【技術士 建設部門】選択科目 II-1・II-2・III の違いと書き分け|評価軸別の戦略
こんな人におすすめ
専門知識は十分なのに選択科目の評価が伸びない受験者
II-1・II-2・IIIを同じ書き方で書いてしまっている人
選択科目IIIと必須科目Iの違いがいまいち掴めていない人
応用能力(II-2)で何を書けば点になるのか分からない人
この記事でわかること
II-1・II-2・IIIで評価されるコンピテンシーと答案分量の違い
設問種別ごとの読み方と骨子の作り方
選択科目IIIと必須科目Iの土俵の違い
技術士第二次試験 建設部門の記述式答案は、必須科目Iと選択科目II・IIIで構成されます。このうち選択科目は、同じ「専門科目」を題材にしながらも、II-1・II-2・IIIで評価されるコンピテンシーがそれぞれ異なります。
違いを意識せずに同じ書き方で臨むと、知識は十分なのに評価が伸びないという典型的なつまずきに陥ります。
ポイントは、設問が「何の力を測ろうとしているか」を見抜くことです。II-1は専門知識の正確さ、II-2は与えられた条件で業務を遂行する応用力、IIIは社会的課題への問題解決能力と多面性を問います。
本稿では3つの設問種別の評価軸と答案分量の違いを整理し、それぞれの読み方と骨子の作り方を示します。筆者は元自治体の土木職として工事の発注・監督・積算審査に携わり、道路・河川・都市計画で建設部門に合格しています。
発注者の現場で見てきた視点も交えて解説します。
建設部門は「必須科目I+選択科目」の組み合わせで合否が決まります。全受験者共通の必須科目I 模範解答集(R03-R07+R8予想)がまず1冊目。あなたの選択科目の模範解答集は建設部門もくじから選べます(単品を1本ずつ買うより約8割お得)。
答案分量と評価軸の違いを先につかむ
まず数字で全体像を押さえます。選択科目IIは、II-1が答案用紙1枚(600字)、II-2が答案用紙2枚で構成され、選択科目IIIは答案用紙3枚です。
答案用紙はいずれも24字×25行の600字詰めで、求められる記述の深さが枚数に表れます。
3つの設問の評価軸を整理すると、次のようになります。
II-1(600字×1枚) … 専門知識の正確さ
II-2(2枚) … 応用能力(手順・留意点・調整)
III(3枚) … 問題解決能力・多面性
枚数が増えるほど「知識を述べる」から「課題を構造化して解決する」へと求められる思考の階層が上がります。II-1で問われる知識を、IIIでは前提として使いこなす――この連続性を意識すると、勉強の配分を誤りにくくなります。
II-1の読み方|専門知識を600字で過不足なく
II-1は、専門用語や技術の定義・原理・特徴・適用条件を正確に説明できるかを測る設問です。答案用紙1枚という制約があるため、評価を分けるのは「正しさ」と「過不足のなさ」です。
600字は構成を3ブロック(定義・特徴/原理/適用上の留意点)に分けると収まりがよくなります。一般論を長く書かず、技術の選定理由や限界まで触れると専門知識の深さが伝わります。
骨子は、設問語(「○○について述べよ」)を見出し化し、結論先出しで書きます。複数の手法を比較する設問では、表に頼らず短い段落で長短を対比させると、限られた字数でも論点が立ちます。
II-2の読み方|担当責任者として業務を遂行する
II-2は応用能力を問います。「あなたが業務の担当責任者として進める場合」という前提が付き、調査・検討すべき事項、業務を進める手順、関係者との調整方策を具体的に書くことが求められます。
知識の列挙ではなく、段取りと留意点が評価対象です。
ここで効くのが業務遂行の解像度です。
発注者の立場で工事の発注・監督・積算審査に携わってきた経験から言えば、II-2の調整方策で差がつくのは、住民・関係機関・行政との合意形成や法令遵守、関連部署との総合調整といった「技術の外側」の段取りを具体的に書けるかどうかです。
受注者視点の受験者が手順の技術面に偏りがちな一方で、発注者視点を一つ加えるだけで遂行能力の説得力が増します。
答案構成の型そのものを固めたい方は、骨子(現状→課題→解決策→効果・リスク)を別途整理しておくと、設問種別をまたいで使い回せます。
