高市首相は消費税を理解していない。消費税とは売上税、賃上げ妨害税である
2025年11月14日に行われた参議院予算委員会で参政党の安藤裕議員から「消費税は賃上げ妨害税ではないのか」との指摘を受け、
その指摘に対し
高市首相は、「消費税は、賃上げ妨害税ではありません。応能負担の原則は損なわれていません。社会保障の財源です。」と答弁した。
高市首相は、先日の立民岡田議員の存立危機事態質疑に対して、誠実に答弁を行った。(そのために中国の三戦(心理戦・認知戦・法律戦)と戦うことになったが )
このことから、安藤議員の消費税に関する質問に対しても嘘ではなく、自己の見解を誠実に答弁したものと考えられる。
従って、彼女は本当に消費税の正体を理解していないと考えられる。
以下、そのことと消費税の正体について、彼女の答弁に沿って、考察してみたい。
消費税は賃上げ妨害税か否か
消費税は、事業者が、消費者から預かった預り金を税務署に納めているわけではない。
売上の10%から仕入に掛かる経費の10%を差し引いて、納めている。(昭和63年法律第108号(消費税法)等)
従って、間接税ではなく、直接税であると言える。まず、このことについて、述べてみたい。
直接税と間接税は、税金を負担する人(担税者)と税金を納める人(納税義務者)が一致するかどうかで区別される。
直接税は両者が一致し、間接税は両者が異なる。
消費税は、担税者及び納税義務者の双方とも事業者なので直接税である。
消費税法には、(担税者である事業者が)売り上げの10%から、仕入れ額の10%を差し引いて、(納税義務者である事業者が)納めることが記載されている。(仕入税額控除)
式で表すと、「消費税額=売上額×10%ー仕入額×10%」となる。
ここには、消費者という文言は一言も出てこない。
従って、直接税である。
また、基本的に売上に掛かる税金なので、売上税という呼び方が正しく、実際、昭和62年まではそう呼ばれていた。
ここで事業者は労働者の賃金をどこから捻出するかについて考えてみたい。
労働者賃金は、事業者の売上から仕入額を差し引いた粗利益、まさに消費税の課税対象から捻出している。
従って、単純な話だが、消費税があることにより、労働者の賃上げが妨害されていることになる。税率がアップされれば、更にその妨害度は増すことになる。
ここで法人税と消費税の労働者に賃金に与える影響について考えてみたい。
消費税以外に事業者が納める税として法人税があるが、法人税は、売上から仕入に掛かる経費等を差し引いて、更にそこから従業員(労働者)の賃金(労務費)等の諸経費を差し引いて、最終的に残った純利益に対して課税される。
式で表すと
「法人税=(売上額ー仕入額ー労務費等の諸経費額)×法人税率」
別の形で表現すると「純利益×法人税率」となる。
従って、純利益がゼロ又はマイナス(赤字)であれば、法人税は課されない。
故に、労働者の賃金は、売上額や仕入額の影響は受けるが、法人税の影響は受けないといえる。
しかし、消費税は、純利益(労働者の賃金を含まない)ではなく粗利益(労働者の賃金を含む)に掛かるので、労働者の賃金に大きく影響する。
すなわち、賃上げ妨害税である。
消費税は応能負担の税か否か
次に応能負担の原則について、考察してみたい。
応能負担とは
個人の所得や支払い能力に応じて、サービス費用や税金などの負担額を決める考え方である。
従って、支払い能力のある人が負担するという考え方である。
このことを踏まえたうえで、消費税は応能負担であるか否かについて考察してみたい。
前項で法人税について述べたが、繰り返しになるが、法人税は純利益がゼロ又はマイナスの赤字企業には課されない。
しかし、消費税は、赤字か否かにかかわらず、事業者の粗利に対して課税される。
黒字か赤字かにかかわらずだ。
これを応能負担というだろうか。
言わない。
以上から、法人税は支払い能力のある事業者が負担するため、応能負担といえるが、消費税は支払い能力の如何にかかわらず、売上が発生した時点で課税対象となるので、応能負担とはいえない。
最後に社会保障の財源か否かについて考察してみたい。
消費税は社会保障の財源か否か
〇会計の区分
国や地方公共団体の会計は、使い道や財源によって「一般会計」と「特別会計」に分けられる。
〇一般会計
国の基本的な活動に設けられる会計、税金が主な財源で、教育や医療、防衛など、幅広い分野に充てられる。
〇特別会計
特定の事業を行うために設けられる会計。一般会計とは別に、特定の収入で特定の支出を賄う仕組みになっている。
つまり、一般会計はその歳入歳出の範囲を特に限定されないのに対し、 特別会計は、その性格上、当然に歳入歳出が一定の範囲に限定される
消費税は一般会計に繰り入れられる。従って、上記に従えば、歳入歳出の範囲を特に限定されない。
すなわち、社会保障であろうが、橋や堤防といった国土交通事業であろうが、戦闘機や戦車等の防衛であろうが、何に使っても良い財源ということになる。
財務省は、毎年度徴収した消費税の使い道を具体的に公表していない。
というか、公表できない。なぜなら、消費税は、使い道が自由な一般財源に繰り入れられるため、使い道を追えないからである。
また、消費税の徴収は、毎年度末である。
従って、年度末までの年金や医療といった社会保障費に対する保険料以外の公費投入は、国債によって賄われる。
社会保障費の支出時期と消費税の徴収時期とを比べれば明白である。
従って、消費税が一般会計に繰り入れられること及び社会保障費への公費投入時期と消費税の徴収時期との関係から、消費税は社会保障の財源とはいえない。
結言
以上、考察したとおり、高市首相の消費税に対する理解は乏しいというか誤っている。
消費税は、事業者の売り上げに掛かる売上税とも呼ぶべき税であり、労働者の賃上げを妨害している賃上げ妨害税だといえる。
また、細部は述べなかったが、消費税の納税額を抑えるには、仕入税額控除を水増しすることが肝となる。そういった意味で正規労働者(粗利から賃金を捻出する労働者)ではなく非正規労働者(仕入額で控除できる派遣労働者)を増やす格差拡大税ともいえる。
更に消費税が導入され、特に税率が5%に増税された1997年から日本の失われた30年が始まった。
以上のことから、消費税は、一刻も早く撤廃・廃止すべき税制であるといえる。
