「比較」 という名の呪いと決別した日 〜僕が “自分だけの KPI” で小さな勝利を重ねられるようになるまで〜
以前、僕は「『比較』という呪いから、僕が自由になった話」という記事を書きました。
それは、SNS で他人と自分を比べては落ち込む、心の無限地獄から抜け出すための「考え方」に焦点を当てた実践記録でした。
しかし、呪いというものは、考え方を変えるだけでは解けないことがあります。頭ではわかっていても、気づけばまた、無意識に他人の物差しで自分を測ってしまう。そんな経験はないでしょうか。
今日の記事は、その続編であり、より実践的な「技術」の話です。
これは、僕が「比較の呪い」と本当の意味で決別するために編み出した、自分だけの羅針盤——「自分だけの KPI」を作り、日々の「小さな勝利」を積み重ねることで、心の平穏と、確かな前進を取り戻した実践記録です。
すべての始まりは、一本の電話だった
フリーランスになりたての頃、僕の世界は常に「他者」という名の霧に包まれていました。
「あの人は、月収 100 万円を超えているらしい」
「同い年の B さんは、もう自社サービスで成功している」
「それに比べて、僕は何をやっているんだ……」
SNS を開けば、そんな言葉が頭の中を駆け巡り、僕を責め立てるのです。その焦りは、やがて僕の判断を鈍らせ、最悪の決断へと導きました。
ある日の午後、一本の電話が鳴りました。比較的大きな案件のクライアントからでした。プロジェクトも終盤に差し掛かり、残すは微調整のみ。安堵しかけた僕の耳に、担当者の明るい声が飛び込んできます。
「急で申し訳ないんだけど、やっぱりトップページのデザイン、A 案じゃなくて、前にボツにした B 案の方向性で作り直してもらえないかな?」
その言葉を聞いた瞬間、血の気が引くのがわかりました。
それは、単なる「微調整」ではありません。これまで積み上げてきたものを、ほぼゼロから作り直すことを意味していました。僕の頭の中では、瞬時に追加工数と必要な時間が計算され、「無理だ」というサイレンが鳴り響きます。
でも、僕の口から出たのは、全く逆の言葉でした。
「……承知しました。やってみます」
なぜ、断れなかったのか。
なぜ、「追加の料金とスケジュールが必要です」と、当たり前の交渉ができなかったのか。
——怖かったのです。
ここで断れば、「融通の利かないフリーランスだ」と思われるかもしれない。
SNS で見る「デキる」フリーランスたちは、きっとこんなとき、クライアントの期待を超える提案で、笑顔で乗り切るのだろう。
僕の頭を支配していたのは、目の前のクライアントではなく、SNS の向こう側にいる、顔も見えない「誰か」でした。他人の物差しで自分を測り、「劣った」フリーランスだと思われたくない一心で、僕は無償での作り直しという、最悪の選択をしたのです。
結果は、惨憺たるものでした。
連日の徹夜作業で心身はすり減り、納品物のクオリティは決して褒められたものではなかったでしょう。僕の手元に残ったのは、わずかな利益と、深い無力感だけ。
そして、最も失ったもの。
それは、プロとしての「信頼」でした。
後日、そのクライアントが別の開発者に次の仕事を依頼したと、人づてに聞きました。無理な要求に応えた僕ではなく、プロとして適切な判断を下せる、別の誰かに。
「比較」という呪いは、僕から自信も、時間も、そして信頼さえも奪い去っていったのです。
僕たちは、誰のゲームを戦っているのか?
この手痛い失敗は、僕に強烈な問いを突きつけました。
——僕は、一体誰のゲームを戦っているんだ?
SNS で他人のスコアを気にして、自分のフィールドで、自分のルールを無視して戦っていた。それでは勝てるはずがありません。僕がプレイすべきは、僕自身のゲームだったのです。
そのためには、まず「スコアボード」を書き換える必要がありました。
世間一般で「成功」とされる指標——売上、フォロワー数、案件の規模。それらは、僕の心の平穏や、本当の成長を測る物差しにはなり得なかった。むしろ、それらの数字を追いかければ追いかけるほど、僕は自分を見失っていったのです。
僕に必要なのは、借り物のスコアボードじゃない。僕が、僕の価値観で、僕の成長を実感できる、「自分だけのスコアボード(=自分だけの KPI)」でした。
その日を境に、僕は、自分だけのゲームのルールを作るための、長い長い実験を始めたのです。
“自分だけの KPI” という名の羅針盤
お待たせしました。
ここからは、僕が「比較の呪い」を解き放ち、自分のゲームを戦うために作り上げた「自分だけの KPI」という名の羅針盤について、その具体的な設計図と運用方法を、あなただけに共有します。
これは、あなたの心をすり減らす「他人との競争」から、あなたを成長させる「昨日の自分との対話」へと、ゲームのルールそのものを変えるための、実践的なフレームワークです。
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