【技術士 建設部門】二次試験の難易度と合格率|データで見る攻略の勘所
こんな人におすすめ
技術士 建設部門の合格率を調べて「1割前後」という数字に身構えてしまった人
数字は知ったが、結局どこが関門で何を対策すればいいのか掴めていない人
必須科目Iが難しいと聞くが、なぜ難しいのかが腑に落ちていない人
発注者側・受注者側それぞれの立場から答案の説得力を上げたい人
この記事でわかること
合格率を「筆記×口頭」の二段階構造で読み解く視点
建設部門の難しさが知識量ではなく論述設計にある理由
合格する人に共通する三つの取り組み方
技術士第二次試験の建設部門を調べ始めると、まず気になるのが「難易度」と「合格率」でしょう。ただし、合格率の数字だけを眺めても対策の方向は見えてきません。
大切なのは、その数字がどういう構造から生まれているのか、そして「難しさの正体」が何なのかを理解することです。
この記事は、合格率の読み方(筆記と口頭の段階差・科目差)、難しさの本質、そして合格する人に共通する取り組み方を、入口としてコンパクトに整理するものです。まずは全体像をつかんで、次の一歩を決める材料にしてください。
なお私自身は、地方自治体の土木職(発注者側)として工事の発注・監督・積算審査に携わったのち、道路・河川・都市計画の3科目で建設部門に合格しました。受注者側の受験者が見落としがちな発注者視点も交えながら整理していきます。
建設部門は「必須科目I+選択科目」の組み合わせで合否が決まります。全受験者共通の必須科目I 模範解答集(R03-R07+R8予想)がまず1冊目。あなたの選択科目の模範解答集は建設部門もくじから選べます(単品を1本ずつ買うより約8割お得)。
合格率は「二段階構造」で読む
建設部門は技術士第二次試験で最も受験者が多い部門で、近年は1万人を超える受験者が挑みますが、最終合格率は受験者ベースでおおむね1割前後で推移しています(令和7年度の建設部門は約9.8%)。
低く見える数字ですが、これは一発勝負の関門ではなく、二つの段階を掛け合わせた結果です。
筆記試験:必須科目Iと選択科目II・IIIで構成。ここで受験者の1〜2割程度まで絞られ、ここが最大の関門になります。
口頭試験:筆記合格者だけが進む面接。合格率は8割を超える年が多く、筆記を突破できれば最終合格はぐっと近づきます。
つまり「合格率1割」という見出しの数字は、ほぼ筆記試験で決まっているということです。最初に力を注ぐべき場所は、迷う余地なく筆記の論述だと分かります。
数字を見るときの注意もひとつ。合格率には「受験申込者に対する率」と「実際の受験者に対する率」があり、申し込んだだけで受験しない人を分母に含めると数字は下がります。比較する際は分母の定義をそろえてください。
正確な年度別データは日本技術士会(engineer.or.jp)の二次試験統計が一次情報です。
選択科目には道路、河川・砂防及び海岸・海洋、都市及び地方計画、トンネル、鋼構造及びコンクリート、土質及び基礎など全11科目があり、年度や科目によって筆記の通過率には差が出ます。
ただし、どの科目でも合格者が共通して越えているハードルは同じ——「答案で能力を示せているか」です。
難しさの本質は知識量ではない
建設部門が難しいと言われる理由は、覚えている知識の多さで決まる試験ではないからです。評価されるのは、答案を通じてコンピテンシー(課題遂行能力・問題解決能力・技術者倫理など)を示せるかどうか。
同じ知識を持っていても、論述の設計が弱いと点になりません。
象徴的なのが全受験者共通の必須科目Iです。答案用紙3枚(1,800字)で、次の流れを一貫した論理で組み立てます。
多面的な観点からの課題抽出
最も重要と考える課題と、その解決策
解決策に共通して新たに生じうるリスクとその対策
技術者としての倫理・社会の持続可能性
ここで効くのが「多面性」です。技術的な側面だけでなく、住民対応・法令遵守・総合調整・コストといった複数の視点から課題を立てられるほど、答案の説得力は増します。
私自身は発注者側として現場に携わってきたので実感があるのですが、受注者側の受験者が見落としがちな発注者視点——住民合意の形成、制度設計、行政調整といった論点——を一つ加えるだけで、答案の多面性は明確に変わります。
