精神科の真実。AIと長時間会話しないほうがもいい場合もある
AIが身近になり、悩みをAIに相談する人が増えています。
不安なとき、落ち込んでいるとき、誰かに話を聞いてほしいときに、AIはとても便利な存在です。
実際、AIにはメリットも多くあります。
・すぐに相談できる
・否定されない
・何度でも質問できる
・整理してまとめてくれる
こうした点は、心理的なサポートとして役立つこともあります。
しかし一方で、精神科の臨床の視点から見ると、AIと長時間会話しないほうがよい場合もあります。
特に注意が必要なのは、「考えすぎ」や「反芻(はんすう)」が強いときです。
考え続けることが、不安や妄想を強めることがある
不安が強いとき、人は頭の中で同じことを繰り返し考えるようになります。
・あのときの対応はまずかったのではないか
・あの人に嫌われたのではないか
・この先うまくいかないのではないか
こうした考えが止まらなくなることを「反芻」と呼びます。
反芻は、「考えれば解決する」という感覚がありますが、実際には逆に不安を強めてしまうことが多いのです。
さらに、考えが次々に広がっていくことがあります。
例えば
「上司の反応が冷たかった」
→「評価が下がっているかもしれない」
→「異動になるかもしれない」
→「仕事を失うかもしれない」
このように、芋づる式に考えが深まることがあります。
これは実際にも認知行動療法で使われることで、下向き矢印法といって本当に自分が恐れていることは何か知る手掛かりになります。
けれども、その目的を意識しないで、つかっていくと、不安にのまれてしまうといったことにもなりかねません。
その結果、
「整理された」ように感じても、実は考え続けて疲れてしまうことがあります。
妄想的な思考が強まる場合もある
また、不安が強いときには、現実的でない可能性を強く考えてしまうことがあります。
・誰かに監視されているかもしれない
・悪く思われているに違いない
・何か重大な問題が起きているのではないか
こうした考えが強くなると、安心を求めて何度も確認したくなります。
AIは質問に対して答え続けることができるため、
この「確認行動」が繰り返されやすくなります。
しかし、確認を繰り返すと、一時的には安心しても、また不安になり確認するといったループに入りやすくなります。
考えることより、行動すること
不安や反芻が強いときは、
考え続けるよりも、行動を変えることが有効な場合があります。
・少し体を動かす
・外に出る
・人と話す
・仕事を一つ進める
こうした行動が、頭の中のループを断ち切ることがあります。
考えすぎているときほど、
頭の中ではなく、
現実の行動に戻ることが大切です。
最後に
AIはとても便利なツールです。
うまく使えば、整理や理解を助けてくれます。
しかし、不安や反芻が強いときには、
AIと長時間会話を続けることで、
かえって考えすぎを強めてしまうことがあります。
そんなときは
・短く使う
・目的を決める
・整理だけに使う
このような使い方を意識するとよいでしょう。
AIは「考え続けるための道具」ではなく、
「整理して一歩進むための道具」として使うことが、
こころの健康にとって大切だと思います。
*著者(蟹江絢子)は西荻窪駅であじさいクリニック 児童精神科・精神科・心療内科を開業しています。
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