金融ネットワークを「武器化」できるのか?
「金融メカニズムへのアクセス」が人質にとられて、武器化するという議論がある。しかし、第二次大戦以降の経験では、金融資産の凍結や経済封鎖では結局、日本の対米暴発を招いただけで、開戦意思を挫くことにはつながらなかったという苦い歴史的記憶がある。
むしろ、長期的にみれば、金融アクセスの遮断は、当該金融メカニズムからの離脱を促すだけであり、物分りの良い相手に短期的に服従を強いることができるだけだろう。現に、ロシアやイランはSWIFTから排除されてもなんとかなっている。北朝鮮は、ドルではなく、ビットコインを最初から狙っている。
トランプ関税によるアメリカの貿易赤字縮小策は、これ自体は、いつか措置しなければならないことであることは間違いない。
しかし、その反射効として、国際取引決済におけるドルの存在感が低下することも必然だ。というのも、経常収支赤字の縮小によってアメリカ国外へのドル供給が減少するのだから。
新興発展国では、経済規模が拡大することにともなって、決済通貨需要が上昇する。そのタイミングでハードカレンシーを供給できる国家は、国際経済におけるポジションを急上昇させることが出来ることになる。間違いなく、中国、そしてEUはそれを狙ってくるだろう。
そういう観点からは、ハードカレンシーを供給でき、その信用を維持できる国家は、金融ネットワークを「武器化」」できるだろう。特定の敵国を打倒するというよりも、多くの味方国を増やすという形でだ。
勿論、その時点において、ハードカレンシー供給の対抗国家が存在しないか弱いということが前提条件となるのだが、孫子の兵法的には、相手を打倒する武器よりも、味方を増やす武器の方が、はるかに上策ということになる。