IIIの読み方|社会的課題を多面的に解決する
IIIは問題解決能力と課題遂行能力を問う、答案用紙3枚の最も重い設問です。
設問構成は必須科目Iと似ており、(1)多面的な観点からの課題抽出、(2)最も重要な課題への解決策、(3)新たに生じるリスクと対策、といった流れを取ります。
IIIと必須科目Iの最大の違いは論じる土俵です。必須科目Iは建設部門全体の社会的テーマを扱うのに対し、IIIは選んだ専門科目の領域内で問題解決を論じます。
テーマの抽象度を専門科目に引き寄せ、技術的な深さを伴わせることが合否を分けます。
課題抽出では「技術・コスト・体制」など複数の観点を明示し、観点ごとに課題を立てると多面性が自然に出ます。解決策は最重要課題を一つに絞り込み、なぜそれが最重要かの判断根拠まで書くと、問題解決能力の評価につながります。
令和8年度のコンピテンシー改訂ではデータ活用やステークホルダーとの合意、持続可能な成果、文化的価値の尊重が明文化されており、これらの観点を解決策やリスク対策に織り込むと評価軸に合致します。
必須科目Iの頻出テーマや出題系統を押さえておくと、IIIとの違いがさらに鮮明になります。
詳しくは 必須科目I 頻出テーマ を参照してください。
書き分けの起点は「設問が測る力」の特定
3つの設問は、知識(II-1)→遂行(II-2)→解決(III)と段階的に評価の階層が上がります。
準備の順番もこの階層に沿わせ、II-1で固めた専門知識を、II-2の手順記述とIIIの解決策の中で「使う」練習へ進めるのが効率的です。
設問を読んだ瞬間に「これは知識か、遂行か、解決か」を判定できれば、骨子の型は自動的に決まります。
さらに深く学ぶには
ここまでで「設問が測る力」を見抜く軸は掴めたはずです。ただ、本番で評価される答案を書くには、設問を分解して骨子に落とし、規定字数のフル解答まで仕上げる訓練が欠かせません。
まず取り組みやすいのが必須科目Iです。令和3〜7年度の出題と令和8年度の予想問題を題材に、設問分解からフル模範解答までを一気通貫で示した模範解答集があります。
選択科目IIIと土俵は違っても、課題抽出・解決策・リスクという構造は共通です。IIIの書き方を固める土台としても有効です。
選択科目そのものを深めたい方は、科目別の模範解答集が続きになります。道路科目のII-1・II-2・IIIを、発注者視点の解答例とともに整理した模範解答集です。
河川砂防など他科目の解答集も順次公開予定です(近日公開)。
よくある質問
Q. 選択科目のII-1とII-2とIIIは何が違いますか?
A. 評価されるコンピテンシーと答案分量が異なります。II-1は専門知識(答案用紙1枚・600字)、II-2は応用能力(答案用紙2枚)、IIIは問題解決能力と課題遂行能力(答案用紙3枚)を問います。
II-1は知識の正確さ、II-2は与条件下で業務を遂行する手順と留意点、IIIは社会的課題への多面的な解決策が問われます。
Q. 選択科目IIIと必須科目Iは書き方が同じですか?
A. 設問構成は似ていますが視点が違います。
どちらも課題抽出・解決策・リスクという構造を取りますが、必須科目Iは建設部門全体の社会的テーマ(防災・担い手・脱炭素など)を論じ、選択科目IIIは選んだ専門科目(道路・河川砂防など)の領域内で問題解決を論じます。
IIIは専門科目固有の技術的深さが求められる点が異なります。
Q. 応用能力(II-2)では何が評価されますか?
A. 与えられた業務条件のもとで、調査・検討すべき事項、業務を進める手順、関係者との調整方策を具体的に示す力が評価されます。
II-2は「あなたが担当責任者ならどう進めるか」を問う設問で、知識の列挙ではなく段取りと留意点の記述が中心になります。
Q. 選択科目IIの答案用紙は何枚ですか?
A. 選択科目IIはII-1(専門知識)が答案用紙1枚・600字、II-2(応用能力)が答案用紙2枚で構成されます。答案用紙は1枚あたり24字×25行の600字詰めです。選択科目IIIはさらに答案用紙3枚が課されます。
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