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【遺伝子検査を受けてみた】氷原の風、瑞穂の国に至る / ハプログループG2a1

私のDNAに、約1万3千年前のシベリアの記憶が眠っていた。

ミトコンドリアDNAの解析により、氷河期のシベリアから中央アジアを経て日本列島へと至る、母系先祖たちの長い移動の歴史が見えてきました。

乾いた風の吹く氷原から豊葦原瑞穂国へ──1万年以上の時間を越えて続く母系の血統に、私自身の記憶や家族史、神話や夢の断片が重なり合います。


【手軽なDNA検査キット / 国内企業or海外企業】

遺伝子検査を受けて、私が属する母系ハプログループが、G2a1+16189 (mtDNA / ミトコンドリアDNA)であることが判明しました。

ハプログループとは、Y染色体(男系)とミトコンドリアDNA(母系)それぞれに見られる系統の違いです。

ハプログループがわかると、祖先の属していた民族や住んでいた地域がある程度推測できます。

今回使用した遺伝子検査キットは「祖先遺伝子検査キット Haplo3.0」です。

本当は海外のDNA検査を受けたかったのですが、現在は海外に検体を送付する条件が難しく、費用も高額になることから、まずは国内の検査会社で利用者も多い「Haplo3.0」を利用しました。

検査後は追加料金を支払うことで、疾患リスク診断やDNAから見た性格分析サービスも利用可能になる拡張性(拡張サービスEXP)も決め手になりました。セールも頻繁に行っているようですね。

ハプログループについての情報は、「ファミリーツリーDNAディスカバー」(Family Tree DNA / 米)が充実しています。ハプロツリーやフォーラムなど、FamilyTreeDNAの検査を受けていなくても無料で利用できます。

【母系ハプログループG / シベリア起源でアジア全域に分布】

ミトコンドリアDNAの系譜を遡ると、約20万年前にアフリカに存在していた一人の女性に行きつきます。「ミトコンドリア・イブ」という呼称で知られるこの母系の先祖は、ハプログループLに属します。

ミトコンドリアハプログループにおける人類の移動」Maulucioni氏作成

そこから約7万年前にハプログループL3というグループがアフリカの外に進出し、その後人類は長い歳月をかけてハプログループを枝分かれさせながら、世界各地に移動を続けました。東アジアでG2が誕生するまで、私の母系の先祖たちは以下のようなルートをたどったとされます。

L(南アフリカ)→L3(東アフリカ)→M(東アフリカ/南アジア)→G(東アジア)→G2(東アジア)

ハプログループG(mtDNA)は、約4万年から3万6千年前の北東アジア(シベリア)に発生したと見られています。

古代北東アジアの生活のイメージ

私の属するGの下位グループであるG2は、最終氷期の最寒冷期以降、約3万年から2万年前に誕生し、その後長らくシベリア周辺地域に定住した形跡があります。G2a1は、約1万3千年前に発生したと考えられています。

ハプログループGの日本への進出は主に2つのルートが考えられています。

ハプログループGの日本への主な進出ルート

先史時代に大陸の北方から樺太を経由してアイヌ民族などの北方系縄文人になったグループと、シベリアから中国大陸を南下していき、弥生時代以後に日本に渡来して渡来系弥生人になったグループです。現在もモンゴル人やチベット人など東アジアの集団によく見られ、特にオホーツク海周辺の人々に確認されています。

