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2025年の日本に徳川吉宗が居たら、どうするだろう?

 国境の外からのかく乱要因が日本社会を疲弊させている。インバウンドの観光公害しかり、輸入インフレしかり、ハイブリッド戦しかり。となると、「選択的な鎖国」というコンセプトもあながち捨てたものではないのかもしれない。
 江戸幕府の鎖国は、文字通りの全面的な鎖国ではなく、接触地点、ティッピング・ポイントを選択的に限定した「選択的な鎖国」ですが、18世紀の8代将軍吉宗政権期の政策は、その選択の内容を大きく変質させたものということができよう。
 では、現在の日本が直面している輸入インフレ、オーバーツーリズム、安全保障といった海外からの影響による国内への負担を軽減する方策を検討する上で、徳川吉宗の政策から、どのような学びを得ることができるだろうか。

 吉宗の政策の特長の一つとして「国産化の奨励」が挙げられる。
 吉宗は、海外からの輸入に頼っていた物資の国産化を奨励し、金銀の流出を防ぐための貿易管理も行ったとされ、朝鮮人参やサトウキビなどの薬用植物や作物について、国内での栽培・生産を奨励し、輸入代替を図った。これは、海外貿易を完全に断つのではなく、必要不可欠なもの以外は自国で賄うという、経済的な意味での選択的な対外依存度調整と評価できる。

 現在に日本の貿易収支の状況を見ると、基調的にトントンか赤字基調となっており、この赤字を所得収支の黒字で賄って、経常収支の黒字を維持しているという様相である。この貿易収支の赤字基調を生み出している要因は、エネルギー資源と情報通信機器の輸入である。
 エネルギー資源の輸入額の主な決定要因はエネルギー資源の国際価格であって、国際価格の変動と円レートという要因によって変動するものであり、国際マクロ経済的な政策によって、その赤字幅をコントロールする必要があることになる。
 他方、情報通信機器の輸入による貿易赤字は、もっと構造的に発生するものとなっている。日本のエレクトロニクス産業では、最終製品のコンセプトを作り、最終組み立てを行う部門が極めて弱い。同時に、基幹部品の一部を世界中の組み立て地に輸出するという構造になっている。最終製品の利益率が高く、部品の利益率が低いため、情報通信機器のサプラチェーン全体で収支が整わない状態となっている。

 ということであるとすれば、改めて吉宗の「国産化の奨励」が参考になるのではなかろうか。エネルギー資源自体は国内で産出しない以上、一定量を輸入することは避けがたい。しかし、情報通信機器の最終組み立て工程を日本国内に再確立することは技術的に完全に可能である。
 WTOが機能停止しており、関税政策の効果が見直されつつある状況において、特に対中国を意識して、情報通信機器の貿易赤字に注目する政策を検討、発動することは的外れではないように思われる。

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