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本の紹介33冊目:2026年の最高本「見えない戦争」北村滋

読み始めて確信しました。

2026年の最高本だ~!」と

最高本」とは、私、桐島の思考様式や思い込みを打破して、読了前から読了後にかけて、思考のフレームワークや考え方を大転換してくれる本です。

この本の内容が、1200円程度でゲットできるのは、破格すぎます!

2024年の最高本「世界秩序が変わるとき」を読んだ時にも思ったことですが、経済や政治やビジネスのプロフェッショナルにとって、この瞬間に絶対に読まなければいけない本が存在します!




2025年の最高本「日本経済の死角」

2025年の最高本は「日本経済の死角」でした。

この本により、日本企業が人件費や人材投資にどれだけお金を回してこなかったのかという実態が明らかになりました。

これは、日本政府(経産省)の「成⻑投資ガイダンス(案)―価値創造の拡⼤を通じた企業の持続的成⻑に向けて―」の取り組みに繋がっています。


2014年に日本企業はPBR1倍以上、ROE8%以上を目指すべきとする伊藤レポートが発行されて、東証も取り組みを後押ししましたが、多くの日本企業が実施したのは、増配当自社株買いでした。

これによって、得をしたのは主に外国人投資家でした。

外国人投資家が、過去30年間、日本企業が蓄積した資本の主な受け取り手
になったとエコノミストやファンドマネージャー達は理解しています。

外国法人の株式保有率が高まっている

将来の設備投資や人件費増加(賃上げ)には、政府が期待したほどには結びつきませんでした。


マーケット関係者ならご存知の政府の議論の詳細は以下のHPにあります。

第9回 産業構造審議会 経済産業政策新機軸部会 価値創造経営小委員会(METI/経済産業省)

日本では①、②、③、④のどの領域でも増配当をしています、、、
新しい価値創造の概念です


この「日本経済の死角」は、PBR1倍以上、ROE8%以上を目指すために日本企業が、増配当や自社株買いをして、日本人の将来に繋がる賃上げや日本企業の将来に繋がる設備投資をしていない、事実に光をあてることで、日本政府の行動を刺激・促進しました。




2024年の最高本「世界秩序が変わるとき」

2024年は「世界秩序が変わるとき」でした。

この予想のとおり、今の世界は動いています。
齋藤ジン氏の見通しを信じて株式投資をしていれば、20~30%のリターンを得られたということになります。

「知は力なり」を体現する本でした。




2026年の最高本「見えない戦争」

そして、今回紹介するのは、間違いなく2026年の最高本になる「見えない戦争」です。

筆者の北村氏は、日本のインテリジェンスのトップの位置する国家安全保障局(NSS)のトップを務めていました(2019年9月~2021年7月)。

NSSトップは、いわば日本のCIA長官です。

北村氏は、2021年7月に退官した後、「情報と国家」(2021年9月)、「経済安全保障 異形の大国、中国を直視せよ」(2022年5月)、「外事警察秘録」(2023年6月)、「国家安全保障とインテリジェンス」(2025年7月)と4冊の書籍を出してきました。

5冊目の本書は、日本政府の考え方や方針をインテリジェンス面から事細かに代弁しています。ファクトチェックの量が半端ないです。

この書籍は、霞ヶ関のインテリジェンス界隈の人に、既に読まれています。

そろそろ、読了して2周目に入っている人が多い本です。




「見えない戦争」の目次

「はじめに」と「第1章」から引き込まれる内容ばかりです。

私は、最近、経済やマーケット(東証プライム市場)に思考が偏りがちで、安全保障から遠ざかっていましたが、安全保障を踏まえないと、ただの経済バカになってしまうと反省しました。

エコノミストが、今後、安全保障が重要で、防衛移転三原則の改訂により日本も防衛装備品を輸出できるようになるので、三菱重工、川崎重工、NEC、IHIなどの業績が伸びると喧伝しています。

私も、このレベルの表面的な理解をしていましたが、現実はもっと深かったのです。
理解のレベルの浅さを反省しています、、、

現在は、徐々に、安全保障=経済安全保障>経済になりつつあります。
そのため、経済を理解するにしても、安全保障=経済安全保障という土台(foundation)を理解しなければいけません。

以下目次です。

●第1章 「見えない戦争」――インテリジェンスが戦争を決める
《現実を直視する第一歩として、先ずは現代の戦場で何が生起しているのかを明らかにしなければならない。火力の応酬などのキネティック(物理的、動力学的)な戦闘に先立ち、勝敗を決しているのは「知」の攻防である。本章では、ウクライナ、ベネズエラ、ガザ、そしてイランにおける最新の戦訓からインテリジェンスが現代戦をいかに駆動しているかを描き出す。》

