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【技術士 建設部門】国土形成・地域づくりを論文でどう論じるか

こんな人におすすめ

  • 必須科目Iで「国土形成・地域づくり」をどう書けばいいか掴めていない

  • 第三次国土形成計画や社会資本整備重点計画の名前は知っているが、答案での使い方が分からない

  • コンパクト+ネットワークや群マネを挙げても、施策の羅列で止まってしまう

  • 受注者側の自分には、発注者・行政の視点が弱いと感じている

この記事でわかること

  • このテーマの背景にある国の上位計画3つと、その「引き方」

  • 解決策として書ける主要施策(コンパクト+ネットワーク/群マネ/デジタル融合)

  • 元自治体土木職だからこそ書ける、合意形成・調整プロセスの論点


技術士第二次試験 建設部門の必須科目Iでは、特定の構造物の知識ではなく、日本の国土と地域が抱える大きな課題への向き合い方が問われます。

なかでも「国土形成・地域づくり」は、人口減少・少子高齢化という避けられない前提を土台に、防災・老朽化・カーボンニュートラルといった他テーマとも結びつく中核的な系統です。

実際、令和6年度のI-1は国土形成計画(人口減少・社会経済構造の変化)、令和7年度のI-2は第5次社会資本整備重点計画を題材にしており、近年の出題で繰り返し顔を出しています。

本記事は、このテーマを論文として書けるようにするための論点と型を整理する入口です。各設問の構成や答案作法そのものは別記事に譲り、ここでは「何を論じるか」を国の計画に沿って押さえます。

建設部門は「必須科目I+選択科目」の組み合わせで合否が決まります。全受験者共通の必須科目I 模範解答集(R03-R07+R8予想)がまず1冊目。あなたの選択科目の模範解答集は建設部門もくじから選べます(単品を1本ずつ買うより約8割お得)。


このテーマの背景にある3つの計画

国土・地域づくりの論述は、国の上位計画を背景として引くと説得力が増します。技術士に求められるのは、施策名の暗記ではなく、計画が示す方向性を自分の課題設定に翻訳する力です。背景として押さえておきたいのは、次の3つです。

ひとつ目は第三次国土形成計画(全国計画)です。令和5年7月28日に閣議決定され、目指す国土の姿を「新時代に地域力をつなぐ国土」とし、国土構造の基本構想として「シームレスな拠点連結型国土」を掲げます。

重点テーマは「デジタルとリアルが融合した地域生活圏の形成」で、地方の豊かさと都市の利便性の両立を目指しています。

ふたつ目は第5次社会資本整備重点計画です。令和3年5月28日に閣議決定され、計画期間は令和7年度まで。

6つの重点目標と19の政策パッケージで構成され、防災・減災、持続可能なメンテナンス、暮らしやすい地域社会、経済の好循環、DX、脱炭素を柱とします。

みっつ目はインフラ長寿命化・群マネの流れです。維持管理の文脈で地域づくりと接続し、後述の地域インフラ群再生戦略マネジメントが代表的な施策になります。

ここで大事なのは、計画名を答案で挙げるなら、結論部の飾りではなく、課題抽出(1)と解決策(2)の根拠として配置することです。

「国土形成計画が地域生活圏の形成を掲げる中で、本部門の課題は何か」と問いを立てれば、設問が求める多面的な課題抽出に自然につながります。

論点になる主要施策

このテーマで解決策として書ける施策は、おおむね次の3つに整理できます。いずれも人口減少という共通の制約に対する応答です。

コンパクト+ネットワークと立地適正化計画

人口が減っても生活サービスとインフラの効率を保つため、都市機能を拠点に集約し、拠点間を交通・情報のネットワークで結ぶ考え方です。市町村が定める立地適正化計画が制度上の受け皿になります。

解決策として書く際は、誘導すべき区域と、機能を縮小・撤退させる区域の線引きに伴う住民合意の難しさまで触れると、表面的な提案に終わりません。

広域連携と地域インフラ群再生戦略マネジメント(群マネ)

群マネは、行政区域にとらわれず、複数自治体・複数分野のインフラを「群」としてまとめ、更新・集約・再編を組み合わせて効率的に維持する考え方で、インフラメンテナンス第2フェーズと位置づけられます。

国土交通省は2025年10月に「群マネの手引きVer.1」を公表し、モデル地域11件・40地方公共団体を選定しました。

技術系職員が不足する小規模自治体ほど効果が見込める施策で、維持管理と地域づくりを橋渡しする論点になります。

デジタルとリアルの融合による地域生活圏

第三次国土形成計画の重点テーマです。BIM/CIMやインフラDX、自動運転・ドローン物流などのデジタル技術で、人口が少ない地域でも生活機能とインフラサービスを成立させる方向性を論じられます。