G2に属する人々も、日本のほか西シベリアからウクライナなど東ヨーロッパにかけて、イランから華南を経て東南アジアまでのとても広い地域で確認されています。

なお、日本人に一番多いハプログループはDで、40%近くの割合で見られます。Gは7%ほどの少数派になります。

【星が示す遺伝子の記憶 /家族史とホロスコープと遺伝子情報の一致】

西洋占星術でアストロマップという、自分に縁のある地域を見る技法があるのですが、私のASC冥王星ラインはハルビンと九州東部を通っています。

ハルビンと九州東部(赤い印の部分)を通過するライン

ASCは生まれた時に備わっている外見や性質に影響するポイントで、冥王星は広い範囲での祖先の概念や遺伝的影響を示す星です。

私の両親は祖父母の代から九州の人間でしたが、父は旧満州のハルビン市で生まれ、引き上げ後は大分の宇佐に住んでいました。

ハルビン(黒竜江省哈爾浜市)もハプログループGを持つ人々が多く見られる地域に属しています。満州の先住民はシベリア東部・沿海地方の人々と同じ言語グループになります。

私は女性なのでY染色体の系譜は辿れませんが、ASC冥王星ラインはハルビンの先、シベリアへと伸びており、父の経歴に遠い祖先が日本にたどり着くまでの道のりを重ねられるように感じました。

祖母と母は鹿児島生まれですが、鹿児島は縄文人のDNAが長らく残っていた地域だそうです。

鹿児島の日置市で生まれた母ですが、日置の付近にはニニギノミコトとコノハナサクヤヒメが出会い、結婚生活を送った神話が語り継がれます。

ちなみに母の旧姓は「岩永」といい、母方の祖父は長崎の出身です。コノハナサクヤヒメの姉であるイワナガヒメと奇しくも同じ名前です。

天津神(渡来系弥生人の神とされる)と国津神(縄文人の神)の出会いを描いた物語ですが、これもハプログループGを持つ人々が日本に進出した時の経験と記憶を今に伝えているかのようです。

【祖先の女性が現れた夢 / チベット、モンゴルとの縁】

私は夢日記もつけていますが、24年に見た夢にとても興味深いイメージがありました。

アジア系の見知らぬ外国人の老女が私の祖母を名乗る夢です。

夢に登場した老女のイメージ

薄暗い部屋に浮かび上がるその老女の姿は、東南アジアの開放的な雰囲気よりも、大陸の北の寒さや標高の高さを思わせるような厳しい気配がありました。

蟹座で新月が起こるタイミングで見た夢なのですが、蟹座は「母性、母親」を表す星座で、民族の意識の根も象徴します。

天体の運行が影響して、遠い祖先の記憶が集合無意識から表層意識に迫ってきたのでしょうか。

夢を見た当時は、突然現れたアジア系老女のイメージに戸惑いましたが、今回遺伝子検査を受けてみて夢の内容に時間差で納得できてしまう出来事でした。

チベット密教僧制作の砂曼陀羅(2005年撮影)

私はチベット文化にも関心があって、チベット仏教の美術作品や砂曼陀羅の実演展示も見に行ったことがあります。

子供の頃は、”モンゴル”というケーキ屋さんで毎年誕生日ケーキを注文していました。店主さんが旅行先のモンゴルの風景に感動して店名にしたそうです。

Haplo3.0によると、ハプログループG2を持つ人々は現在、モンゴル語話者に高頻度に見られるとの事です。

これらの出来事も、もしかして母系のDNAが持つ記憶に導かれていたように思える偶然の一致です。

ハプログループG2はモンゴル系の少数民族ブリヤート人にも見られます。

ロシアのバイカル湖の湖畔で暮らすこの人々は、縄文人と共通するDNAを持っていて日本人との外見の相似が知られています。白鳥からブリヤート人の始祖が生まれたという伝承と羽衣伝説との関連を根拠に、古代日本との繋がりも指摘されています。

白鳥と狩人―ブリヤートの民話 より(東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所)

漫画・宗像教授世界篇(星野之宣 / 小学館)3巻に収録の「白き翼 黒の石刃」では、1万2千年前にバイカル湖のほとりを離れて旅立った人々が、サハリン(樺太)を経由して日本に至り縄文人となったという説が、迫力ある作画と民俗学者・宗像教授の大胆な考察によってドラマティックに描かれています。

