「選べる=自由」 という幻想。僕が “捨てる” ことで得た、本当の豊かさ
無限の選択肢に疲れ果てた僕が、自分だけの 「一点」 を見つけるまで
「いつか、もっと自由になりたい」
会社員時代の僕が、呪文のように唱えていた言葉です。
決められた時間、決められた場所、決められた仕事。その息苦しさから抜け出せば、そこには輝かしい「自由」が待っていると信じていました。
フリーランスになれば、すべてを選べる。使う技術も、組む相手も、働く時間も。
その無限の可能性に胸を躍らせていましたが、実際にその世界に飛び込んでみると、どうでしょう。目の前に広がる無数の選択肢を前に、僕は呆然と立ち尽くしていました。
これは、僕が「選べる」という名の呪縛から自らを解き放ち、「捨てる」勇気の先にこそ本当の豊かさがあったと気づくまでの、少しばかり遠回りをした試行錯誤の記録です。
「選べる」 という名の不自由
フリーランスになりたての頃、僕のパソコンのブックマークは、それはもう賑やかなものでした。
新しい JavaScript のフレームワーク、話題のノーコードツール、生産性が上がると評判のタスク管理アプリ。
「知らなければ損だ」という強迫観念に駆られ、僕は片っ端から情報を集め、タブを開きっぱなしにする毎日。
クライアントから「Web サイトを作ってほしい」と頼まれれば、「どの技術スタックが最適か」を延々と比較検討し、なかなか手を動かせない。
「React もいい、でも Vue のシンプルさも捨てがたい。いや、将来性なら Svelte か…?」
そんなことをしている間に、時間はあっという間に過ぎていきます。
選べるはずなのに、選べない。むしろ、「選び間違えたくない」という恐怖に心がすり減っていく。あれほど求めていたはずの「自由」は、いつしか僕をがんじがらめにする重たい鎖に変わっていました。
「あれ、僕はいったい何がしたかったんだっけ…?」
選択肢の多さは、可能性の広さではありませんでした。少なくとも僕にとっては、それはただの「ノイズ」でしかなかったのです。
僕が捨てたもの、そして手に入れたもの
転機は、ある一つのシンプルな問いを自分に投げかけたときでした。
「もし、明日から 3 年間、たった一つの技術スタックしか使えないとしたら、何を選ぶ?」
それは、僕にとって苦渋の選択であると同時に、一種の救いでもありました。他のすべてを「捨てる」覚悟を問う、荒療治のような問いです。僕は数日間悩み抜き、そして決めました。
「React (Next.js) と TypeScript。僕はこの一点に賭ける」と。
他の選択肢を捨てた瞬間、驚くほど視界がクリアになりました。追いかけるべき情報が明確になり、学習の密度が格段に上がったのです。
以前はあれほど時間をかけていた技術選定の悩みは消え、目の前のクライアントワークに深く集中できるようになりました。
この経験は、僕の仕事のやり方そのものを変えていきました。
捨てる前 (Before)
📌 常に新しい技術に気を取られ、学習が中途半端になる。
📌 案件ごとに最適なツールを探し、膨大な時間を浪費する。
📌 「もっと良い選択肢があるかも」という不安から、決断が遅れる。
捨てた後 (After)
📌 専門性が高まり、「React と TypeScript なら、あの人だ」と認知されるようになった。
📌 確立されたワークフローで、すぐさま価値提供に集中できるようになった。
📌 「やらないこと」を決めたことで、精神的な余裕と自信が生まれた。
仕事の受け方も変わりました。「面白そうだから」という曖昧な理由で手を出すのをやめ、「僕の技術スタックで、本当に価値を提供できるか?」という一点で判断するように。
断る仕事は増えましたが、不思議なことに、一つひとつの仕事の満足度も、クライアントからの信頼も、以前よりずっと深くなっていったのです。
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