小児科専門医試験 予想問題2026年度版
小児科専門医試験には、日本小児科学会の会員向けページで公開されている過去問題や、市販の試験問題集があります。
そのため、試験対策に使える問題がまったくないわけではありません。
一方で、実際に勉強を始めてみると、過去問題や市販の問題集を手に入れるだけでは、対策が十分とはいえないことにも気づきます。
過去問題には、必ずしも詳しい解説が付いているわけではありません。
問題を解くことはできても、
「なぜこの選択肢が正解なのか」
「ほかの選択肢のどこが誤っているのか」
「この問題から、どこまで知識を広げておくべきなのか」
までは、自分で調べなければならないことがあります。
また、市販の問題集は、小児科全般の知識を体系的に学ぶうえでは有用ですが、直近の過去問題でどのようなテーマが繰り返し問われているのか、同じ疾患がどのように角度を変えて出題されているのかまでは、見えにくいことがあります。
私自身、受験勉強をしていたときに何度も感じました。
「過去問を解くだけで終わらず、その背景まで理解できる問題集があればいいのに」
「最近の出題傾向を踏まえて、限られた時間の中で本当に得点につながる知識を整理したい」
本問題集は、そうした思いから作成しました。
この予想問題集を作るにあたり、複数年分の小児科専門医試験の過去問題を読み直しました。
単に過去に出た疾患や頻出分野を並べるのではなく、次の点まで一問ずつ分析しています。
どの領域が繰り返し出題されているのか。
同じ疾患でも、診断、検査、治療、予防のうち、どこが問われやすいのか。
症例問題では、年齢、経過、身体所見、検査値がどのように組み合わされているのか。
正解選択肢はどのように作られ、誤答選択肢にはどのようなひっかけが置かれているのか。
過去に出題された知識が、その後、別の症例や異なる聞き方でどのように出題されているのか。
さらに、過去問題で扱われたテーマについて、現在の診療や試験対策で確認しておきたい周辺知識も整理しました。
その分析をもとに、実際の過去問題をそのまま写すのではなく、小児科専門医試験で問われやすい考え方や選択肢の作り方を意識した、オリジナルの予想問題として構成しています。
第1弾には、症例から診断や初期対応を考える問題だけでなく、予防接種、成長・発達、先天代謝異常、腎疾患、循環器疾患、神経疾患、感染症、アレルギーなど、小児科専門医として押さえておきたい領域を幅広く収録しました。
過去問題をすでに解いた方にとっても、知識を別の角度から確認できる内容を目指しています。
一方で、問題を解いて正解だけを確認しても、知識はなかなか定着しません。
特に専門医試験では、疾患名を覚えているだけでは正解できず、症例のどの情報を重視するのか、似た疾患をどのように区別するのかまで問われます。
そこで各問題の解説では、
どの所見から診断に近づくのか。
なぜその選択肢が正解になるのか。
ほかの選択肢は、どこが誤っているのか。
関連する疾患や病態と、どのように鑑別するのか。
試験では、どの数字や例外が狙われやすいのか。
まで、一問ずつ時間をかけて整理しました。
過去問題を解いたものの、正解・不正解を確認するだけで終わってしまった方にも、知識を整理し直す教材として使っていただけると思います。
もちろん、予想問題である以上、本番で同じ問題が出題されることを保証するものではありません。
また、過去に出題されたテーマだけを覚えれば合格できるわけでもありません。
小児科専門医には、特定の領域に偏らない幅広い知識が求められます。
それでも、試験範囲を闇雲に広げるのではなく、過去に繰り返し問われているテーマや、その周辺知識を優先して確認することには、大きな意味があります。
模試のように、まず50問を通して解いてもよい。
一問ずつ解説を読み込み、苦手分野を整理してもよい。
過去問題を解いた後の、追加演習として使ってもよい。
