【週末エッセイ】 1 月が終わる夜、 「できたこと」 だけ数えて眠る —— 減点法をやめる練習
1 月 31 日の夜。
カレンダーをめくると、明日からは 2 月です。
布団に入って、天井を見つめる。
ふと、頭の中に「できなかったこと」が、ひとつ、またひとつと浮かんできます。
「あの本、結局読めなかった」
「毎朝早起きする、と言っておきながら三日で終わった」
「1 月の目標、半分も達成していない」
そうやって数えるたびに、胸の奥が重くなる。
「また、自分はダメなんだ」と、布団のなかで自分を責めてしまう。
そんな夜を過ごしたことは、ありませんか?
僕は、長いあいだそうでした。
「できなかった」 を数える呪縛
月末や年末になると、僕の頭のなかでは、いつも「採点」が始まっていました。
やろうと思っていたことのうち、どれだけやれたか。
やれなかった分を、減点として積み重ねる。
100 点満点から、できなかったことを引いていくと、あっという間にマイナスになる。
それが、僕の「振り返り」でした。
目標を立てたときの高揚感は、もうどこにもない。
残るのは、「またやれなかった」という自己嫌悪だけ。
布団のなかで目を閉じても、脳が休まらない。
「明日からやり直そう」と思いながら、その「明日」すら信用できなくなっていく。
私たちは、いつからこんなふうに自分を測るようになってしまったのでしょうか。
「できたこと」ではなく、「できなかったこと」で自分を定義する。
それは、自分を変えるための振り返りではなく、自分を傷つけるための習慣のようでした。
僕は、その習慣のことを「減点法」と呼ぶようになりました。
「できたこと」 だけ数える、 と決めた夜
ある 1 月の最終夜、僕は布団のなかで、ある実験をしてみることにしました。
「今日、できたことを、三つだけ数えてみよう」
大きなことじゃなくていい。
当たり前のことでもいい。
ただ、本当に「やった」ことだけを、思い出す。
その夜、僕が数えたのは、こんなことでした。
朝、コーヒーを淹れた。
窓を開けて、空気を入れ替えた。
一通、返信が遅れていたメールに返した。
大したことではない。
でも、どれも「やった」という事実です。
減点ではなく、加点として、自分に刻みつける。
最初は戸惑いました。
「こんな小さなことでいいのか」という声が、頭のなかで聞こえてくる。
でも、三つ数え終えたあと、ふと気づいたのです。
胸の奥の重さが、少しだけ軽くなっていた。
「できなかった」ではなく「できた」に目を向けただけで、布団のなかの空気が、ほんの少しだけ変わった。
その夜、僕はいつもより早く、眠りにつきました。
減点法をやめる、という練習
それからというもの、月末の夜に「できたこと」を数えることを、僕は習慣にしました。
ルールはシンプルです。
「できたこと」を、三つだけ、思い出す。
それだけ。
「できなかったこと」は、数えない。
今日は数えない。明日も、来月も、数えない。
減点法は、もう使わない。
そう決めました。
最初は、三つ思いつくのに時間がかかりました。
「今日、何をしたっけ」と、頭のなかを探し回る。
でも、続けていくうちに、だんだんと見つかるようになってきました。
朝、起きた。
ご飯を食べた。
誰かに、ありがとうと言った。
そんな当たり前のことでも、「できたこと」として認めていい。
完璧じゃなくていい。
小さくていい。
ただ、「やった」という事実を、自分に返してあげる。
それは、自分を甘やかすことではありません。
自分を、正当に評価し直すことです。
減点で自分を責め続けるのではなく、加点で自分を認めてあげる。
それだけで、布団のなかで自分と向き合う時間が、ずっと優しくなります。
明日の自分へ、静かに手渡す
1 月が終わる夜。
もしあなたが、今、「できなかったこと」を数えて自分を責めているなら。
一度、手を止めてみませんか。
「できたこと」を、三つだけ、思い出してみてください。
何でもいいのです。
朝、起きた。
お茶を飲んだ。
窓を開けた。
そんなことで、十分です。
減点法を手放すことは、自分を甘やかすことではありません。
自分を、きちんと見つめ直すことです。
「できなかった」ばかりに目を向けていると、自分という存在が、どんどん小さく見えてしまう。
「できた」に目を向けると、自分という存在が、少しずつ、ちゃんとした大きさに戻っていく。
今夜、布団に入る前に。
あるいは、布団のなかで目を閉じる前に。
「今日、できたこと」を、三つだけ、数えてみてください。
そして、その三つを胸に抱いたまま、静かに眠りにつく。
明日の自分へ、静かに手渡すように。
1 月、お疲れ様でした。
2 月も、あなたの「できたこと」が、ひとつずつ積み重なっていきますように。
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ひとりごと
月末になると、今でも「できなかったこと」がパッと頭に浮かびます。
長年の癖は、そう簡単には消えないんですよね。
でも、「できたこと」を三つ数える、という小さな練習を続けていると、布団のなかで自分を責める時間が、確実に短くなっていくのを感じています。
減点法を手放した分だけ、眠りも、明日への期待も、少しずつ軽くなっていく。
今夜も、三つだけ数えて、静かに眠りにつこうと思います。
みなさんの 1 月の最終夜が、優しい時間になりますように。

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