ここは本当に日本なのか?
7ヵ月ぶりの一時帰国。
いまさら日本の変化を感じる体験だった。
男性用の香水を買うため、とあるブランド店に行ったときのこと。
お店に入って、男性の店員をつかまえた。
胸のバッヂに中国の国旗がある。
コンビニや居酒屋ならともかく、こんなお店の店員さんまで外国人なのか。
買いたいものは決まっている。
最速で商品に辿り着き「これください」と言った。
「ご自宅用ですか?」
聞きなれない質問だ。
ご自宅用のほかにナニ用があるのだろう。
愛人宅用とかか?
この質問は、自分用かプレゼント用か、という意味だったらしい。
にしても、いい歳したオッサンが男性用香水を誰にプレゼントするというのだ。
次に、ホテルの朝食ビュッフェでのこと。
このホテルのそれは品揃えが豊富だった。
ただ、私はシンプルな和朝食が食べたい。
広い料理陳列スペースの中から、白いご飯を見つけるのに難儀した。
しかし、ご飯の器が見つからない。
ホテルのスタッフに訊いたら、お茶碗はありません、と言われた。
平べったいお皿しかないのだ。
これにご飯を盛って食えと?
それではご飯じゃなくて、❝ライス❞ではないか。
なんならフォークの背に乗っけて食べなきゃダメ?
さらに、どれだけ探してもお味噌汁が見つからない。
スタッフに「汁物はないのですか?」と訊くと、
「ございますとも」
とスープコーナーに連れていかれた。
コーンスープ。トマトスープ。オニオンスープ。
・・・・・・。
味噌スープはないのか。
トルティーヤとタコスの具は異常に充実しているのに。
そろそろ言いたくなる。
日本人の宿泊客は想定していないのですか?と。
(そんなにメキシコ人の宿泊が多いのですか?)
そして夜。場末感満載な大衆酒場にて。
店員さんはほぼインド系だ。
もつ煮を注文したら、もずくがきた。
「も」しか合ってないじゃないか。
もずくも嫌いではないので、いただくことにする。
次、ほっけ焼きを注文するときは、店員さんが端末に入力する情報を確認しよう。
ホッキ貝がこないようにするためである。
店員さんが正しくほっけ焼きを入力したのを自分の目で確かめてホッとした。
もう自分で入力するほうが早いし確実だな。
そう思ったとき、あ!とひらめくものがあった。
だからタッチパネルになっていくのか・・・!
何をいまさら、と思われるだろうが、こういう体験をしたときに初めてその合理性に納得するものだ。
インド系店員のテキトーさを責める気はまったくない。
ただ、むかしの日本人店員が優秀すぎたのだ、とは思う。
あの騒がしく慌ただしいなかで、客の注文を一個も間違えずに捌くのはとんでもないスキルだったのだ。
むかしはそれが当たり前だと思っていたが、いまはそれが「ムチャ言うな」になっている。
神ならぬ人間にそこまで求めてはいけない。
ホテルのスタッフは日本人だ。
日本人スタッフが日本人の私に接する感じが、どこか日本人っぽくない。
お辞儀もスマイルも機械的なのである。
レプリカントなのではないかと疑う。
外国生活が長くなると、日本に期待することが一時代前のそれになりがちだ。
本帰国する前に、自分をアップデイトしなくては。
さもないと、何度も思うことになるだろう。
ここは本当に日本なのか?と。