試験直前に、重要事項の抜けを確認するために使ってもよい。
過去問題や市販問題集と競合するものではなく、それらを補い、知識を得点につながる形に整理するための問題集です。
「何を勉強すればよいのか分からない」という不安を少しでも減らし、試験会場で問題を見たときに、
「これは一度考えたことがある」
「この所見なら、まずこの疾患を考える」
と思えるテーマを一つでも増やす。
そのために作成しました。
問題文、選択肢、解説の一つひとつを見直しながら、かなりの時間をかけて作り込んでいます。
小児科専門医試験に向けて努力している先生方にとって、過去問題と日々の学習をつなぎ、合格へ一歩近づくための一冊となれば幸いです。
なお、このnoteで紹介している全ての対策記事は、noteの「マガジン」ページにまとめています。分野ごとに整理された構成になっているので、知識の抜け漏れを防ぎながら、効率よく学習を進めることができます。まずは気になるテーマからチェックしてみてください。
あなたの合格までの道のりを、全力でサポートしていきます。
【第1問】伝染性紅斑の感染時期と妊娠への影響
5歳の男児。3日前から微熱、倦怠感および軽い咽頭痛がみられたが、現在は解熱している。本日、両頬に境界明瞭な紅斑が出現し、四肢には淡い網目状の発疹を認めた。保育園では同様の症状を呈した児が複数いる。母親は妊娠12週である。
この疾患について正しいものを1つ選べ。
a. 発疹が出現した時期に最も感染力が強い
b. 発疹が完全に消失するまで登園できない
c. 妊婦が感染すると、胎児貧血や胎児水腫を生じることがある
d. 主な感染経路は空気感染である
e. 妊娠中の感染では、典型的に先天奇形を生じる
【正解】c
【解説】
本症例は、ヒトパルボウイルスB19による伝染性紅斑の典型例である。軽い感冒様症状の後に、両頬のいわゆる平手打ち様紅斑が出現し、続いて四肢にレース状・網目状紅斑がみられる。試験で最も狙われるのは、発疹が出た時点ではすでにウイルス血症がおおむね終息しており、感染力はほとんど残っていないという点である。感染力が強いのは、発熱や倦怠感などの非特異的な前駆症状を呈する時期であり、臨床的に伝染性紅斑と診断できる時点では周囲への感染は広がりにくい。
妊婦が感染すると、ウイルスが胎児の赤芽球系前駆細胞に感染し、重度の胎児貧血を起こすことがある。その結果、高拍出性心不全から非免疫性胎児水腫、流産、胎児死亡に至る可能性がある。特に妊娠前半の感染は注意を要するが、感染した妊婦のすべてに胎児障害が生じるわけではない。妊婦が患者と接触した場合には、母体の抗体検査を行い、感染が疑われれば産科と連携して胎児貧血や水腫の有無を超音波で観察する。
もう一つの頻出事項は、遺伝性球状赤血球症や鎌状赤血球症など、赤血球寿命が短縮している患者では一過性無形成発作を起こし得ることである。免疫不全患者では持続感染による慢性貧血も問題となる。感染経路は主として飛沫感染と接触感染であり、麻疹や水痘のような空気感染ではない。妊娠中の感染による代表的問題は胎児貧血と胎児水腫であり、先天性風疹症候群のような特定の先天奇形を典型的に生じる疾患ではない。
【第2問】先天代謝異常症を見分ける特徴的所見
先天代謝異常症と特徴的な臨床所見の組み合わせについて、正しいものを2つ選べ。
a. フェニルケトン尿症 ―― 皮膚の色素沈着と黒色毛
b. メープルシロップ尿症 ―― メープルシロップ様の体臭・尿臭
c. 有機酸代謝異常症 ―― ケトーシスを伴わない呼吸性アルカローシス
d. 尿素サイクル異常症 ―― 高アニオンギャップ性代謝性アシドーシスと著明なケトーシス
e. 古典型ガラクトース血症 ―― 肝障害、白内障、大腸菌敗血症
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