公務員事務職の将来性
最近、将来なりたい職業として公務員が人気のようです。LINEヤフーの調査によると、高校生の男女ともに、将来なりたい職業の1位が国家公務員・地方公務員とのことです。
将来なりたい職業、高校生1位は「国家公務員・地方公務員」 2枚目の写真・画像 | リセマム
理由を見てみても、「安定しているから」、「まちづくりに携わりたい」「地域に根差した仕事をしたい」など、様々です。
また、一般職業紹介状況を見ても公務員の行政職のような「事務職」の人気は高いことが伺えます。全体的な有効求人倍率は1.19倍で、求職者よりも求人の方が多い仕事余りの状態であるにもかかわらず、一般事務従事者は0.4倍と大きく人余りの状況となっています。
私のような行政事務職は、地方公務員のイメージとして一番わかりやすいのではないかと思います。国家公務員でいうところの官僚ですが、産業・福祉・教育などの多岐に渡る分野で、住民にとってより良い地域にするために様々な施策を検討し、実行に移しています。
実際に決断するのは、議会の同意を得たうえで、首長が行います。そのため、私たち事務方は、実現のための道筋を整え、決まったことを実行に移すのが仕事と言ってもいいかもしれません。こうしたことが地方公務員の仕事です。
1 将来の自分に仕事はあるか
一方で、私は二つの面で将来に懸念があると考えています。一つは10~20年後に、自分に仕事があるかどうかです。
noteでも、たびたび話題にしていますがAIの進化はすさまじいものがあります。AIが55%の事務職の仕事を代替するというような記事もあり、自分の仕事が残りの45%にあるという保証はどこにもありません。
AIが事務仕事の55%を代替も 管理部門は作業から提言型に転換せよ:日経ビジネス電子版
AIの得意分野は、計算処理に代表されるように正確であることです。人が数時間かけて行うような計算も一瞬でしょう。一方で公務員の仕事もミスがないことが求められます。
法律や条例に則って、仕事をするのが公務員であることから、ミスなく正確に作業することが求められます。従来から、マメな人やミスに気付ける人が重宝されていたのですが、機械の正確性にはかなわないでしょう。
「この文章の矛盾点や誤りを見つけて」
「添付した4つの資料をまとめて、要点を1,000字程度でまとめて」
「この文章に記載されている内容に対して5問ほど想定問をつくって」
こうしたオーダーに対して、機械は数分で応えられるような時代となりました。
しかも、使用すれば使用するほど精度は上がっていくでしょうし、年を経るごとにその性能もアップしていくでしょう。
私も、「要点を抜き出してまとめるA4一枚のペーパーにまとめる」「あるテーマに沿って1000字程度の文章を素早く作成する」といった得意分野がありますが、そのうち廃れていくことになるかと思います。
今は必要とされる力も、10年後には代替されるとするならば、その時の自分に仕事はないかもしれません。
2 自分の働く場所はあるか
そもそも自分が今働いている自治体があるかも不透明です。
今から20年以上前の1999年ごろから、大規模な市町村統合、平成の大合併が行われました。1999年は3,200以上あった市町村が11年後の2010年には1,700ほどに減少しています。
総務省|市町村合併|市町村合併資料集
こうした自治体の統合はいつの時代もあります。さらに、少子高齢化に伴い、人口減少も進んでいく中で、おそらく令和の間にも大規模な市町村合併は行われるでしょう。
その時に自分の自治体がどこかに合併されることも考えられます。そうしたことを予感させるニュースは日々知らされています。
複数自治体で公立小中学校を運営 文科省、統廃合手引改定へ(共同通信) - Yahoo!ニュース
少子高齢化・人口減少が進み、コンパクトシティ誕生へ | ZUU online
社説:人口減と市町村 地方分権は限界にきている : 読売新聞
また、技術職も少なくなり、自治体によるインフラの整備・維持は手が回らなくなるところも出てくるでしょう。道路の陥没や下水関係の懸念が頻繁に聞こえるようになってきています。
こうした中で、東京都などに人口が流入しているように、都市部に人が集まってくる流れは変えられないように思います。人が集まれば集まるほど、インフラ整備や教育等に必要なコストが効率化されるためです。
そのため、都市でない地域を中心に、今後も市町村合併は進んでいくと予想しています。もちろん私が所属する自治体も例外ではありません。ある日突然、自分の自治体が合併することが発表され、今後自分はどこで働くことになるんだと途方に暮れる未来もあり得ます。
合併特例法により、例え自分の所属する市町村が合併したとしても、自分の身分が直ちに失われることはなく、失職にはならないわけですが、今まで通りに仕事が続けられると楽観的に見積もるのは危険でしょう。
市町村の合併の特例に関する法律 | e-Gov 法令検索
例えば、給料が減ったり、今までは数十分で通えていた職場が遠くなったり、慣れない業務につくことになったりと、自分の立場が危うくなることはいくらでも想像できます。
いつかは起こるであろう令和の大合併によって、自分が今働いている場所がなくなることは十分に考えられます。
3 ただ急激な変化は起こらないと予想
ただし、個人的にはすぐにAIによって人員削減が行われたり、合併によってとんでもない不利益を被ることはないのではと思っています。
地方自治体を運営するのは首長の下にいる公務員ですが、その運営者が全て機械に変わる未来は想像つきません。AIやロボットの方が速く効率的ですが、それが良い自治体運営になるとは限りません。
9割の人が幸せになることが確信できても、1割不幸になる人がいるのであれば待ったがかかることが多々あります。そのために、公務員は非効率だと呼ばれることもありますが、それは受け止めるしかないと思います。
最大多数の最大幸福という言葉がありますが、どちらかを選べと言われたら、公務員は最大多数の方に重きをおくのでしょう。「誰一人取り残さない」という言葉は、その言葉が好きかどうかはさておき、公務員ならば一度は聞いたことがあると思います。
非効率でも歩みは遅くても、どうしたらすべての住民が幸せになれるかを考えて実行に移すことを考えて実行に移すため、公務員がAIによって淘汰されることはあまり想像がつきません。
市町村合併は起こりえることだと思います。今いる自治体が変わることはあるかもしれませんが、大きな公務員というくくりでは、すべきことは変わりません。
そう考えていくと、事務職の未来は、思ったほど暗くはないかもしれない。今の私はそのように思っています。