●第2章 勢力圏思想の復活――米中大国間競争の本質
《インテリジェンスによる「見えない戦争」における優位は、単なる戦術的勝利にとどまらない。それは国家自らの生存空間、すなわち勢力圏を確保し、維持するための前提と言える。本章では、大国間競争の深層に踏み込み、スパイクマン的リアリズムへ回帰した米中両国による勢力圏再編の力学を分析する。》

●第3章 経済安全保障と企業インテリジェンス
《我が国が戦後最も厳しい安全保障環境に直面する中、有事と平時の境界は曖昧となり、安全保障の主体は国家から民間へと拡大している。世界経済がグローバリゼーションからデリスキング経済へと移行することに伴い、国家の安全保障政策はミクロ経済の主体である企業にまで深く浸透しつつある。本章では、このマクロの構造転換が、企業の構造や行動に具体的に如何なるインパクトを与えるのかという現代的課題について、企業とインテリジェンス、グリーン経済安全保障、M&Aという多角的視点から論ずる。》

●第4章 テクノロジーと主権――決定の自律性
《企業がインテリジェンス能力を涵養すべき対象は、M&Aやサプライチェーン領域に限定されない。国家と企業の意思決定を根底から支え、一方において最大の脆弱性をもたらしかねないのが、サイバー空間とAIである。本章では、我々の掌にあるスマートフォンから国家中枢を掌るガバメントクラウドに至るまで、テクノロジーがいかに「主権」概念を再定義しているかを説き明かす。》

●最終章 日本はこの大競争の時代をどう生き延びるか――レアルポリティークと我が国に求められる戦略性
《インテリジェンス、勢力圏、企業防衛、そしてAI。これら「見えない戦争」の全貌を俯瞰したとき、我が国に突きつけられているのは、決定の自律性という「主権」をいかに維持するかという重い問いである。本章では、これまでの議論を総括するとともに、「縁辺部(リムランド)における紛争の時代」に我が国が「戦略国家」として生き残るための道筋を呈示したい。》




「見えない戦争」と「縁辺部(リムランド)における紛争の時代」

これが、「はじめに」のタイトルです。
「はじめに」のまとめ方が素晴らしい(fantastic)です。
最近読んだ文章の中でも、群を抜いています。

私が感動した文章を引用します。

米・イスラエルによる軍事作戦は、イランの背後にある中国とロシアにとって大きな打撃となった。西側の制裁下にあるイランから原油を大量輸入していた中国は重要なエネルギー供給源を脅かされ、中露が長年にわたりイランに対して供与してきた高度な防空システムは先進技術を駆使した米軍の攻撃の前に無力化され、両国の兵器体系への信頼は揺らいだ。権威主義国家群に有利な多極的国際システムを構築しようとする中露の政治的野心は、自己の勢力圏を維持せんとする米国の断固たる決意によって大きな牽制を受けた形だ。また、米国の軍事力行使への意思を過小評価したイランは、自らの体制存続を揺るがす深刻な結果を招来した。

米国は、中東というユーラシア大陸の縁辺部において、自らの戦略的目標を達成するために圧倒的な力を行使した。この「エピック・フューリー作戦」が示した現実こそが、本書の主題の一つである「縁辺部(リムランド)における紛争の時代」の幕開けに他ならない。(P6)

この文章を読んで、私は恥ずかしい気持ちになりました。

私は、米国の”National Security Strategy”を読んでいて、直近の関西学院大学MBAの授業でも、以下のスライドを使用して解説しました。

しかし、私の米国のベネズエラ侵攻やイラン戦争に対しての理解は表面的だったことがわかりました( ;∀;)



米国の断固たる決意

物事の本質は、この文章の通りでした。

権威主義国家群に有利な多極的国際システムを構築しようとする中露の政治的野心は、自己の勢力圏を維持せんとする米国の断固たる決意によって大きな牽制を受けた形だ。(P5)

米国のベネズエラ侵攻やイラン攻撃は、トランプ大統領の気まぐれではなく、確固たる意志により実行されたのです!!!

