迷われるUIデザイン。誰の前提か。
ボタンの文言を直した。余白を整えた。導線も並べ替えた。なのに、レビューではまた同じ場所が論点になる。ユーザーテストでも、また迷われる。
この感覚、ありませんか。正直、私は何度もあります。
結論から言うと、今回書きたいのはこの話です。直しているのに良くならないとき、直すべきはUIではないことが多い。レビューの前に、前提の問いを並べたほうがいい。チェックリストというより、自分への問いです。答えが出なくてもいい。先に聞くかどうかが大事だと思っています。
直しているものが、ズレている
「UIが悪い」と言われると、UIを直したくなります。当たり前です。指摘された場所を直す。それが仕事のように見える。
でも、直しても良くならないときは、だいたいパターンがあります。直しているのは画面です。残っているのは前提のズレです。誰が何を決めきれなかったのか。ユーザーに何を判断させてしまっているのか。組織が先に決めていないのに、画面だけ親切にしようとしているのか。
ここが残ったまま余白を直しても、次のレビューでも同じ違和感が出ます。見た目は少し良くなる。でも、迷いの根は動かない。
レビューの前に聞きたいこと
私が画面を開く前に、自分に聞くのはだいたいこのあたりです。全部に答えられる必要はありません。答えられないこと自体が、情報です。
いま直そうとしているのは、誰の前提か
「ここがわかりにくい」と言われたとき、わかりにくいのはUIでしょうか。それとも、前提が共有されていないでしょうか。
たとえば、「この画面で何を達成すれば成功か」がチームで揃っていない。なのに、ボタンのラベルだけ議論している。このとき直しているのはUIです。でも、ズレているのは前提です。
私は最近、指摘を聞いた瞬間にこう聞くようにしています。「それは、画面の話ですか。それとも、何を優先するかの話ですか。」この一文だけで、議論の場所が変わることがあります。
ユーザーがやりたいことを、組織が先に決めているか
親切なUIに見えるものが、実は未決の責任を画面に押しつけていないか。選択肢が多い。説明文が長い。注意書きが増える。確認モーダルが何枚もある。見た目の問題というより、決めていないものをユーザーに投げている感じです。
だから、聞くのはこれです。「この画面で、ユーザーに決めてもらっていることは何か。」「それは、本来プロダクト側が先に決めるべきことではないか。」答えが「はい、決めていない」なら、ボタンを直す前に戻ったほうがいいです。
「迷わせない」がゴールになっていないか
迷わせないUIは、だいたい正しい方向です。ただ、それがゴールになると、判断ごと消えるUIになることがあります。全部が誘導される。全部が最適ルートになる。寄り道がない。選ぶ余地がない。迷いは減ります。でも、ユーザーが自分で納得して進んだ感じも減ることがあります。
私はここで一度、立ち止まります。「いま消そうとしている迷いは、本当に消すべき迷いなのか。」「残したほうがいい判断は、どこか。」迷わせないことと、考えさせないことは、近いようで違います。
説明文が増えているなら、前提を疑う
ヘルプテキスト。注釈。ツールチップ。「※」の注意書き。増えること自体が悪いわけではありません。ただ、説明が増えるほど、前提のズレを疑ったほうがいい、と私は思っています。
説明で補っているのは、何でしょうか。言葉が足りないのか。概念が共有されていないのか。それとも、この画面に載せるべきじゃない情報を載せているのか。説明を足す前に聞くのは、「この一文がないと伝わらないなら、そもそも設計の前提がずれていないか。」です。
「なんか変だな」を、スキル不足に帰していないか
レビューで「なんか変だな」が出たとき、自分のデザイン力の問題に落とし込みたくなります。ここ、危ないです。「なんか変だな」は、だいたい正しい。でも、正しさの中身は見た目だけとは限りません。
情報の優先順位が、業務と合っていない。この画面で答えるべき問いに、答えられない。成功の定義が、チームで違う。スキル不足に帰すと、直す場所を間違えます。余白や色をいじって終わる。違和感の本体は残る。
だから、先に聞くのはこれです。「この違和感は、見た目の話か。問いが読めない話か。」
答えが出なくてもいい
正直、すぐに答えが出ることは少ないです。「誰の前提か」と聞いても、会議の途中ではっきりしないことが多い。組織の未決が、そのまま画面に出ていることもある。
それでも、聞く意味はあると思っています。答えが出ない問いを、UIの修正タスクに変換しなくなるからです。「文言を直す」前に、「決める人がいない」と名前がつく。「余白を整える」前に、「優先順位が未決」と見える。直す場所が、少し手前に戻ります。
レビューは、完成度を測る場だけではありません。前提のズレを見つける場でもあります。画面を開く前に問いを並べておくと、指摘の受け方も変わります。全部を自分のUI責任にしない。全部を他人のせいにもしない。どこが未決かを一緒に見られる。
まとめ
直しているのに良くならないとき、私はUIを開く前にこう聞いています。
いま直そうとしているのは、誰の前提か
ユーザーに決めてもらっていることは、組織が先に決めるべきではないか
「迷わせない」が、判断ごと消すゴールになっていないか
説明文が増えているなら、前提がずれていないか
「なんか変だな」を、スキル不足に帰していないか
全部に答えられなくていいです。答えられない問いがあること自体が、次に直すべき場所のヒントになります。
UIを直す前に、問いを直す。その順番を守れると、少なくとも「直したのに同じ話が戻ってくる」回数は減る気がしています。
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