「片平里菜 Redemption TOUR 23-24 FINAL 日比谷野外音楽堂」LIVE DVDリリースイベント@タワーレコード グランツリー武蔵小杉店
…と題した片平里菜ちゃんトークイベントを開催しました(2025年3月16日)。トークのダイジェストと雰囲気を、当日の進行を担当した高橋ちえ目線でほんの少しこちらでお裾分け、なおこれ以外のお話は集まったお客さまとのヒミツということで。
“ここ最近、忙しかったのでは?”といった雑談からスタートしていったお話、それではどうぞ🎶
(野音 Photo by 石井麻木)
忙しかったです~!2月末から出っぱなしで地元・福島でワンマンライブがあったのを皮切りに三陸・北東北をツアーで回って、3月11日はまた福島に戻ってライブをしました。
その間、山林火災で甚大な被害があった岩手県大船渡市でのライブもありましたね。
大船渡でライブがあった時は、まだ山が火で燃え広がっている時で。上空も自衛隊のヘリが飛んで放水作業をしていたり、ただならない状況なんだとすぐ分かりました。地元のライブハウス(KESEN ROCK FREAKS)の方も“こういう時だからこそ、東日本大震災の時の経験を活かして。皆でしゅんとしちゃいけない、動ける人は動いた方がいい”って、ライブ開催を決めてくださって。
震災の時は“音楽を自粛した方が良い”というムードも全国的にありましたもんね。そして福島では毎年恒例・アサイラムへの出演があって。
アサイラムはピアノ弾きのタテタカコさんが主催していて、震災の翌年から始まったイベントで。(毎年)3月10日と11日は福島市といわき市でライブをされていて、タテさんだけじゃなくてロックな人もフォークな人も、東北に思いを寄せる色んな人が多様に集まって。野獣みたいな人(=出演者)もいる中で(笑)、色んな人を受け入れるタテさんの懐の深さに感銘を受けてその雰囲気も私、大好きになっちゃって。いつかこのステージに出たいなと思っていて、今年は両日ともに出させていただきありがたかったです。
里菜ちゃんはアサイラム常連みたいな感じがしてるけど、初めて出演したのって?
(デビュー前に)福島市のライブハウスでアルバイトをしてる時、そこで第1回目が開催されたんですよ。だから最初は、バイトをしてたドリンクカウンターからアサイラムのステージを見てました。
それまではお茶の間の音楽とロックスターしか知らなくて。タテさんたちのような、ちょっとアングラな音楽シーンを見て“こんなにディープな表現をしている人たちが日本にいっぱいいるんだ!”って、そこで体感できたんですよね。だから私にとってあのイベントがあるかないかでは全然、音楽人生が違ったと思うぐらい影響を受けていて。それで私が(初めて)出たのは…数年後のいつだったか、ですね。遠藤ミチロウさんとか竹原ピストルさんとか、切腹ピストルズの皆さんとか。第一線に立ってなぎ倒していくような、ディープで、戦車のようなパワーを持った人たちばっかりで。いつも圧倒されてますね。
アサイラムに行ったことがある方も今日はいらしてますね。そして福島ではもう1つ、イベントもされてましたね?
いつもお世話になっている、いわき市で有機農法をされている「生木場ファーム」で。福島県内の3組の農家さんをお呼びしてトークセッションをしました。最近、お話ししてばっかりなんですよ(笑)。3月15日も石井麻木さんと、本にまつわるお話(「本と写真と音楽と 〜アーティストを育てた本の魅力〜」)を埼玉県でしてきましたし。あ、でも、それ以上にメチャクチャ、ライブもやってますけど(会場笑)。
里菜ちゃんおすすめの一冊を教えてください。
「風が吹くとき」(レイモンド・ブリックズ著)っていう絵本で、戦時中の夫婦のやり取りを綴っている絵本なんですけど、“原爆が落ちるからシェルターに入らなきゃ”って…フィクションの話でも、夫婦のやり取りが本当にリアルなんですよね。ドキドキしながら読みました。
この絵本、ご存知な方が会場にもおられますね。そして農家さんとのトークセッションというのは?
消費者と生産者が同じ目線で話し合える場所があったら良いなと思って、やってみました。3組ともタイプが全然違っているけど共通するのは、手間ひまをかけて愛情をかける。その愛情が強い故に、本当に美味しい野菜が育っている。それを知ると本当に“いただきます”という気持ちになります。あと“お野菜は、作っている人に似る”っていう言葉が印象に残ってて。その野菜を作っている人と野菜がリンクする、そこまで感じられると、より、ありがたみとか美味しさを感じるなぁ、って思ってますね。野菜が美味しいからというのはもちろんだけど、作ってくれている人が好きだから買う。そういうのって素敵な関係だなって思いましたし、それは音楽もそうかもしれないな、って思いました。そのアーティストが好きだから曲も好きになる、みたいな。(曲が好きだからそのアーティストも好きになる、でも)順序は、どっちでも良いんですけどね。
何もわからないけど進んでみる
音楽と一緒なら大丈夫(片平里菜/Xより)
震災から14年経って、変わっていく部分と、変わらない部分と。あの頃、0歳だった子は14歳になってもう立派に、ちょっとドキッとさせられるぐらい大人になったりしている。それは希望だなと思いましたけど、でもこれからの世の中がどうなっていくかなんて全く分からないし、真っ暗だなって思っちゃう時もあるんです。でも先輩たちとイベントに出たり、今日のこの場所にはBRAHMANの新譜が大きく宣伝されていて。先輩たちの音楽を聴くと、自分たちの存在そのまんまで邁進していく、未来に進んでいる。その生き様を、改めて目の当たりにして。そっか、何も分かんないけど、とにかく進むしかないもんな、みたいな。
でもそれは諦めではなくて、諦めたくないからこそ進まなくちゃいけないな、っていう。今、そういう気持ちにさせられてますね。音楽をやっていなかったら繋がれてない人たち・音楽仲間やお客さんがいっぱいいて、その人たちが皆、笑ってる。そんな世界が広がっていってくれたら最高だな、幸せだな、そんな気持ちです。