北村氏は、2012年頃のジョン・アイケンベリーの問いである「リベラルな秩序か帝国か」は、決着が着いたと端的に述べています。

第二次ドナルド・トランプ政権の誕生、そして中東における歴史的な軍事作戦は、第二次世界大戦後一貫して維持されてきた「リベラルな国際秩序」という物語に対する、米国自身のよる決別宣言ともなった。世界の警察官という役割は、いつしか米国の国益と乖離し、曖昧な道徳的自己満足へと変質していた。力を背景としない規範は守られず、守る意思のない規範は挑戦を誘発する。米国が世界に突きつけたのは、その冷酷なまでに単純な現実である。米国は世界の救うために存在しているのではない。米国は米国自身の生存と繁栄のために存在する。この原点への回帰が、勢力圏という概念を再び国際政治の中心に引き戻した。勢力圏とは帝国主義の遺物ではなく、国家が自らの安全を確保するために設定する、最小限かつ不可避の防衛的空間である。西半球を絶対的な聖域とし、ユーラシア大陸の縁辺部を固めるという米国の戦略は、地政学の教科書に書かれた理論を、21世紀の現実に適用し直したものに他ならない。イランにおける体制転換すら視野に入れたと見られる軍事作戦は、まさにこのリムランドにおける米国の勢力圏貿易の意思表示とも言えよう。(P7)

イランへの攻撃は、あくまでもアメリカの戦略が実行されただけなのです。

私は、イスラエルのネタ二エフやイスラエル・ロビイストにそそのかされたトランプ大統領が、ベネズエラのようにすぐに戦争が終結することを夢見てイランを攻撃したのだと思い込んでいました。

しかし、インテリジェンスの世界だと、イランの核開発プログラムが完成段階にあったため、それを阻止するために攻撃したようです。

「エピック・フューリー作戦」を可能にしたのは、実はその数年前から周到に準備され、2025年に実行された「物理的破壊フェーズ」の成功にあった。
2025年6月、中東情勢は決定的な転換点を迎えた。イランの核開発プログラムが「ブレークアウト・タイム(核兵器製造までの所要時間)」ゼロの段階に達したとのインテリジェンスを受け、イスラエル国防軍(IDF)主導の「ライジング・ライオン作戦」及び米中央軍(CENTCOM:United States Central Command)主導の「ミッドナイト・ハンマー作戦」が発動された。



さらに、今日の戦争は、武力行使から開始するわけではないと、北村氏は主張しています。

その例として、ウクライナ戦争とハマスのイスラエル攻撃を挙げています。

精密攻撃と相前後して政府機関へのサイバー攻撃が行われるように、戦争はもはや宣戦布告によって始まるのではなく、平時を装った競争の積み重ねの末に、静かに決着しているのだ。
ロシア・ウクライナ戦争は、その典型例である。戦場で砲弾が飛び交う以前に、インテリジェンスの世界では勝敗の輪郭が描かれていた。米国のインテリジェンス当局がロシアの意図、能力、限界を正確に把握し、ウクライナ等と共有することで、ロシアの軍事侵攻の速度と効果は大きく減殺された。
一方で、2023年10月7日のイスラエルにおける悲劇(ハマスによるテロ攻撃)は、情報が存在しても、それをどう解釈するかを誤れば国家は致命的な打撃を受けることを示した。インテリジェンスとは、情報量の問題ではなく、国家がどのような前提で世界を見ているかという、思考様式、意思決定そのものの問題なのである。

私の浅はかな理解を大いに超える内容で、驚いてしまいました、、、

なんと、ロシア・ウクライナ戦争は、米国のインテリジェンスの圧勝だったことが記されています。そして、逆に、イスラエルは、インテリジェンス能力が低かったため、ハマスの攻撃を許したということです。




日本が生き残る道

「はじめに」の箇所で、日本が生き残る道についても記載しています。
盛りだくさん過ぎる「はじめに」です♪

かかる世界において、日本はどこに立つのか。
(中略)
「安全保障は米国に委ね、経済は中国と深める」という発想は、最早成り立たない。勢力圏が経済と安全保障を不可分のものとして再構築されつつある以上、そのような二股外交は、いずれどちらからも信頼を失う結果を招く。
日本が生き残る道は明確だ。高市早苗首相が施政方針演説で掲げたように、インテリジェンスを国家の中枢機能として再定義し、サイバー空間を防衛領域として実装し、サプライチェーンを戦略資産として管理する。経済政策と安全保障政策を別々の省庁の仕事として扱う時代は終わった。国家の意思決定を支える戦略の基本構造を、根本から書き換えなければならない。(P9)

