検診で「尿潜血陽性」って出たけど、これってやばいの?
「尿潜血陽性」——検診の結果で、ドキッとしたことありませんか?
ネットで調べると「がん」とか「腎臓の病気で透析」みたいな話が出てきて、不安になる。外来でも、こんな相談は多いです。
ただ、実際のところ、尿潜血陽性がずっと続いていても何十年と特に問題なく、「体質ですかね」ってなっている方も多い。
今日はこの「尿潜血陽性」を、少し読み解いてみます。
そもそも試験紙法って、何を見てるの?
検診の尿検査って、試験紙を尿にひたして、色の変化で判定しています。これが「試験紙法」。
ここで大事なのが、試験紙法は赤血球そのものを見ているわけじゃないということ。
見ているのはペルオキシダーゼ活性という化学反応で、ヘモグロビンが持っている性質を検出しているんですね。なので、赤血球がなくても陽性になることがある。
たとえば——
筋肉が壊れて成分が出てくる横紋筋融解症。
消毒で使うポビドンヨードが混ざっちゃったとき。
ヘモグロビン尿、ミオグロビン尿。
逆に、高用量のビタミンCサプリを飲んでいると、本当に血が出ていても偽陰性になることもあります。
つまり、試験紙法で「陽性」というだけでは、まだ血尿かどうかすらわからない。
本当の血尿って、どう確認するの?
本当の顕微鏡的血尿の定義は、尿を顕微鏡で見て、1視野に赤血球が3個以上あること。
だから、試験紙法の結果だけで何かの診断がつくことはないし、それだけでいきなりCTや膀胱鏡みたいなヘビーな検査に進むことも少ない。
次のステップは、顕微鏡の検査を実施すること。ここがまず最初の一歩ですね。
血尿=がん、じゃない
ここ、感覚をシェアさせてください。
顕微鏡的血尿でがんが見つかる割合は、約3%。
https://www.auanet.org/guidelines-and-quality/guidelines/microhematuria
肉眼的血尿(見た目でわかる血尿)でも、1〜2割前後。
裏を返せば、肉眼的血尿であっても8〜9割はがんじゃないし、顕微鏡的血尿なら9割以上はがんじゃないんですよね。
「血尿=がん」とは限らないので、そこはちょっと安心して受診していただけたらなと思います。
リスクに応じて検査の強度が変わる
以前は顕微鏡的血尿でも肉眼的血尿でも「フルで精査しましょう」という流れが多かったんですが、最近はリスクを分類して、検査の強度を変える方向に転換しています。
リスクの判断材料は、ざっくり言うと——
年齢(50〜60歳あたりが一つの境目)。
喫煙歴(どのくらい、何年吸っていたか)。
顕微鏡で見える赤血球の量。
肉眼的血尿の有無。
家族歴や職業曝露。
低リスクの方なら、まずは数か月空けて再検、やるとしても超音波から。高リスクの方は、造影CTや膀胱鏡も念頭にしっかり見ていく——という感じですね。
ただ、低リスクでも「がんの確率がゼロ」にはならないので、ノー精査・ノーフォローはさすがにちょっと、というところはあります。
一番多いのは「体質的なもの」
実際、がんじゃない97%の方の中で一番よく見るのは、体質的な血尿です。
ちょびっとの顕微鏡的血尿がもう何十年も続いていて、腎機能にも影響なく、「昔からこうなんですよね」という方。結構いらっしゃいます。
こういう方は家族で集積していることも多くて、「そういえば親もそうでした」って言われることも。
検診では引っかかる前提で、何か変化があったらかかりつけの先生に相談する——そういう「細く長いお付き合い」が大事になってきます。
放置もしない、慌てもしない
尿潜血陽性は、それだけで慌てる必要はないけれど、放置していいものでもない。
試験紙法はあくまで入り口。次は顕微鏡の検査。そこからリスクに応じて進め方を決めていく。
「血尿=がん」のイメージに引っ張られすぎず、かといって「大丈夫でしょ」と流しすぎず。その間のちょうどいいところに立つために、かかりつけの先生と細く長く付き合っていけるといいのかなと思います。
よくある質問
試験紙法で陽性なら、すぐにCTとか膀胱鏡の検査に進むんですか?
いえ、試験紙法陽性だけで肉眼的血尿でなければ、いきなりヘビーな検査には進むことは少ないです。まずは尿を顕微鏡で見て、本当に赤血球があるかどうかを確認するのが次のステップです。
ビタミンCのサプリを飲んでると結果に影響するって本当ですか?
これ、実はあるんです。高用量のビタミンCを摂っていると、本当に血が出ていても試験紙法で偽陰性——つまり「陰性」って出ちゃうことがあります。
https://www.aafp.org/afp/2022/0700/office-based-urinalysis
https://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMra1604481
もっと詳しいリスクの考え方や判断プロセスを知りたいときは?
Voicyのプレミアム放送では、ガイドライン上のリスク層別化の細かい話や、現場でのギャップについてもう少し踏み込んでお話ししているので、そちらを聴いてみてください。
