「モンク・アーミーだった木阿弥」(四百字のスケッチ)
筒井順慶(1549~1584)は父順昭が二十八歳という若さで病死したため、二歳の時に家督を継ぐことになった。家内の混乱を防ぐため、順昭に似た容姿の木阿弥という僧侶を影武者とした。一年の喪明けとともに順昭の死は公表され、木阿弥は元の僧侶に戻った。これが「元の木阿弥」の故事由来である。
という通説であるが、実際の木阿弥は僧侶ではなく、木製のからくりであり、「モンク・アーミー」として製造された僧兵型の兵器であった。しかし当時の技術では人造兵器として役には立たず、影武者として筒井家に払い下げられた。
兵器としては失敗作の烙印を押された原因は、木阿弥の優しさにあった。幼い順慶も木阿弥によく懐き、近隣の犬猫も木阿弥と共に遊んでいた、と伝えられる。影武者としての役割を終えた後の木阿弥は今でいう保育園のようなところで、幼子たちの面倒を見ていたという。父に似たのか順慶も三十五歳の若さでなくなると、時を同じくして壊れた木阿弥も、順慶の墓の前に埋められた。
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