多面性とは知識の量ではなく、立場を行き来できる視野のことだと考えると腑に落ちるはずです。
必須科目Iの答案構成そのものをもっと具体的に知りたい方は、二次試験 論文の書き方もあわせてどうぞ。
合格する人に共通する取り組み方
合格者の対策には、いくつかの共通点があります。
端的に言えば、過去問の年度別マクロテーマ(防災・国土強靱化/担い手確保・生産性向上/カーボンニュートラル/インフラ老朽化・維持管理/国土形成・地域づくり/インフラDX)を国交省の重点施策や白書とひも付けて整理し、設問構成に沿った骨子を「書いて」確認しています。
読むだけで終わらせないのがポイントです。
取り組み方は三つに集約できます。
テーマを施策とつなげる:必須科目Iの出題源は国の重点施策です。流域治水、2024年問題、2050カーボンニュートラル、インフラ長寿命化計画といった施策名と背景を正確に押さえる。
論述の型を体に入れる:課題抽出→解決策→リスクと対策→倫理という流れを、白紙から再現できるまで書き込む。
自分の経歴を具体例に変換する:業務経歴を答案の根拠として使えるよう棚卸ししておく。これは口頭試験でも問われます。
頻出テーマと出題源をひととおり押さえたい方は、必須科目I 頻出テーマの整理が役立ちます。
加えて、令和8年度のコンピテンシー改訂にも注意が必要です。令和8年度からコンピテンシーが改訂され、データ・情報技術の活用、ステークホルダーとの合意形成、持続可能性、文化的価値の尊重などが明文化されました。
これらは「多面性」を強化する観点でもあるため、答案づくりの段階から意識して織り込むことが、今後の差になります。
合格率の数字は確かに厳しい水準ですが、その正体は「論述で能力を示す」という一点に集約されます。逆に言えば、知識を答案設計に変換する練習を積めば、突破の道筋は十分に描けます。
さらに深く学ぶには
ここまでで「どこが関門で、何を鍛えるべきか」の全体像は掴めたはずです。次の壁は、設問をどう分解し、1,800字の中で多面性・解決策・リスク・倫理をどう一本の論理で通すか——という実装の部分になります。
その実装をまるごと示したのが、必須科目Iの過去問(R03〜R07)を題材にしたフル模範解答集です。設問分解からフル答案まで、発注者視点の論点も織り込んだ形で再現しています。令和8年度の予想問題も収録しました。
本記事で掴んだ「型」を、実際の答案に落とし込む段階の教材としてご活用ください。
よくある質問
Q. 技術士 建設部門の合格率はどのくらいですか?
A. 第二次試験全体の最終合格率は、受験者ベースで例年おおむね1割前後で推移しています(令和7年度の建設部門は約9.8%)。これは「筆記試験で1〜2割程度に絞られ、その通過者が口頭試験を受ける」という二段階構造の結果です。口頭試験単体の合格率は8割を超える年が多く、筆記が最大の関門になります。正確な数値は日本技術士会(engineer.or.jp)公表の年度別統計が一次情報です。
Q. なぜ技術士 建設部門は難しいと言われるのですか?
A. 知識量を問う試験ではなく、答案で「課題遂行能力」「問題解決能力」「技術者倫理」といったコンピテンシーを示せるかを評価する試験だからです。必須科目Iでは1,800字で多面的な課題抽出から解決策、新たなリスクと対策、技術者倫理までを一貫した論理で構成する必要があり、知っているだけでは点になりません。
Q. 合格する人はどんな対策をしていますか?
A. 過去問のマクロテーマ(防災・国土強靱化、担い手確保、カーボンニュートラル等)を国交省の重点施策とひも付けて整理し、設問構成に沿った答案骨子を繰り返し書く練習をしています。自分の業務経歴と専門分野を答案の具体例に結び付けられる人ほど、多面性と説得力を出しやすい傾向があります。
Q. 令和8年度の試験で変わる点はありますか?
A. 令和8年度からコンピテンシーが改訂され、データ・情報技術の活用、ステークホルダーとの合意形成、持続可能性、文化的価値の尊重などが明文化されました。答案でこれらの観点を意識的に織り込めるかが、今後の差になりやすいポイントです。
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