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【第一回】なるべく低予算でゲーミングPCを作ろう!【CPU編】


蔓延る性能原理主義者たち

ゲームをするには高性能なコンピュータが必要です。
とはいえ、艦これの愛称で親しまれる「艦隊これくしょん」や「千年戦争アイギス」などのブラウザゲームは、PCそのもののスペックを気にせずともある程度はプレイできます。
しかし、「Cyberpunk2077」や「ユミアのアトリエ」など3Dゲームのプレイには高性能なCPUやGPUを積んでいることが前提となります……

……と、思われがちですが、果たして本当にそうでしょうか?

そもそも、ゲーミングPC市場におけるハイスペックの定義とは?
性能が高ければ高いほど良いという性能至上主義は正義か?

今回から数回かけて、予算13万程度で実際にゲーミングPCを組み立てて、現役で3Dゲームをプレイしている筆者が、これらに代表されるハイスペック信仰について考えていきたいと思います。

※なお、以下に書かれる意見表明はすべて私論です。

ゲーミングPCに求められるものは何か?

PCの性能は高ければ高いほど良い!最新世代のパーツをすべて組み合わせれば最高の一台が完成するはずだ!—————

これは金が有り余る大富豪の言いがちなことです。

現に、Intel製最高級CPUの一角「Intel Core Ultra 9 285K」は凡そ9,10万円前後で取引されていますが、これが我々一般のコンシューマーが必要とするゲーミングデバイスに搭載されるべきCPUと言えるでしょうか?

私論では、まったくもってNOです。

そもそも、逆向きに考えてみると分かりやすいです。
大部分のゲームの作り手はそもそも「ゲームがプレイされること」を目標にしています。従って―—これは次回に予定しているGPU編でも書く予定ですが―—ゲームプロデューサーは「中堅デバイスで快適に動作するようにゲームを設計しなければならない」という前提の下で開発を進めるはずです。

また、その他にもPCゲーム業界のデファクトスタンダードという側面から論じることもできます。
例えば、「ほとんどのPCゲームプレイヤーはWindowsユーザーだから、Windows用に開発して、MacOSには対応させなくてもいいや」というように、「ほとんどのPCゲームプレイヤーのPCは大抵このくらいのスペックだから、瞬間の負荷上限はこのくらいだろう」というゲーム開発上の事実上の大まかな臨界点が定まっていると考えられます。

じゃあ具体的なCPUは?

上述の理由より、ゲーミングPCでただ快適にゲームをしたいだけなら、そもそも妄信的にハイスペックなものを制作しなくてよいということがわかります。
故に、ゲーミングPCの組み立てではケチれるところはとことんケチってよいだろうという予想がつきます。かといって、「妥協」は厳禁です。ここでいう妥協は、最低ラインを下回ることです。

正直、ほとんどの中堅CPUは現代の環境ではお互いの使用感の違いを感じることはほとんどありません。
故に、最低ラインはSteamなどのゲームプラットフォームで自分のプレイしたいゲームをチェックし、それらの「推奨スペック欄の最も高い性能のCPU」をボーダーに設けるとよいです。

名作CPU    CORE i3 12100F

筆者の私論では、もっともコストパフォーマンスに優れ、今後も貧乏ゲーマーの神器として働いてくれると信じているのはこのCORE i3 12100Fです。

驚かれた読者もいるのではないでしょうか?CPUの性能差について疎い初学者は、よく「CORE i3」というだけで候補から外してしまいがちです。

しかし、CPUの性能差は単純なナンバリングではありません。

ズバリ「世代差」こそが最も大きな差を生みます。

例としてCORE i3 12100FとCORE i5 10700を例にとってみましょう。
前者は12世代、後者は10世代です。
それぞれ、コア数が4および8であり、スレッド数が8および16、基本周波数が3.3GHzと2.9GHzであって、最大周波数は4.3GHzと4.8GHzです。

上述の性能のみを見るとCORE i5 10700の方が数字上では優れて見えますが、CPUの製造プロセスが7nmおよび14nmと大幅に改良されており、実はシングルスコア $${ {}^{1)} }$$ では12100Fが圧倒するという結果を見せます。

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1)    ここでシングルスコアとマルチスコアについて簡単に触れておきます。
CPUには複数のコアが内蔵されており、それらのコアが独立してPCから受け取った命令を実行します。
このとき、一つ一つのコアの性能をシングルスコア、コア全体を見た総合的な処理性能をマルチスコアと呼びます。
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ゲーミング環境ではマルチスコアよりもシングルスコアの方が圧倒的に優先されます。それは何故ならば、現代のゲームエンジンはそれなりにマルチスレッド化(マルチコアによる処理)が進んでいますが、依然としてメインスレッド(タスクを担当する単一のコア)が全体の動機を司るという構造をとるからです。

例えば、物体の衝突判定などには他方のオブジェクトの場所が決定されなければ衝突判定が行えないといった「データ依存性」や、
スレッド間の同期やコンテキストスイッチ$${ {}^{2)} }$$などは、オーバーヘッド$${ {}^{3)} }$$を増大させ、コア数が単純に増えても、個々のコアの動作周波数やIPC$${ {}^{4)} }$$が低ければ、「同期待ちによるスタック」が発生して、全体の処理速度が大して向上しないという状態になりえます。

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2)    CPUの状態を保存したり復元したりする操作のこと。
3)    理想的な動作環境と現実的な動作環境の間に生じる余分な時間のこと。
4)    一回の動作においてどれだけの命令を捌けるかというCPUに固有の値。
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そのうえ、メーカー小売希望価格はCORE i3 12100Fの方が1/3も安い1万とちょっとという始末(執筆日時点)。CORE i3 12100Fを選ばない理由はありません。

「CORE i3はエントリーモデルだ」という言説は、半分正しく、半分間違っていると言えます。
無論、私のCORE i3 12100F信仰はゲーミングという用途に限った話です。それなりに負荷の高いマルチタスクだったり、事務作業のような環境を仮定すればマルチスコアの高いCORE i5 10700などに軍配が上がるのかもしれませんが、今回はあくまでゲーミングという用途に限った場合を話しています。

総括

ゲーミングPCに求められる性能は、一般のCPUの評価だけでは物足りないということがわかったと思います。
なお、情報工学の世界にはアムダールの法則というものがあり、$${ S }$$を加速比、$${ n }$$をプロセッサ数、$${ P }$$を並列化可能な部分の割合として

$$
S(n)=\frac{1}{(1-P)+\frac{P}{n}}
$$

という式が成り立つことが知られています。興味があればぜひ調べてみてください。

なお注意点として、CORE i3 12100Fは内蔵GPUを持たないモデルのため、グラフィック処理全般にGPUが必要です。GPUについては、次回のGPU編をお待ちください。

ではまた。

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