作中、サハリンに渡ったグループとは別に大陸に沿って南下ルートを選択した人々にも軽く触れているのですが、私は恐らく、弥生時代以降に大陸の南端から日本に渡来した人々の子孫である可能性が高いと思います。もしかしたら大陸時代の祖先にブリヤート人の血を引く人物もいたかもしれません。現代のブリヤート人はチベット仏教を信仰する民族でもあり、この点も親近感がわいてきます。

【白い鳥と天女の羽衣 / ハプログループGの移動に重なる神話と伝説】

「東海道五十三対 / 江尻」に描かれた三保松原の天女

日本の羽衣伝説に関連して、三穂津姫(ミホツヒメ)という女神がいます。天津神と国津神の和合の象徴として国津神の王・大国主の妃になったと言われる天津神です。大物主神(大国主)を祀る金刀比羅宮(香川県)の隣に三穂津姫社があるほか、羽衣伝説で知られる静岡の三保松原の御穂神社にも祀られています。

金刀比羅宮内の三穂津姫社(参拝記事)と三穂津姫命

ミホツヒメは造化三神であるタカミムスビの娘で、大物主神に嫁ぐ際に稲作文化を伝えたともいわれています。タカミムスビは朝鮮半島から北方の民族の信仰が影響したとされる神です。

大陸から渡ってきた稲作文化の人々が日本に定住するに伴ってその信仰も習合された経緯が、ハプログループGの人々が日本人として同化していった経緯とも重なるようです。

夢に登場した大きな白い鳥のイメージ

昔、ご縁のある日本の神様がタカミムスビ神であると霊能者に言われたことがあるのですが、その後に大きな白い鳥が登場する印象深い夢も見ています。

それ以前に、父母のルーツを調べて八幡神との関わりを理解した時にも不思議な夢を見ています。父は満州で生まれ、高校生まで八幡神社の総本宮である宇佐神宮の近くに住んでいました。渡来系氏族の秦氏の信仰した八幡神の神使は白い鳩とされ、白い鳥とは私にとってルーツのシンボルと言えるように思います。

ハプログループGの人々の由来には、毎年シベリアと日本を行き来する白鳥や羽衣伝説といった、とてもロマンチックなイメージが重なりますね。

【アジア人の起源「竜人」 / 謎のデニソワ人】

シベリアのデニソワ洞窟(ニコライ・チュバエフ氏提供)

2008年、シベリアのデニソワ洞窟で、ホモ・サピエンスともネアンデルタール人とも違う未知の人種が発見されました。

デニソワ人と名付けられたその人種は、既に絶滅してしていますが、ネアンデルタール人と同じくそのDNAは現代人に僅かながら受け継がれています。その分布からアジア人の祖先と目され、人類学今世紀最大の発見とされています。

1933年にハルビンで発見された頭骨も最新技術による分析の結果、デニソワ人である可能性が高いとされ、黒竜江省に由来して「竜人」と呼ばれています。ハプログループG(mtDNA)の「白鳥」と言い、「竜」といい、アジア人の起源にはよくファンタスティックな生物のイメージが現れますね。

デニソワ人は約64万年前にネアンデルタール人からDNAが分岐したとされますが、骨の分析では100万年前の原人の特徴を持っているとされ、これからの研究の結果が待たれます。

 Haplo3.0には縄文人とネアンデルタール人との繋がりを確認できる項目があります。検査が終わった後もアップデートで情報の更新がなされるとアプリで確認できますが、いずれデニソワ人との関係もわかるようになるかもしれません。

以前から受けたいと思っていた遺伝子検査。

ようやく、私の母系がたどってきた長い歴史の一端を知ることができました。まさか、科学的な事実から伺える祖先と、夢や象徴として感じてきた祖先像が重なり合うとは思ってもいませんでした…!

いずれは海外企業でもDNA検査を受けたり、男性親族に依頼してY染色体のルーツも確認してみたいですね。


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