防災やインフラDXのテーマとも接続しやすく、論述の幅を広げられます。

ただし、これらの施策を並べるだけでは応用能力を示せません。必須Iの設問は、(2)最重要課題の解決策に続けて(3)新たに生じるリスクと対策を求めます。

たとえば集約に伴う周辺部の生活サービス低下、広域連携での自治体間の合意形成コストなど、解決策が生むトレードオフまで書いて初めて評価されます。

発注者の視点で差をつける

このテーマは、地方自治体の現場感覚を持つかどうかで論述の深さが大きく変わります。筆者は元・地方自治体の土木職(発注者)として、工事の発注・監督・積算審査や、立地適正化計画・広域連携の実務に携わってきました。

受注者側の受験者が見落としがちなのが、施策を「動かす側」の論点です。

たとえば広域連携や群マネは、技術論である以上に、複数自治体の合意形成・費用負担の調整・住民説明という行政課題です。

コンパクトシティの集約も、撤退区域の住民対応や既存インフラの扱いという、制度設計と合意形成の問題を伴います。解決策の実現可能性を、こうした調整プロセスまで含めて論じられると、答案に厚みが出ます。

技術者倫理・社会の持続可能性を問う設問(4)でも、この視点は効きます。

なお、令和8年度のコンピテンシー改訂では、データ活用・ステークホルダーとの合意形成・持続可能な成果・文化的価値の尊重が明文化されます。

地域づくりのテーマは、まさにこれらを正面から問えるテーマであり、合意形成を軸に据えた論述の重要性はさらに高まります。

コンピテンシー改訂の詳細は令和8年度のコンピテンシー改訂にまとめています。

答案に落とし込む順序

最後に、このテーマで書くときの大まかな流れを示します。

  1. 課題抽出(1) — 人口減少・社会経済構造の変化を起点に、インフラ効率・維持管理・地域コミュニティなど多面的に課題を立てる

  2. 最重要課題と解決策(2) — コンパクト+ネットワーク、群マネ、デジタル融合のいずれかを軸に、上位計画を根拠として具体策を示す

  3. リスクと対策(3) — 集約に伴う格差、合意形成コストなど、解決策の副作用とその緩和策を書く

  4. 倫理・持続可能性(4) — 住民の利益と全体最適のバランス、将来世代への責任の観点でまとめる

施策と計画の中身を押さえたら、あとは設問への当てはめです。

答案の組み立て方そのものは記述式論文の書き方ガイドで体系的に解説しています。

また、必須科目Iで問われる6つの頻出テーマ系統の全体像はこちらで俯瞰できます。

地域づくりの論点を用語単位で押さえるなら、持続可能で活力ある地域づくりの論点キーワード集も参照してください。

さらに深く学ぶには

ここまでで「何を論じるか」の骨格は掴めたはずです。ただ、本番で評価されるのは、この論点を設問の流れに沿って1,800字の答案へ落とし込めるかどうかです。

過去5年分の必須科目Iと令和8年度の予想問題について、設問の分解から課題抽出・解決策・リスク・倫理までを含むフル模範解答を収録した模範解答集です。

国土形成・地域づくりを含む頻出テーマが、実際の答案ではどう展開されるのか——その型を、合格者の解答で確認できます。

無料記事で押さえた論点を、本番で書ける答案に変えるための続編としてご活用ください。

よくある質問

Q. 国土形成計画は技術士 建設部門の論文でどう使いますか?

A. 第三次国土形成計画(令和5年7月28日閣議決定)が示す「新時代に地域力をつなぐ国土」「シームレスな拠点連結型国土」「デジタルとリアルが融合した地域生活圏」を、課題の背景や解決策の方向性として引用します。

スローガンを書き写すのではなく、人口減少という課題に対し、コンパクト+ネットワークや広域連携でどう応えるかという具体策の根拠として使うのが要点です。

Q. 第5次社会資本整備重点計画の要点は何ですか?

A. 令和3年5月28日に閣議決定された計画で、計画期間は令和7年度までです。

従来の目標に「インフラ分野のDX」と「脱炭素化・インフラ空間の多面的利活用」を加えた6つの重点目標と、それを実現する19の政策パッケージで構成されます。

防災・減災、持続可能なメンテナンス、暮らしやすい地域社会、経済の好循環という柱を、地域づくりの論述で課題設定の枠組みとして活用できます。

Q. 地域インフラ群再生戦略マネジメント(群マネ)とは何ですか?

A. 行政区域にとらわれず、複数自治体・複数分野のインフラを「群」としてまとめて捉え、更新・集約・再編を組み合わせて効率的に維持する考え方で、インフラメンテナンス第2フェーズと位置づけられます。

国土交通省は2025年10月に「群マネの手引きVer.1」を公表し、モデル地域として11件40地方公共団体を選定しました。技術系職員が限られる地方で維持管理を続ける解決策として、論文に書きやすい施策です。

Q. コンパクト+ネットワークと立地適正化計画はどう論じますか?

A. 人口減少下で生活サービスとインフラの効率を保つため、都市機能を拠点に集約(コンパクト)し、拠点間を交通や情報ネットワークで結ぶ考え方です。市町村が定める立地適正化計画が制度的な受け皿になります。

論文では、集約に伴う住民合意や撤退する区域への配慮といった、運用上の難しさまで触れると深みが出ます。


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