「片平里菜 Redemption TOUR 2023-2024 FINAL 日比谷野外音楽堂」
2025.2.27 on sale
では野音のライブDVDのお話へ。まずは里菜ちゃん自身が野音ライブを振り返って、そしてこのDVDをご覧になって。どんな思いですか?
いや~…もう、物語が詰まりすぎていて。あの時季にあのステージに立てた、そしてやり遂げられたなという思いです。あの日があったのとないのではその先が全然、違ったと思うぐらい全部が詰まってました。

ライブを終えたばかりの時はそんなに客観視できないので“もっとこう出来たのに!”と思ったことがなかったわけではないんですけど、今(DVDを)見返すと本当に…良い1日だったな、って思います。
改めてDVDを拝見したら“こんなにボリュームあったんだ!”と思いました。
そう!長いよね(会場笑)、演ってる側としてはあっという間だったんですけどね。オープニングアクトで「磐城じゃんがら遊撃隊」の皆さんに来ていただいて彩ってもらったんですけども、地元の良さを…伝えたい。それに尽きました。“野音に何の集団が来たんだ?”って感じになったと思うんですけど(会場笑)、生木葉ファームの方もいらしたり、いつもお世話になっているふくしまFMのスタッフさん、何とお兄さんたち(the LOW-ATUSの2人:細美武士・ELLEGARDEN、MONOEYES/TOSHI-LOW・BRAHMAN、OAU)も急きょ踊ってくださったりとか。本当に皆を受け入れて、皆で一緒に踊るという空間を最初に作ってくれて。良い空気を作ってくれて、感謝感謝です。

(ライブの)1曲目が「なまえ」だったんですけど、じゃんがらの皆さんが作ってくれた地元の温かい空気を感じながら。故郷を思いながら作った歌を歌えたのは本当に自然な流れで。野音は私にとって本当に目標で憧れの場所だったけど、立ってみたらすごく…あったかいんですよね。最初は緊張してたんですけど、歌い始めると、ちゃんと自分の空間になる場所と言うか。他のアーティストさんからそう聞いていたんですけど、ステージで体感しました。ライブハウス以上にお客さんの表情であったり空気感が伝わってくるのが、余計にそう感じさせてくれるのかもしれないです。

