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課題文字「原」

1.
靄の酷い日だった。屁苔臭い温泉街を独り散策中、とある写真館が目に留まる。張り紙に「原型写真、承ります」とある。フラッシュが焚かれ、シャッター音が響く。現像された写真には、見知らぬ人物が佇んでいた。「それがあなた様の本当の姿でございます」と店主が薄ら笑う。だから何、と思って帰った。

2.
彼女は粘土だった。毎朝自分をこね直し、違う顔をつけて出かけた。ある日、彼女は顔が判らなくなる。それでも出かけた。誰にも気づかれなかった。彼女は笑った。顔がないまま笑った。夜、彼女は夢の中で己の原型と出会う。それは人間の姿ではなく巨大な目玉だった。目玉は囁く。「うどん粉こねてみよ」

3.
原っぱ気持ちいいね。うん、晴れてるしね。ね、よかったよ晴れて。でも原っぱってさ。んーどした?原っぱのさ「っぱ」ってなに。ちょっと待って調べるね。うん、ちょっと待つ。ん〜分かんないわ、でも何となく「原っ葉」とか?そうか。しっくり来た?うん…え、待って…しっくりって、どっから来るの?


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