見出し画像

【試験まであと75日】【糖尿病専門医試験・直前対策】1日5問ドリル Vol.22「症例問題編②・慢性合併症」(増殖前網膜症と血糖是正速度/治療誘発性神経障害/糖尿病足病変とprobe-to-bone・ABI/自律神経障害と無痛性心筋虚血/CKDの貧血・骨代謝)

症例問題編②です。今回は慢性合併症——網膜症・神経障害・足病変・自律神経障害・CKD。合併症は「知識として知っている」だけでは足りず、症例文の中で"見落とすと患者が失明する・足を失う・突然死する"判断が問われます。外来で私が実際に緊張する場面を、そのまま5症例にしました。

とくに今回は、専門医試験で狙われる「治療によって悪化しうるもの」(急速な血糖是正による網膜症進行・治療誘発性神経障害)を意識的に入れています。よかれと思ってやったことが害になる——ここが試験でも臨床でも差がつく部分です。

作問の軸は、日本糖尿病学会『糖尿病専門医研修ガイドブック』です。2026年7月16日に改訂第10版が発売されたばかりで、私はこの最新版を手元に置いて作問しています(従来の改訂第9版も併せて参照)。

巻末には「記述チェック」を設けています。分類・基準は記述で狙われやすいので、何も見ずに書けるかを自分で確認してください。

※ 出題範囲・版は年度ごとに更新されます。正確な範囲は当年度の受験要項でご確認ください。

この記事の使い方

まず5症例を解き、第1問の解説(無料)で密度を確認してから残りへ。各問に比較表・頻出ポイント、巻末に横断整理と記述チェックを付けています。

問題(全5問・無料)

第1問 増殖前網膜症と血糖是正

45歳男性。健診で高血糖を指摘されるも10年間放置。口渇で受診し、HbA1c 12.8%、血糖342mg/dL。眼科受診の結果、両眼に軟性白斑・静脈数珠状拡張・網膜内細小血管異常(IRMA)を認め、増殖前網膜症と診断された。

この症例について、正しいものはどれか。2つ選べ。

  1. 急速な血糖是正は網膜症を一過性に悪化させることがあるため、血糖降下は緩徐に行う

  2. 増殖前網膜症では、網膜光凝固の適応を眼科と相談しながら血糖管理を進める

  3. 網膜症が進行しているため、血糖はできるだけ速やかに正常化させるべきである

  4. 増殖前網膜症では硝子体出血・網膜剥離をきたしており、緊急手術が必要である

  5. 網膜症が存在する場合、以後の眼科受診は症状が出てからでよい

第2問 有痛性神経障害

58歳女性。2型糖尿病。HbA1cが3か月で11.5%から6.8%へ改善した後、両足のしびれと灼熱感、夜間に増強する痛みが出現した。触覚・振動覚は軽度低下、アキレス腱反射は減弱。下肢動脈の拍動は良好、ABI 1.02。

この症例について、正しいものはどれか。2つ選べ。

  1. 急速な血糖是正の後に生じた有痛性神経障害(治療誘発性神経障害)の可能性がある

  2. 有痛性糖尿病性神経障害の薬物療法には、プレガバリン・デュロキセチンなどが用いられる

  3. ABIが1.02であり、閉塞性動脈硬化症による疼痛が最も考えられる

  4. 血糖が改善しているため、症状は糖尿病性神経障害とは無関係である

  5. 有痛性神経障害には、まず強オピオイドを第一選択として開始する

第3問 糖尿病足病変

70歳男性。2型糖尿病歴25年。右足底に潰瘍があり、悪臭と周囲の発赤・腫脹を伴う。ゾンデで骨に達する(probe-to-bone陽性)。足背動脈は触知不良、ABI 0.6。体温37.9℃、CRP 12mg/dL、白血球14,000/μL。

この症例について、正しいものはどれか。2つ選べ。

  1. probe-to-bone陽性であり、骨髄炎を強く疑い画像評価と外科・血管の専門医と連携する

  2. ABI 0.6であり末梢動脈疾患(PAD)の合併が疑われ、血行再建の評価が必要である

  3. 感染徴候があるが、外来で経過観察し抗菌薬は不要である

  4. 糖尿病足潰瘍は神経障害のみが原因であり、血流評価は不要である

  5. 足潰瘍の予防にはフットケアは無効であり、患者教育の意義は乏しい

第4問 自律神経障害

66歳男性。2型糖尿病歴20年。最近、立ち上がったときのふらつきを自覚。臥位血圧142/84mmHg、立位1分後104/70mmHg。安静時心拍数98/分で呼吸性変動が乏しい。心電図でST低下を認めるが、胸痛の訴えはない。