この経済政策と安全保障政策を一体化して政策を作るというのは、実際にいまの高市内閣が進めている方針です。


私、桐島に欠如していたのは、何よりも以下の時代・現実認識です。

「冷たい平和の時代」は終焉し、「縁辺部(リムランド)における紛争の時代」を迎えた今、必要なのは楽観でも悲観でもない。徹底したリアリズムである。




桐島に刺さった内容

この書籍は、購入・読了をおすすめします。そのぐらい、濃い内容です。
そのため、今回は概要という形ではお伝えできません。

私個人に刺さった内容という形でお伝えします。


(ロシア・ウクライナ戦争)における当初の「勝者」がいるとすれば、それは米国のインテリジェンス・コミュニティであった。
米国は侵略のおよそ4か月前、2021年10月下旬の時点でロシアの作戦計画をほぼ完全に掌握していた。(P28)

(米国のベネズエラ攻撃について)米軍は重要インフラを破壊から守ると同時に、中国・ロシア系の石油関連企業技術者を排除し、マドゥロ政権の資金源を即座に断った。これは経済制裁等(エコノミック・ステートクラフト)が限界に達した際、米国は自国の絶対的勢力圏における重要資源とサプライチェーン確保のために、物理的実力を行使することを躊躇しないという強力なメッセージとなった。(P48)

(ハマスによるイスラエル攻撃)が突きつけた現実は、単に物理的な防衛線が決壊したという事実にとどまらない。建国以来、常に敵対勢力に囲まれる中で国家存立の基盤としてきた、世界最強とも称されるイスラエルのインテリジェンスが、完膚なきまでに敗北を喫したことを意味してきた。これは1973年の第四次中東戦争(ヨム・キップール戦争)におけるエジプト・シリア軍の奇襲、2001年の米国同時多発テロ(9.11)に比肩し、あるいはそれをも凌駕する歴史的な「情報な失敗(Intelligence Failure)」と言えよう。(P54)

(イスラエルの)国内情報機関シンベト(Shin Bet)は、10月7日未明に検知されたハマス戦闘員の不穏な動きさえも「定例の夜間訓練」と過小評価した。敵の能力ではなく「意図」を読み違えるという、インテリジェンス分析における典型的な、しかし致命的な誤りがそこにあった。(P55)

米・イスラエルのインテリジェンス機関(CIA、モサド)は、2020年初頭より、イランの防空システムやウラン濃縮用遠心分離器に使用されるFPGAや電源制御ユニットの調達ルートに介入していたと言われている。
中国や東南アジアを経由する闇市場(グレーゾーン・マーケット)に、特定の無線信号(キル・スイッチ)を受信することで誤作動を起こす「トロイの木馬」入り部品を流通させるという、極めて長期的な秘密工作が展開されていたと推認される。(P72)

(米国のベネズエラ侵攻作戦は)長年にわたり絶対的勢力圏を侵食されてきた「不都合な真実」、即ち米国本土への安全保障上の直接的脅威に対する、米国による必然的な「押し返し(Pushuback)」と解釈することが可能だ。
冷戦後、米国が南米への関与を弱める隙を突き、中国とロシアはこの地域に戦略的な楔を打ち込み、米国の絶対的勢力圏を侵食し続けてきた。
ロシアは、2008年以降、核搭載可能なTu-160戦略攻撃機を度々ベネズエラに展開させてきた。(中略)
一方、中国は「債務の罠」とも呼ぶべき経済浸透を行ってきた。(P90)

上記以外にも、刺さった箇所が多過ぎて、紹介しきれません。




北村氏の最後のメッセージ

北村氏の最後のメッセージは、濃度が非常に高いです。
そして、日本政府と日本企業の現在地と今後です。

戦後長らく、日本は経済と安全保障を分離し、自国の貿易を米国に委ねながら経済的繁栄を追求するという「政経分離」の思考様式のもとで平和と繁栄を享受してきた。しかしながら、米中の勢力圏の狭間で、その前提条件は大きく変質した。今、我が国に強く求められているのは、省庁の壁を打破し、経済安全保障を国家戦略の中核に据え、FOIPに代表される「規範形成力」と、相殺戦略に基づく「同盟実装力」を両輪として国益を最大化することである。

理念なき力はただの暴力であり長期的には持続せず、力なき理念は国際政治に荒波の前で空虚に終わる。レアルポリティークが支配する時代において、普遍的価値という理念と、経済的・軍事的優位という力の両社を冷徹に架橋する実務的知性こそが、日本を持続可能な戦略国家へと昇華させる唯一の鍵となるのである。


是非とも、2026年の最高本を手に取ってみて下さい。
(と、私が紹介しなくても、売れそうですが、、、)

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