野音の日は暑くも寒くもないちょうど良い気候で、明るい時間におおはた(雄一/Gt)さんとKAKUEI(OAU)さんと、オーガニックで…チルな空気感でセッション出来たのはすごく気持ち良かったです。KAKUEIさんが入ることで楽曲がすごくイキイキ・ワクワクし出すし、おおはたさんの出す一音一音が深みとまろやか…うん、気持ちがまろやかになりますよね。DVDで見返した時、おおはたさんが「風の吹くまま」でスライドギターで入る瞬間なんか“魔法使いですか!?”っていう感じになりました。無駄がなく、歌に寄り添ってくれつつ、おおはた節を出してくださる感じがクセになる。どんなに努力してもおおはたさんには及ばないんですけど、(1人で)弾き語っていて、その後おおはたロスが続きました(会場笑)。

私ももっとギターで良い音を出せないかなぁ、っていう気持ちでやれるようになったのは、おおはた師匠のおかげですね。最近、ちょっとだけギターが上手になったと思いません(と会場に尋ねる)?
本当にギター愛が増しました。おおはたさんが面白いのは、リハと本番とレコーディングで毎回、ギターがちょっとずつ違うし、色んなことを試すんですよ(笑)。何が出てくるか分からないけど、それも楽しんで。
今、リハという言葉も出ましたけど。リハーサルも大変だったでしょう?
大変だった…です。ビッグプロジェクトだったというのをすごく感じました、おおはたさんとOAUというバンドと、ステージで大きく見せるというのは。自分の至らなさも痛感しましたけど、…先輩たちなんだけど、私を信頼してくださっているのか。“やりたいことだったら全部やるよ”みたいな感じで、全部受け入れてくださって。でも、だからこそ私がもっとしっかりと舵を切って、引っ張っていけるぐらいのパワーをもっともっと、つけないといけないんだな、と思えた経験でした。

私にとっての10周年イヤーの節目となった野音は、終着点・集大成になっていたんですけど、やってみて“まだまだだった”っていうのが分かって。終着点でも何でもない。通過点で、ここからまた始めて、この野音の日を振り返る日が来るんだな、って思いました。音楽はきっと…これからもずっと側にあるとは思うんですけど、音楽の活動をどうしていこうかというのが20代の時にすごく難しくなって、楽しくなくなってしまった時期があったんですけど、でも自分が始めたことなので、決めたところまではちゃんとやらないといけないと思っていて。10年というところまではちゃんとやる・やり遂げるというのを目指して。応援してくださっている方に感謝を伝える「感謝巡礼ツアー」をして、今の気持ちを綴ったアルバムを出して。10周年を華々しく迎えて終えよう、という気持ちでやっていた感じで。
ライブの最後の方に語ってましたよね。DVDで拝見すると、語っている表情も分かって伝わって改めてグッと来ました。会場の皆さんもとても頷いておられるし、同じ思いなのかなと。
皆さん…やさしい。だからあの日も安心して歌えていたのかな、って思いますね。歌っていることに対しては皆、昔から応援をしてくれていて。この日の天気もそうでしたし、地元の皆も。だからこれからも、歌わなくちゃいけないなって思いました。

51箇所回って終わった後は、くた~っとなったんですけど、やっぱり今、今が。歌うのが、すごく楽しくて。“私、まだまだだ”っていうのが分かって。一つ一つ成長していく自分を今、達観して感じることが出来ていて、歌うこと・ライブをすることが一番楽しいですし、今、いま。ライブを見てもらいたいですね。
今の表情に嘘はないなと思えるし、これからの片平里菜の応援もどうぞよろしくお願いしますね(会場、大きな拍手)!では最後に、今後の里菜ちゃんとしては1つ楽しみな発表があったばかりですね。
はい!ここまで1人で、ギターを持って歌ってきたのでちょっとそろそろ…と思いまして。バンドでのワンマンツアーを夏に開催しようと思っております。(会場の反応を見ながら)もうチケット取ってくれてる方もいるんだ、嬉しい。お待ちしてます!
バンド、やりたかったですか。
やりたかった!4箇所のツアーで、一緒に回ってくださるメチャクチャいい感じになるメンバーで、4人…で。私はギターを弾いたり弾かなかったりで、エレキギターもどうだろうな…視野には入れているけど、(演奏する)曲にとって良くなるのであれば。今までみたいに、ギターを持って歌うというよりは、ちゃんとバンドとしてのアンサンブルに、自分が鳴らすギターが加えられる、そういう感じでやれたら良いなと思ってます。これは、うん…見てもらわないと。なので皆さん、お待ちしておりまーす(会場、この日一番大きな拍手)!

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