『物語の欠片』のカケラの裏話2024カメリア・レン
本記事は橘鶫さんの大長篇『物語の欠片』で使っていただいている拙挿絵の制作裏話です。「天鵞絨色の種子篇」においては最終回となります。今回も二人のキャラクターをまとめてご紹介。
これまでに拙画が挿絵として使われた物語とその裏話はこちら↓
今までまとめてご紹介した二人組は本篇では直接縁のなさそうな二人が多かったのですが、今回は「関係ないもーん」では済まされなさそうなペア。
では早速始めましょう。いつも通りこちらの記事では使っていただいた挿絵は掲載いたしませんので、鶫さんの御記事で物語と共にお楽しみいただければと思います。
カメリア
今回の一人目はポハク族長パキラの次女でありポハクのやり手商人であるカメリア。
こちらですね、自分で描いた絵だって言うのにタイムラインに登場した瞬間にのけぞったんですわ、「何なん?この人のこの目力…?」と。笑
カメリアは今篇に向けて描いたキャラの二人目。
しかし合格が出た一人目。
と言うのもアキレアの髭問題(笑)をやっている最中に完成して合格をいただいたから。
カメリアはポハク族ですから金髪で褐色の肌をしているはずなのですが、パキラやイベリスと違って、カメリアに関してはイメージ最優先。
彼女の蛇女のようなイメージを表そうと髪を逆立ちに巻き上げ、ポハクの商人ならではのずる賢さの出ているような、もしくは彼女ならではの計算高さが滲み出ているような目つきに。全体の色も私が受けた彼女の印象そのものです。
鶫さんには「まさにカメリア」と言っていただき、すんなり合格をいただけたので、この一枚に関してはあまり言及しておくべきこともありません。
実はカメリアに関しては一度車内落書きで登場しています。
え、いや、扉絵の豆氏ではなくて。
しかし当時に比べるとカメリアという人物に対する私の理解も心持ちも変わってきたなあ、と思います。
これから先の活躍もいろいろと気になるキャラです。
レン
今回二人目、今篇では八人目で私の絵としてはラストを飾ったのは物語のダブル主人公の片割れ、マカニの戦士レンです。
レンは明確な「リベンジモチーフ」でした。
2022年に初めて『物語の欠片』の挿絵を描かせていただいた際、一番納得がいかなかったレン。
今改めて見ると「レンに可哀そうなことをした」という思いが募りますな……。
このぴらっぴらの衣装のおかげかコメント欄でも「ミッチーだ!」との意見が多かった記憶があります(拙カフカのペーテルも一時期「ミッチーだ!」っておっしゃる方が多かったし、私の描く絵って少なからず及川光博氏に似ているのだろうか)。
以来『物語の欠片』の絵では明確に服装を描かずに済む構図を意図的に選んでいるのですが(その辺りをきっかり描いてしまうとイメージ画としての機能を果たさなくなる、という気がします)、レンに関しては最も問題なのは目の色。
この二年前の絵でも最初「レンの特徴である緑の目」が正しくなかったため描き直しているのですが、設定に沿った「緑の目」(しかも現実世界に存在する薄緑の目の色と違って、彼の目は鮮明な青緑とのこと)を忠実に絵として表すと、何だかおかしなことになるのです。
一体何の話をしているのか、物語の挿絵なのだから物語の設定に従って然るべきだろう。
おっしゃる通りなのですが、私のイメージ画では今回のカメリアも、他のほとんどのキャラクターも、人物全体が「そのキャラから受けたイメージの色」で描かれており、非現実的な色合いで絵が仕上がっています。カメリアもルクリアもこのような皮膚の色で実在されたらちょっとギョッとします。
で、レンです。
彼も基本的に人物は(私にとっての)彼のイメージである「爽やかな青」で描くようにしています。そしてそこに青緑の目を埋め込む……何とも、何とも作り物のような「ちょっと怖い絵」が出来上がります(少なくとも私はそう思います)。
レンに再挑戦するに当たって、私は彼の「試練を乗り越えたからこそ辿り着けた心の静けさ」を描きたかった。
そこで考えました。
皮膚の青を手放すのか?目の緑を描かずに済むほうに持って行くのか?
完成した絵をご覧いただければ明白だと思いますが、今回レンには内観するように目を瞑ってもらいました。
鍾乳洞で翼に包まって眠る場面も思い出しながら翼に守られているような構図にして、彼の大好きな春楡と落下した時の岩の破片を併せ持ったような色も散らしました。
そんな風にして、今回のレンが完成しました。
『物語の欠片』のカケラの裏話、今回が「天鵞絨色の種子篇」の最後の回となり、今年最後でもあります。
今年、と言うからには来年も描く気満々です。
しかしいつまでも同じことを繰り返していてもしょうがないですし、ちょっと違った方向性の絵を使ってもらえないかなあとほんのり模索中。水彩画でイメージ画、というのは変わりませんが、最近いろいろな紙を試してなかなか興味深い体験もしましたので、この辺りのことが『物語の欠片』にも活かせないかなあ、と。
例の如くいきなり鶫さんに「こんなの描いてみましたあ!」と絵を送りつけるのでしょうけど。笑
こんな貴重で楽しい制作の機会を提供してくださる鶫さんには感謝してもしきれません。
鶫さん、本当にありがとうございます。
そしてこれからも、どうぞよろしくお願い致します。

暫く離れていたからこそ確認できたお互いの良さ。ということで今回は青鷺名人と青いRu鳥、仲良く読書会です。
