MaterialXのすゝめ ツールに依存しない共有マテリアル
はじめまして!TDの髙橋と申します。
今回は、各DCCツールにおけるMaterialXのレンダリング結果について記事を書かせていただきます。
はじめに
映像制作の現場において、DCCツールは用途によって様々なものがあり、1つのプロジェクトの中でも作業工程ごとに複数のツールが共存しています。
近年では、Unreal Engineに代表されるようなゲームエンジンがレンダリングにも使用されるようになり、効率化の観点からもマテリアルデータの共有は更に重要となってきています。
DFでは、ツールに依存しないマテリアルの共有に向けてMaterialXの使用を検討しており、現在はレンダリング結果の比較を行い問題点の洗い出しと各ツールの開発元への報告を行っています。
MaterialXとは、Academy Software Foundationが公開しているオープンソースのマテリアルフォーマットであり、プラットフォームに依存しないマテリアルの記述とアプリケーションやレンダラー間でのマテリアルの共有が可能になります。
今回の記事では、各レンダラによるレンダリング結果と、分かったことや問題点について共有させていただきます。
検証
今回は、Autodesk Standard SurfaceのMaterialXファイルを作って、レンダラーごとに見た目がどう変わるか比べてみました。
Autodesk Standard Surfaceとは、Autodeskが作成した物理ベースのシェーディングモデルであり、MaterialXで実装されている中では最も一般的なモデルの1つです。
様々なツールで広く対応されているため、今回はこちらを使用しました。
比較したレンダラ
MaterialXView
Unreal Engine(PathTracing)
Arnold
V-Ray
実行環境
各ツールのバージョン
MaterialXView:1.38.8
Unreal Engine:5.3.2
Maya:2025
mtoa:5.5.1
V-Ray for Maya:7.00.04
アセットデータ
ShaderBall:StandardShaderBall (wg_usd)
ENVmap:EitaiBridge_20190111_1215 (TrueHDRI)
その他
Working ColorSpace:Rec.709
ShadingModel:Autodesk Standard Surface
レンダリング結果
MaterialX Examples
以下、MaterialXのGitHubで公開されているサンプルデータをレンダリングした結果になります


















AMD MaterialX Library
以下は、AMDが公開しているMaterialX Libraryで特徴的なものを幾つかレンダリングしてみたものです






考察
金属、石、布、皮などの非透過なマテリアルはレンダラごとの見た目のブレが少なくマテリアルを共有しても問題なさそうです。
しかし、ガラスのような透過物や皮膚のようなSSSはレンダラごとに結果が変わりやすく、現時点で「マテリアルの共有」は厳しい気がします。
不具合もいくつか確認されており、Unreal Engineだと全体的に色が暗く落ち込んでしまっていたり、standard_surface_thin_filmのように薄膜干渉による干渉色が表現されない現象があります。
V-Rayだとstandard_surface_brick_proceduralのようにプロシージャル関連のノードが他と異なる挙動になるなど、レンダラによってマテリアルが正しい見た目にならないことがあるようです。
まとめ
いくつか問題点もありますが、主に背景で使用されるようなマテリアルであれば、MaterialXを利用することでレンダラを跨いでもある程度の共通の見た目は維持できそうです。
今回の調査でわかった不具合は開発元に報告しており、特にUnreal Engineはv5.5以降のバージョンでいくつか修正されています。
透過やSSSに関しても、各ツールのバージョンアップでどんどん改善されていっているので、将来的には近しい見た目になってくれると思います。
DFとしても、改善できそうな点があれば積極的に報告していこうと思いますので、ぜひ触ってみてください!
引用
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