見出し画像

マッチョになるのは大変だ。

マッチョの人はすごい。筋トレしている人ならわかると思うが、マッチョになるのは大変だ。重たい重量を上げられるようになったり、姿勢が良くなったり、痩せたりと健康になるために筋トレをするのは大切だ。しかし筋肉はなかなか大きくならないという特徴がある。

そもそも筋肉がなぜ肥大するのか?
お風呂(浴槽)を想像してほしい。
蛇口を捻りそこに水を貯めると水かさは増えるが、その浴槽の栓は常に抜けていてどんどん水を排出して減っていく。


お風呂=筋肉の代謝

つまり蛇口を捻ることで供給される量が多ければ水(筋肉)は溜まるが、排出される量が多ければ水(筋肉)が減っていく。
いわゆるこれが同化作用(アナボリズム)と異化作用(カタボリズム)の考え方だ。同化作用で筋肉は増えて、異化作用で筋肉は減少する。

筋肉は常に同化と異化を繰り返す。筋肉における同化は筋タンパク質合成が進む状態でMPS(Muscle Protein Synthesis)と言われ、異化は筋タンパク質が糖新生などにより分解が進む状態でMPB(Muscle Protein Breakdown)と言われる。

要するにお風呂の蛇口からの水がMPSで、栓から水が排出されるのがMPBだ。どちらの要素も筋肥大にとって重要だ。供給される水は多いほうが良いし、排出される栓は狭い方がたくさん溜まるから。

しかし加齢によりお風呂の栓は広がっていく。つまりMPBは加速する。いかにMPBを減らし、MPSを増やすかが人類共通の健康課題となってくる。

今回は筋肉の同化作用となるMPSに着目して話を進めていきたい。
筋肥大におけるMPS因子は実にたくさんあるのだ。


  1. 機械的刺激

  2. 栄養素

  3. 中枢神経系の作用

  4. 末梢からの内分泌

  5. 一酸化窒素などの気体

  6. 筋損傷と再生

以上の要素がMPSに必要だと考えられる。
1つずつ見ていこう。

マッチョになるってホント大変だ。

1.機械的刺激
主に筋トレや有酸素運動など。あとは温熱刺激なども含まれる。トレーニングをすることで筋肉組織の部分的な「破壊」が起こり、その修復のために様々な物質が動員される。(AMPKやGLUT4やmTORC1やサテライト細胞など様々)
その結果、筋肥大が起きる。またトレーニングによりアドレナリンが分泌されたり、温熱作用により一酸化窒素(nNOSなど)が作用することなども筋肥大と関係があると言える。

2.栄養素
言わずと知れたタンパク質だ。必須アミノ酸が筋肥大には欠かせない。もちろん糖質も筋肥大に重要な栄養素だが高齢者は注意が必要だ。インスリン抵抗性が加齢とともに高まることで、高齢者は糖質を摂るとMPBに傾くらしい。
若者、高齢者共にMPSのために注目すべき必須アミノ酸はロイシンだ。ロイシンがmTORというリン酸化酵素のシグナルを活性化させて筋肥大を起こすとされる。

3.中枢神経系の作用
主に脳にある視床下部や下垂体から分泌されるホルモンである、テストステロンや成長ホルモンなどがMPSに関わる。脳が分泌量を増減するので生活習慣がカギになる。睡眠時間や、運動習慣などが筋肥大には欠かせない。また、前向きな性格だとテストストロンが分泌されるなどさまざまな情報がある。つまり、健康的で明るく生きている方が筋肉がつきやすいかもしれない。

4.末梢からの内分泌
中枢神経だけではなく、末梢からもホルモンが分泌される。筋肉から分泌されるホルモンやペプチドのことを【マイオカイン】というが、運動するか否かで体に及ぼす効果が変わってくる。
運動することで筋肉から善玉のマイオカインが分泌される
 (IL-4、IL-6、IL-7、IL-15、IGF-1、LIF)→MPS
運動しないと悪玉のマイオカインが増えていく
 (ミオスタチン)→MPB

5.一酸化窒素などの気体
低酸素環境でトレーニングを行うと筋肥大や筋力増強が起きることは有名な話だ。低酸素環境下で行うトレーニングは成長ホルモンを増加させる作用があるという研究もある。また、一酸化窒素(NO)もMPSと関係がある。NOは血管の内皮細胞から産生され、血管拡張作用がある。加圧トレーニングなどは一過性の低酸素状態とされ、筋肥大と関連した研究は盛んに行われている。

6.筋損傷と再生
筋線維が増加するためには、サテライト細胞(SC)とよばれる筋肉固有の幹細胞が増殖することが必要である。肉離れなどが起きた時に素早くこのSCが反応し、再生してくれる仕組みがある。このSCも骨格筋の肥大に関与しているとの研究があり、サルコペニア(加齢による筋萎縮)の改善に期待されている。


このように筋肥大におけるMPS因子は多数ある。これらをクリアしてかつ、筋肉を分解する異化作用と戦わなければならない。
マッチョは大変なのだ。

いいなと思ったら応援しよう!