子どものこころを守ることは、未来を守ること
近年、子どものメンタルヘルスに関する問題が急速に深刻化しています。
それは、「一部の家庭」や「特別な子ども」の問題ではありません。
今は、“普通に学校に通っている子”“真面目な子”“頑張っている子”も、生きづらさを抱えています。
現在、日本では、
不登校の増加
発達障害支援ニーズの増加
児童虐待の増加
若年層の自殺増加
など、子どもの「こころの問題」が目立つようになっています。
不登校は「甘え」ではなく、こころのSOS
文部科学省の2025年公表データによると、2024年度の小中学校の不登校児童生徒数は約35万4千人となり、過去最多を更新しました。高校生も約6万8千人にのぼっています。
背景には、
「学校が怖い」
人間関係がしんどい
集団になじめない
朝起きられない
気力が出ない
SNS疲れ
完璧主義
発達特性や感覚過敏
など、さまざまな要因があります。
以前は不登校は「怠け」「甘え」と言われることもありました。
しかし現在では、不安症やうつ状態、発達特性、学校とのミスマッチなど、“メンタルヘルスの問題”として理解されるようになってきています。
「学校に行けない」のではなく、
“行こうとすると、こころや体が限界を迎えてしまう”。
そんな子どもたちが増えているのです。
発達障害支援ニーズの増加
文部科学省の調査では、通常学級に在籍する児童生徒の約8.8%に、発達障害の可能性があると報告されています。
背景には、
発達障害への理解が進んだ
早期発見が進んだ
学校生活が高度化した
「みんなと同じ」が求められやすい
などがあります。
一方で、
専門医療機関の長い予約待ち
療育不足
学校現場の負担
保護者の孤立
など、新たな課題も生まれています。
「困った子」が増えたというより、“支援が必要な子どもが見えるようになった”という側面もあります。
しかし、社会の受け皿はまだ十分とは言えません。
児童虐待の増加と、孤立した育児
こども家庭庁によると、2023年度の児童相談所における虐待相談対応件数は22万件を超え、過去最多水準となっています。
虐待というと身体的虐待を想像しやすいですが、現在最も多いのは「心理的虐待」です。
背景には、
経済的不安
孤立した育児
親自身のメンタルヘルス不調
DV
コロナ禍以降の家庭葛藤
「ちゃんとした親」でいなければというプレッシャー
などがあります。
子どもの問題に見えて、実は“親も追い詰められている”ことが少なくありません。
そして児童虐待は、
不安症
うつ
PTSD
愛着形成の問題
自傷
自殺リスク
など、子どもの長期的なメンタルヘルスにも大きな影響を与えることがわかっています。
最も深刻なのが、若年層の自殺
厚生労働省・警察庁の2025年発表によると、2024年の小中高生の自殺者数は529人で、統計開始以降で過去最多となりました。
日本では、5〜19歳の死因の第1位が自殺です。
これは、先進国の中でも非常に深刻な状況です。
特に、
夏休み明け
新学期
環境変化の時期
にリスクが高まることが知られています。
背景には、
学校問題
学業不振
人間関係
SNS比較
孤立
「失敗できない」空気
助けを求めづらい文化
などがあります。
「死にたい」というより、
「もう無理」
「消えたい」
「逃げたい」
という感覚に近い子どもも多いのです。
共通しているのは、「子どもだけの問題ではない」ということ
これらに共通しているのは、
「子ども自身が弱いから」
では説明できないということです。
SNS社会
比較され続ける環境
失敗が拡散されやすい時代
孤立
大人の余裕のなさ
学校現場の疲弊
“ちゃんとしなければ”という空気
など、社会全体のあり方も深く関係しています。
子どものこころを守るために必要なこと
だからこそ、子どものメンタルヘルスを守るためには、
家庭
学校
医療
福祉
地域
メディア
社会全体
が連携していく必要があります。
「困ったときに助けを求めてもいい」
「失敗しても大丈夫」
「話していい」
そんな空気を、大人たちが作っていくことが大切です。
最後に
子どものこころを守ることは、未来の社会を守ることでもあります。
“問題のある子ども”を見るのではなく、
「今、子どもたちはどんな社会で生きているのか」
を大人が考えること。
そして、
「一人で抱えなくていい」
と思える社会を作ることが、これからますます重要になっていくのだと思います。
