと言っただけだから

I'd sooner buy defying gravity
Kiss me goodbye, I'mdefying gravity
-私は重力に逆らう方を選ぶ
-さよならのキスをして、私は自由になる



┈┈┈┈┈┈以下隙自語┈┈┈┈┈


-私の魔女と呪い-

現実社会でも、出自や容姿や言動が平均値みたいなものから遠ければ遠いほど、異端だとか異常だとか異質な者という扱いを受ける。
私は幼い頃から「変な子」だった。思い返せば、そりゃそうだというエピソードが多々ある。

私の母は毎日、私が保育園に登園するよりも早い時間に出勤した。玄関まで見送りをする私の頭に手を置いて、「良い子にしてね」「お母さんは魔法の水晶であなたのことを見張っているから悪いことをしたらすぐに分かるからね」と唱えた。当時、私はお母さんは魔女なんだと思っていた。
お母さんは早朝と夜遅くにしか家に居ないけれど、魔法の水晶でいつも私を見ている。悪いことをしてはいけない。良い子でいなければいけない。私は変な子だから、普通の子じゃないから、頑張ってお母さんにとっての良い子にならなくちゃ。

17歳の時、初めて心療内科を受診した。母と一緒に診察室に入り、先生に「お母さん、この子は良い子ですか?」と聞かれ、母は「この子は良い子になろうとしています」と答えた。私は「あぁ、私はまだ良い子になれていないんだ」と思った。
私のこの呪いは20代後半になるまで解けなかった。魔法の水晶を日常で気にしなくなった今でも、精神不安定になると「良い子になれなくてごめんなさい」と泣いてしまうので、もしかしたらまだ解けていないのかも知れない。



-私も重力を捨てたかった-

私もエルファバのように全ての重いものから解き放たれたかった。
だけど私は強くなくて、とても悲観的に開放を望んでいた。そんな内容の、自分で書いた詩を思い出す。

高校1年のホームルームで「10年後の自分」をテーマに作文を書く課題を出された。当時の私は自分の人生がこれ以上続くことが心底嫌だった。全ての16歳が未来への希望いっぱいで生きていなければいけないという押し付けのようなものを感じてひどく気分が悪かった。
1時間の授業内で、私は1文字も書くことが出来なかった。
なんでもいいから1行書いて提出してくれと担任に言われ、400字詰めの原稿用紙に「何も分かりません。」とだけ書いて出した。

その夜、私はぐちゃぐちゃに泣きながら詩を書いた。

「抵抗心」

ある日 急に
重力を失くしてしまったとしよう
繋いでいたものが
消えてしまったとしよう

人も 木も 猫も
ふわふわ ふわふわ
期待も 夢も
ふわふわ ふわふわ

あぁ 軽い

なんだか 泣いてしまいそう
不安定は不安で

ストレスがないと
人間は死んでしまうんだって
僕達は 外傷や精神的衝撃に
抵抗しながらじゃないと
生きていけないの

あぁあ 眠ってしまいたい
一方的な さよならがしたい
全部 手離して


16歳の私はぜーんぶを捨てて逃げてしまいたかった。でもエルファバは逃げたんじゃない。立ち向かうために、自分の正しさを選ぶために、重力を振り切って飛んだのだ。
だから彼女が眩しかった。


以上。
とにかく自分の内側を激しく揺さぶられる作品でした。出会えて良かった。続編も楽しみ!

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