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吃音で話すのが怖かった僕が、文章を 「最強の武器」 に変えた話

「また、今日も上手く話せなかった…」

そんな自己嫌悪の夜に、僕がノートに書き殴っていたのは、言葉にできなかった想いと、途方もない悔しさでした。

この記事は、吃音で話すのが怖かった僕が、そのコンプレックスを逆手にとり、文章を「最強の武器」に変えるまでの、試行錯誤の記録です。

もしあなたが、うまく話せないことで自分を責めていたり、コミュニケーションに壁を感じているのなら。このストーリーが、あなたの心を少しだけ軽くする、小さな灯火になれたら嬉しいです。


声の代わりに、言葉を研いだ日々の話

僕には、ずっとコンプレックスがあった。

吃音症——。

頭の中には、伝えたい言葉が溢れているのに、いざ口を開くと、喉がぎゅっと縮こまって、最初の音が出てこない。電話が鳴るたびに心臓が跳ね上がり、大勢の前での発言は、まるで処刑台に上るような気分だった。

「おおとろは、コミュニケーションが苦手だから」

新人の頃は、それでもよかった。けれど、歳を重ね、責任が重くなるにつれて、その言葉は静かに、しかし確実に僕の心を蝕んでいった。

「話せない」という事実が、「能力がない」というレッテルにすり替わっていく。その悔しさが、僕を内へ内へと閉じ込めていったんだ。

そんな僕が、どうしてフリーランスとして、クライアントと渡り合い、プロジェクトを前に進めることができているのか。

答えは、ひとつ。

僕は、声を出す代わりに、言葉を研ぐことを選んだ。話すことから逃げた先で見つけた「書く」という行為が、いつしか僕を守り、僕の想いを誰よりも正確に届けてくれる、「最強の武器」になっていたんだ。

これは、そんな僕のストーリー。

僕を追い詰めた 「話せない」 という現実

「では、おおとろさんからお願いします」

会議室の重い空気の中で、僕の名前が呼ばれる。全員の視線が、僕の口元に突き刺さる。頭の中は真っ白。言いたいことは山ほどあるのに、「あ…」とか「えっと…」という、意味をなさない音だけが、虚しく漏れる。

数秒の沈黙が、永遠のように感じられた。

結局、僕の意見は誰にも伝わらないまま、会議は終わっていく。帰り道、夕暮れの空を見上げながら、どうしようもない自己嫌悪に襲われる。

「どうして、僕は普通に話せないんだろう」

吃音のせいで、僕はいつも「緊張している人」「自信がなさそうな人」というレッテルを貼られてきた。本当は違う。僕の中には、このプロジェクトを良くしたいという情熱も、改善のためのアイディアもある。でも、それを言葉にして伝えられない。

このもどかしさと悔しさが、僕から挑戦する気力を奪っていった。どうせ話せないのだからと、会議ではわざと目立たない隅の席に座り、誰にも話を振られないように、ただ息を潜めていた。

フリーランスになっても、その呪いは続いた。むしろ、会社という盾がなくなったぶん、より深刻だったかもしれない。クライアントとのオンライン打ち合わせ。僕の言葉が詰まるたびに、画面の向こうで相手が怪訝な顔をするのが、手に取るように分かった。

「この人に任せて、本当に大丈夫だろうか」

そんな無言のメッセージが、僕の胸に突き刺さる。信頼を失うことへの恐怖が、さらに僕の言葉を詰まらせる。悪循環だった。

転機は、一行の返信から

そんな八方塞がりの状況が続く中で、ある案件で僕は大きな失敗をしてしまった。

クライアントとの打ち合わせで、重要な仕様変更を口頭で伝え聞いた僕は、その内容を一部、誤解して実装してしまったんだ。僕の言葉の詰まりが、相手に「理解していないのでは?」という不安を与え、それを確認できないまま、時間だけが過ぎてしまった結果だった。

「話が、違うじゃないですか」

クライアントからの厳しい指摘。絶望的な気持ちで、僕は謝罪と修正案をまとめたメールを書いた。電話で話す自信は、もう残っていなかったから。

せめてもの誠意が伝わるように。誤解が生まれた原因、僕の認識、そして具体的な修正プラン。震える手で、一晩かけて言葉を尽くした。もう、この案件は終わりだろう。そう覚悟して、送信ボタンを押した。

——翌朝。

受信トレイに、クライアントからの返信を見つけた。恐る恐るメールを開くと、そこに書かれていたのは、予想とは全く違う言葉だった。

「拝見しました。ここまで詳細に状況を整理していただき、ありがとうございます。おおとろさんの意図が、痛いほど伝わってきました。この修正案で進めてください。今後も、期待しています」

——え?

何度も、何度も、その一行を読み返した。

僕が電話で、あれほど伝えられなかった想いや誠意が、文章にすることで、相手の心に届いた…?

それは、僕にとってまさに「コペルニクス的転回」だった。

うまく話せなくても、いいのかもしれない。話すことだけが、「伝える」ための手段じゃない。僕には、僕だけの戦い方があるのかもしれない。

その日を境に、僕の中で何かが変わった。僕は、文章を単なる「連絡手段」ではなく、僕の思考と情熱を乗せるための「武器」として、意識的に磨き始めたんだ。

心を動かす文章の骨組み 『SSTP 法』

電話や会議でうまく話せない僕が、どうやってクライアントの信頼を勝ち取り、複雑なプロジェクトを前に進めているのか。

その心臓部にあるのが、僕が「沈黙のプレゼン術」と呼んでいる、独自の文章フレームワークだ。

これは、単に情報を整理して伝えるためのものではない。相手の心を動かし、「あなたに任せたい」と思わせるための、戦略的なコミュニケーションの設計図。

僕はこれを、『SSTP(エスティープ)法』と名付けた。Situation(状況)、Struggle(葛藤)、Turning Point(転機)、Proposal(提案)の頭文字を取ったものだ。

ストーリーを作るように、相手の感情に寄り添いながら、自然と僕の提案を受け入れてもらう。そのための骨組みを、これからあなたにだけ、そっとお渡ししたい。

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