この症例について、正しいものはどれか。2つ選べ。

  1. 起立性低血圧と安静時頻脈・心拍変動低下があり、心血管自律神経障害が疑われる

  2. 自律神経障害を有する糖尿病では、無痛性(無症候性)心筋虚血をきたしうるため精査が必要である

  3. 胸痛がないため、心筋虚血は否定できる

  4. 起立性低血圧の対応として、降圧薬の増量が第一に推奨される

  5. 心拍変動の低下は予後とは関連しない

第5問 CKDに伴う貧血・骨代謝

72歳女性。2型糖尿病性腎症。eGFR 22mL/分/1.73m²、尿蛋白3+。Hb 9.2g/dL、フェリチン40ng/mL、TSAT 15%、血清P 5.6mg/dL、補正Ca 8.6mg/dL、intact PTH 320pg/mL。

この症例について、正しいものはどれか。2つ選べ。

  1. 腎性貧血が疑われるが、鉄欠乏の合併があり鉄補充の評価を行う

  2. 高リン血症と二次性副甲状腺機能亢進症を認め、リン管理を含めたCKD-MBDの対応が必要である

  3. Hb 9.2g/dLであり、ただちにHb 13g/dL以上を目標に赤血球造血刺激因子製剤(ESA)を投与する

  4. eGFR 22であり、糖尿病性腎症の病期は第2期である

  5. 腎性貧血は腎機能とは無関係に生じる

解答・解説

第1問の解説【無料公開】

正解:1、2

「よかれと思って急に下げると、網膜症は悪くなることがある」——ここが最大の学びです。

1(正)長期にわたる高度高血糖を急速に是正すると、網膜症が一過性に悪化することが知られています(early worsening)。とくに罹病期間が長く、HbA1cが著明高値で、すでに網膜症がある例で注意が必要です。したがって血糖降下は緩徐に行い、眼科と並行してフォローします。

2(正)増殖前網膜症(軟性白斑・静脈数珠状拡張・IRMA)は増殖網膜症への移行リスクが高い段階で、網膜光凝固の適応を眼科と相談します。血糖管理と眼科治療は並行して進めます。

3(誤)1のとおり、進行した網膜症がある高度高血糖例では急速な是正が網膜症を悪化させます。「できるだけ速やかに正常化」は誤りで、緩徐な是正が原則です。

4(誤)硝子体出血・牽引性網膜剥離は増殖網膜症の段階の所見です。増殖前網膜症は新生血管が出現する前の段階で、「緊急手術が必要」は誤り。

5(誤)網膜症は自覚症状が出にくく(黄斑浮腫や出血まで視力低下しないことが多い)、症状を待つと手遅れになります。無症状でも定期的な眼科受診が必須です。

【糖尿病網膜症の病期 まとめ表】
・単純網膜症:毛細血管瘤、点状・斑状出血、硬性白斑 → 血糖管理が中心
・増殖前網膜症:軟性白斑、静脈数珠状拡張、網膜内細小血管異常(IRMA) → 光凝固を検討
・増殖網膜症:新生血管、硝子体出血、牽引性網膜剥離 → 光凝固・硝子体手術
・黄斑浮腫:病期によらず生じ、視力低下の主因 → 抗VEGF療法等
・注意:急速な血糖是正で一過性に悪化しうる/無症状でも定期眼科受診
・光凝固の目的:進行抑制・失明予防(視力回復ではない)

【頻出ポイント】「増殖前=軟性白斑・静脈数珠状拡張・IRMA」「急速な是正で悪化」「光凝固は失明予防」「無症状でも眼科」。病期の所見と"急に下げない"がセットで問われる。

ここまでが無料の第1問です。ここから先は、本番で差がつく有料エリア(¥300)。読むのに約10分、試験前日でも“この記事だけ”で慢性合併症の症例(神経障害・足病変・自律神経・CKD)の急所を総ざらいできる構成にしています。

【有料エリアだけの内容(調べても出てこない、ここだけ)】
・第2〜第5問の全選択肢解説+比較まとめ表(有痛性神経障害/足病変とPAD/自律神経障害/CKD-MBD・腎性貧血)
・記述チェックの《模範解答》…何も見ずに書き出すための文例つき(専門医試験は記述も出る=ここが本命)
・症例文の“読み筋”…ABI・probe-to-bone・心拍変動をどう拾うか
・直前1分チェックリスト…試験直前に眺めるだけで急所を回収
・引っかけの作られ方…症例問題で正文がどう誤答に化けるか
・数値の暗記カード+横断クロスポイント

コーヒー1杯より安く、今朝の5症例を“本番で得点できる判断力”に変えてください。

ここから先は

6,991字

¥ 300

Amazon Payで支払うと最大2%還元のチャンス! 9/30まで

この記事が気に入ったらチップで応援してみませんか?