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【薬膳】ふきのとうの味噌炒め

「春は苦味を盛れ」
その言葉には、季節と身体が響き合うという東洋医学の考えが息づいています。
冬という長い閉蔵の季節、私たちは寒さから身を守るように、多くのものを内側に溜め込んできました。
それは身体に蓄積した老廃物であり、春を待つ間に心に積もった澱のようなものもあるかもしれません。

立ち寄った野菜の産直所で、私は小さな春を見つけました。
淡い緑の衣を纏ったふきのとう。

その小さな春を連れて、台所に立ちました。

まずは蕾を湯にくぐらせます。
丁寧に水気を切り、熱したフライパンに胡麻油を引いて炒めると、香ばしい香りがします。
清酒、みりんと味噌、それらが溶け合い、ふきのとうの苦味を包み込んでくれます。
仕上げに七味唐辛子をふりました。

出来上がったふき味噌を一口、口に運びます。
舌の上に広がる苦味。
それは、決して不快なものではありませんでした。

薬膳では、ふきのとうは肺を潤し、咳を鎮め、胃を健やかに整える力があると言われています。
その苦味は、冬の間にたまった老廃物を排出し、新しい季節を迎えるための余白を作ってくれるようでもあります。

過ぎてきた季節の中で抱えた心の奥の苦い記憶は全て消えるわけではありません。
それでも、私はまた次の季節へ歩みを進めようとしています。



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